↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の観察者  作者: 天霧翔
第十五章 サルマリア王国
246/1143

11

「ミルナ、お仕置きの時間だ。」


 ルティアとの打ち合わせも終わり、アキはリビングへと降りてきた。全員に明日の予定を伝えておく必要があったからだ。


 だがその前にさっきのミルナへの説教をせねば。


「ま、まってアキさん!」


 必死に言い訳しようとするミルナ。


「アキ、なにがあったのかしら?」

「キーリが合流してくれたから色々話してたんだ。」


 エレンが不思議そうに聞いてくるので、ミルナ汚部屋事件の一部始終を話してやる。


「確かにそんな召喚をしたアキはデリカシーがなかったとは思うわ。でもね、ミルナ……数時間しかたってないのにあんた……。」

「僕もそう思うよ……ミル姉、さすがにそれはどうかな?」


 さすがに呆れ顔のエレン。レオもミルナに苦言を呈している。他の子達もやれやれといった表情だ。


「ち、違うんです!そうですわ、ソフィー!あなたならわかりますわよね!」


 どうやらミルナは汚部屋同盟のソフィーに助けを求めたようだ。


「ミルナさん、私はよくわかりません。」


 ソフィーが淡々と述べる。完全にミルナを見捨てる気らしい。この駄エルフは自分だけ助かろうとしているようだ。


「ほう?」


 アキがそう呟くと、ソフィーの体が微かにビクっと跳ねるのが見えた。


「ソフィーの部屋に落ちてる下着をこの部屋に召喚……。」


 オリハルコンを構えて詠唱を始めてみる。


「アキさん待って!それはだめですー!」


 ソフィーが飛びかかって来ようとしたので、エリスに合図して押さえつけさせる。


「ぐへっ……。」


 乙女らしからぬ声を出して床に転がるソフィー。


「さすがエリス。」

「うむ、任せるのだ!」


 エリスは一仕事したと誇らしげだ。一方でうちのエルフは涙目だが。


「うぅ……アキさん、やめてくださいですー……。」


 まあ元々召喚するつもりはなく、ただの脅しだったのだが、このソフィーの行動を見るにどうやらこのエルフも同罪で間違いない。


「よし2人とも30分正座。」

「「それはやめて!」」


 必死に懇願してくるが、さっさとやれと脅して2人を正座させる。


「とりあえず話が終わるまででいい。今日は足つつくの勘弁してやるから我慢しなさい。」

「「はーい……。」」


 素直に頷いて正座するミルナとソフィー。こういうところは可愛い。


「じゃあキーリとの話を伝えるね。後、明日の予定。」


 キーリの報告内容から考察した命令付与印について皆に説明する。


「そして明日の対談にはベルのみ同行させる。」

「はい!」


 ベルは嬉しそうに返事をするが、アリアやセシルを含め、他の子達は不満気だ。こうなるのはわかっていたので、ちゃんと理由も説明してやる。冒険者協会が敵か味方かわからない以上、こちらの情報を漏らせない。感情をちゃんと制御して、動揺を表にださない人物でないと連れていけないとミルナ達を説得する。


「それでしたら私は大丈夫です。」


 だから連れてってくださいとアリアが懇願してくる。


「まあ、待て。それ以外にも理由がある。」


 もし協会が敵と判明し、万が一戦闘行為に発展したら、アキがアリアとベルを2人同時に守り切れる自信はない。本当はベルだって連れて行きたくないくらいだ。


「でも俺を1人では行かせてくれないだろ?」

「「「当然です!絶対ダメ!」」」


 ミルナ、ベル、アリアが即座に全力で却下してくる。エレン達も当然よと頷いている。相変わらずの過保護ぶりだ。


「だからベルだ。王族で様々な情報に精通しており、観察眼もある。それでいて感情抑制もこの中では1番優秀。そして念の為に保険をうってある。俺だとベルを無傷で守り切れないかもしれないからな。」

 

アキは虚空に向かって呼びかける。


「キーリ。」

「なに、アキ。」


 外套を被った状態でルティアがアキの背中から顔を覗かせる。でもやはりみんなの前に出るのは嫌らしい。アキの側から決して離れようとしない。


「彼に影での監視を頼んである。彼の実力ならみんな知っているだろ?」


 実際に協会長と会うのはアキとベルだが、影にルティアを控えさせておいて、不測の事態に備えるというわけだ。


「それなら文句はないわ……。」

「ああ……今も気づかなかったのだ。」


 ルティアの実力に人一倍対抗心を燃やしているエレンとエリスがお墨付きをくれた。表情がもの凄く悔しそうなのがちょっと微笑ましい。


「それだけだ、キーリ悪かった。」

「大丈夫。またね。」


 それだけ言い残し、ルティアは姿を消す。


「ぐぬぬ……やはり気づけないのだ。」


 エリスが悔しそうに肩を落としているので励ましておこう。


「じゃあエリス、俺と訓練しよう。今日はまずエリスとだ。」

「……!するのだ!やった!」


 嬉しそうに飛び跳ねるエリス。


「その次はエレンな?」

「う、うん!わかったわ、しょうがないから相手になってあげるわ!」


 エレンは口ではそう言ってるものの、手元で小さくガッツポーズしているのが見えている。相変わらず素直じゃないツンデレさんだ。






 最近は情報収集ばかりで戦闘実践があまり出来ていない。サルマリアまでの道中の魔獣討伐もミルナ達がしてくれたので、アキは実質何もしていない。


 ただ訓練だけは毎日欠かさず行っている。最近は剣の腕も上達してきており、エリスからは「かなりよくなったのだ!」と言われているし、観戦しているセシルが「Bランクくらいです!」とお墨付きをくれた。セシルの冒険者を見る目は確かなので間違いないだろう。それにいつも体力が切れるまで徹底的にやってくれと頼んでいるので、体力も大分ついてきた。まだまだみんなに並ぶ実力はないけれど、着実に成長しているのがわかる。


「大体、俺の場合は訓練相手が贅沢なんだよな。これで上達しないわけがない。」


 エリスはSランク最高峰の実力を持った剣士だ。彼女の武器である時雨月は、アキの愛刀である月時雨と同じくらいの長さの武器だし、アキの剣術の教官としては最適だ。さらにうちの子達も全員Sランクで実力も上位。そして短剣、大剣、魔法、弓とほぼ全ての職が揃っている。最高の環境だ。


「じゃあみんな今日も頼むね。ソフィーとミルナは足の痺れが治ったら参加しろ。」

「「……は……い……。」」


 屍のように蹲って悶えている2人を放置して庭へ出る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。