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アキの唐突な見解に、ミルナ達は目を丸くしている。だがこれはイリアの話の途中からずっとそうではないかと思っていた事だ。便宜上ずっと異世界と言ってはいたが、おそらくは別大陸が正しい。だからユーフレインと言う世界ではなく「ユーフレイン大陸」と言った方がいいかもしれない。確証はないが、多分間違っていないだろう。
「何故そう思うのですか?」
ベルが教えてくださいと尋ねてくる。
理由としては単純だ。まずこの大陸と環境が酷似している。魔素の存在がなによりの証明だ。おそらく異世界なら魔素が存在しない可能性が高い。魔素はこの世界特有の物質だろう。
「もちろん向こうに行って確認するまで確証は持てない。その為の下見だ。」
アキがユーフレインの環境を直接見れば色々と詳しくわかるはずだ。まあ確実に別大陸なのかを証明するには、海を越えて辿りつくしかないが、現実的にそれは今は難しい。ただ過去にユーフレインの人が海を越え、こちらの大陸を発見している可能性はある。もし何らかの文献がユーフレインに残っていれば、それでも証明できるだろう。
「そもそもそう考えたのは……異世界って発見できると思うか?俺にはどうやって見つければいいのかわからない。一切方法が思いつかない。」
2つの世界が酷似しているという事実の他に、そもそもこの疑問があった。異世界なんて見つけようとおもって見つけられるものではないだろう。あれだけ科学が進んでいる地球でも見つけることは出来なかったのだから。
異世界へ移動する為の次元断層は奇跡的に作れたとしよう。だがそんな奇跡が起こったとしても異世界への渡航は難しい。何故なら正確な異世界の座標がわからないと辿り着く事はできないからだ。そしてそれがこの世界やユーフレインの文明レベルで出来るとは思えない。
「どう?多分いい線行っていると思うんだけど。」
ユーフレインは別大陸と考えてもいいと思うが、どうだろうか。ユーフレインで文献を漁ればそのような記述が出てくるかもしれない。むしろそんな大発見なら間違いなく何かの資料は残っているだろう。
「私達に『どう?』とか聞かれても困ります……。」
アキが理解しきれないものを自分達に分かるわけないとベルが口を尖らせる。だが本当にそうだろうか。この子達は聡明だし、ちゃんと考えればわかると思うんだが。
「アキ、アキ、空が綺麗なのだー。」
エリス以外。このアホ剣士は考える事をそもそも放棄している。
まあ……とにもかくにも、異世界かどうかはユーフレインに行って確認すればいい事だ。今ここで結論の出ない話をしても仕方がない。アキの予想が全て間違っていて、ユーフレインが異世界の可能性だって十分にあるのだから。
「でも……よく考えると俺がこの世界に来られたのってすごい奇跡だよね。オリハルコンを地球に送ってくれたルティアに感謝しないとな。」
ルティアが偶然転送したオリハルコンが奇跡的に地球に辿りついた。こんなの天文学的確率だろう。彼女が十六夜の洞窟のオリハルコンをこの世界から消そうとした。複数のオリハルコンをルティアが転送印の上に引き摺ったせいで、偶々魔法印の模様に修正が加わった。それの転送先の座標が地球だったのだから本当にすごい。神の悪戯だろうかと思ってしまうレベルだ。小説でもありえない。
「私のおかげ?私えらい?」
「ああ、えらいぞ。ルティアのおかげで俺はここにいるんだ。」
「やった。アキ、ご褒美。」
ルティアがおねだりしてくるので、ご褒美代わりに彼女を撫でておく。
「ところでこの世界、というかこの大陸に名前はないのか?」
この世界と呼び続けるのは不便だから何か呼称が欲しい。そう思い、一応聞いてはみたが、多分無いだろう。あるならとっくにミルナ達が教えてくれている。
「ないですね……何かつけます?」
ベルが提案してくる。しかしそんなノリでつけてしまってもいいものか。
「かまいません。」
この世界の呼称なんて誰も考えないだろうから、アキが好きにつければいいとベルが断言する。
「そっか……ならいくつか候補はあるけど。」
「なんですの?」
ミルナが是非教えてくださいと興味津々だ。
「うむ、第一候補はバニーイヤーセシル。セシルの兎耳と言う意味だ。世界中にセシルの兎耳の銅像を作って崇めたい。」
「なんでええええ!?いやです!それは絶対いやああ!」
必死に反対してくるセシル。後世に語り継がれるかもしれない世界の名前なんだから止めろと非難してくる。
何故だ。非常にいい案だと思うのだが。これで全人類が兎耳を崇めるようになるかもしれないじゃないか。
「崇めなくていいから!この耳はアキさんだけが崇めてればいいから!」
「そうか!それもそうだな!」
アキはうんうんと頷く。よく考えれば確かにその通りだ。
「アキさんのテンションが上がるのが、尻尾や耳の時だけっていうのが私非常に納得いかないんですの……。」
「ミルナ、大丈夫よ。みんなも同じ意見よ。」
ミルナとエレンが失礼な事を言っている。
「ならこの世界の名前を『ホーリーホワイトミルナ』とか『エレンハゼッペキ』にするか。勿論2人の特徴を強調した銅像を世界各地にだな……」
「やめてくださいませ!ほんとに!世界の恥ですから!」
「はあああ!?アキ!やったら本気でぶっ殺すわよ!なんてことを世界中に広めようとしてんのよ!」
確かにそんな名前になんかしたら、異世界や別大陸の連中には「この大陸の人間バカだ」って絶対思われる。
「そもそも皆は俺の女だ。そんな目立つような事するわけがないだろ。誰にも渡さん。」
「なら最初から言うんじゃないわよ!ばかっ!」
エレンが満面の笑みで叫ぶ。
怒るのか喜ぶのかどっちかにしなさい。というか相変わらず「俺の女」発言には弱いらしい。
「しかし本当にどうしようか。尻尾とか兎耳いれちゃダメなんだろ?下着も駄目なんだろ?うーん……そうなると何も思いつかない。」
「いや、思いつくよね?アキなら絶対思いつくよね?私は悲しいよ?」
尻尾を悲しそうに振っているリオナ。
ずるい。リオナにそう言われると、これ以上弄れない。そんな悲しそうな顔でこっちを見ないで欲しい。
仕方ない。真面目な呼称を提案するとしよう。
「じゃあ……『ベルフィオーレ』でどうかな?」




