第5話 炎舞
「我の力を存分に見るがいい」
その瞬間、空気が爆ぜた。
「…………!?」
影が恐れるように後退る。
しかし、炎は退路を塞ぐ様に壁を作る。
「おいおい、我に喧嘩を売っておいて逃げるつもりか?全く、姿だけでなく中身まで小物とは……」
「…………‼」
影が痺れを切らしたように牙を剥く。
「ん?」
少年が、いや、俺が顔を上げる。
しかし、影はもうすぐそこまで迫っている。
「ふんっ」
噛まれる直前、俺が軽く腕を振る。
すると、どこからとも無く炎の腕が現れ影を掴む。
「…………!?」
「貴様の様な有象無象が我に触れられると思ったか?残念だが我はそんなに安い女ではない」
炎が影を締め付ける。いや、焼き滅ぼしている。
「雑魚は雑魚らしく大人しく死んでいろ」
冷酷な声音とは裏腹に炎は更に熱くなり、影は既にほぼ消えかけていた。
「…………」
数秒後、影は完全に燃え尽き、消えた。
「おい」
俺の体を突然奪ったそいつが話しかけてくる。
『……何だよ』
「冷たいな。危機から救ってやったというのに」
『……誰も頼んでねぇよ』
「ほう?なら、あのまま死んでもよかったと?」
『そうじゃねぇけど。突然体が乗っ取られたら、その…何だビックリするだろ』
「仕方がなかろう。お前は我の力の使い方を知らなかった。しかし脅威はすぐそこに迫っている。なら、ああするしかなかったであろう?」
『…………』
「……まあ、今はそれでいい。だが、先程の感覚。忘れるでないぞ」
そいつがそういった瞬間、体に力が戻ってくる。
「何だったんだよ……あっ‼そうだ、レイカは?!」
レイカのもとに駆け寄る。
「……良かった。大丈夫そうだ。おい、レイカ?大丈夫か?」
レイカを揺さぶる。
「ん……あれ?私…確か…そうだ‼変な影が‼」
「レイカ‼よかった、目が覚めて…」
レイカがこっちを向く。
口を開く。
「あなた、誰?」
前の投稿から大分時間が空きました。
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