↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の観察者  作者: 天霧翔
第二十一章 帰還
344/1143

16

「じゃあ……『ベルフィオーレ』でどうかな?」 


 かなり真面目にこの大陸の名前を考えてみた。まあもしユーフレインとここが異世界同士なら世界の名前ということになるが。


 ちなみに命名の理由だが、ベルフィオーレの「ベル」は勿論うちの王女様から取った。彼女が中心となり、この世界をこれから変えていくのだから、ベルの名前は入れなければと思ったのだ。そして「フィオーレ」はイタリア語で花という意味がある。


「花咲き誇る平和な世界をベルが作る。そんな意味を込めて命名してみたんだけど。なんか自分で説明するのは恥ずかしいな。」

「わ、私のほうが恥ずかしいですから……。もう……。」


 ベルが顔を真っ赤にして俯いている。


「素敵だと思います。私はいいと思いますわ。」


 今後ベルが世界の中心になるのは確実だし、何より響きが綺麗だとミルナが絶賛してくれる。他の子達も特に異論はないようで「アキが決めたのならいいと思う」と言ってくれた。


「ベルはこれでいい?」

「うん……いいです。恥ずかしいけど、嬉しい。アキさん、でもその中心には一緒に立ってもらいますからね?」


 ベルが微笑む。


 まあ彼女がそれを望むのなら、それくらいはするつもりだ。ベルと共に過ごすと決めた時点で覚悟の上だ。王女を娶るのだから表に立たなければいけない事もあるだろう。


「じゃあこの世界の事は今後『ベルフィオーレ』と呼ぶとしよう。ついでにその呼称を使ってあとで召喚実験もしてみよう。」


 ユーフレインとベルフィオーレといった固有名詞で召喚魔法が成功するのかを確認したい。これで成功するなら召喚・転送魔法の幅が広がる。


 ちなみにアキの予想だと、ユーフレインは成功して、ベルフィオーレはしない。何故なら固有名詞で魔法を発動させるには、その固有名詞の認知度が必要だと考えているからだ。ユーフレインの場合はおそらく認知されている。だがベルフィオーレはされていない。まあ今アキが決めたのだから当然だ。だから大多数の人がこの世界をベルフィオーレと認知するようになったら使えるのではないだろうか。まあ実際、アキの予想通りだったとしても、何故そうなのかは解明出来なさそうだが。


 とりあえずは実験だ。その結果をみてから考えよう。


「実験はいいですけど私のは召喚しないでくださいね!わかってますわよね!」

「え、ホーリーホワイトはダメなの?」

「ダメ!絶対ダメですわ!あとその名前は止めてくださいといいましたわよね!」


 残念だ。非常に残念だ。記者会見を開いて遺憾の意を述べたいくらいに残念だ。


「何を言っているのかわかりませんが、多分私は怒っていい気がしますわ。」


 ミルナが頬を膨らませている。


 とりあえず聖なる衣はおいておいて、今はユーフレインへ下見に行く為の準備だ。まずはオリハルコンの調達が早急にしなければ。


「それよりベル、オリハルコンどうする?エリザ経由でミレーに頼むか?それなら一度ミレーにエリザを送還するけど。」

「そうですね……多分それが一番早いと思います。任せてくださいと言ったのに結局エリザさん頼みで申し訳ありません。」


 ベルが役に立てなくてすいませんと謝るが、そんなことはない。現時点で7本もオリハルコンを用意できたのは全てベルのおかげだ。


「じゃあエリザ、お願いできるか?今日中にユーフレインの下見を終わらせたいんだ。2時間で何とかして欲しい。大丈夫か?」


 ミレーにエリザを送るのはすぐに出来る。ただ「用事が終わったのでミスミルドに再召喚して」とエリザがアキに連絡する術はない。だから予め召喚する時刻を決めておかなければならない。


「大丈夫よ。おねーさんにまかせなさい。じゃあ早速ミレーに送ってくれるかしら?きっちり2時間後に召喚してくれたらそれでいいわ。」


 自分の胸を叩いて快く引き受けてくれるエリザ。なんでも直接アイリスに事情を説明し、オリハルコンを借りてきてくれるらしい。書状も何もいらない、全てまかせていいとの事だ。さすがはエリザ、優秀な猫だ。


「ご褒美に猫缶食うか?」

「そ、それは何かしら?名前の響きからして嫌な予感しかしないのだけれど……。」


 ベルフィオーレに缶詰ははないので、わからないらしい。アキのいた世界の猫の餌だとエリザに説明してやる。オリハルコンを調達してくれるお礼として、今度特別に召喚して取り寄せてやるつもりだ。


「いらないわよ!?なんで餌を与えようとするのよ!私はペットじゃないの!獣人!人なの!ああもう!さっさとミレーに送りなさい!」


 時間ないんでしょと威嚇してくるエリザ。ちょっと可愛い。


「ありがとう、エリザ。じゃあ頼んだ。」

「ええ、やってちょうだい。」


 アキはオリハルコンを抜刀し、エリザをミレーの屋敷へ転送する。


「下着と同じように送還魔法で行ってこい我が白猫。いやホワイトキャットよ、役目を果たせ。」

「ち、ちょっと!?それいわ……」


 何かを言いかけたエリザだが、もう遅い。無事ミレーはレスミアに、エリザの送還は完了した。後はエリザの帰りを待つばかりだ。それまでは世界の呼称を使っての召喚魔法テストでもするとしよう。


「アキ、今の私にはしないでよね!?ほんとしないでね!?」


 イリアが祈るように懇願してくる。実はイリアにも後でしようと思っていたのに先に釘をさされてしまった。残念だ。ただまあ同じ事をしても芸がない。別の面白い方法を考えるとしよう。


「普通で!普通にしてね!面白い方法とかいらないからね!」

「そだねー。」

「棒読み!それ棒読みだからね!こっち見てちゃんと言ってほしいかな!」


 イリアがアキを掴んで縦横に揺すってくる。


 しかし彼女が加わった事で、屋敷がまた一段と騒がしくなりそうだ。でもミルナ達と同じで、イリアも真面目で純粋でいい子だ。彼女のおかげで毎日がさらに楽しくなりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。