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【創作BL】戦う魔王様!?~魔王様は勇者の仲間に紛れ込みました~  作者: ラズベリーパイ@天安門事件
第12章 次代の水の四天王あたり

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ギブアップだ、ヒューマン

 村の入り口に、全員が戻ってきた。

「ふう、今日は疲れたな」

「それではレオン様、僕達はこれで」

 ホーリィロウがそう言って、足早に仲間達と去っていく。

 事後処理があるのだろう。村人達の安否の確認も含めて色々と……。

 そう思って傍にいる、いつもよりも何処か憂鬱そうなカノンをレオンは見る。

 “光の神”と四天王が手を組んでいる。

 それを知ったらカノンは、魔王であるカノンはどう思うだろう。

 悲しむ、怒る、憎む……殺す?。

 そこでレオンは溜息をついた。

 多分、殺す事は無いだろう。そもそもそうであれば出会いがしらで四天王全員殺しているだろうし。それに、

――カノンがそんな奴じゃない事は、俺が一番良く知っている。

 特に最近そう思う。あまりにも無防備すぎるから。

 けれどこれも、カノンがレオン達のことを信頼してくれているからのように思えて、そう考えると嬉しい。

 ただ話した場合、どれをとってもカノンを苦しめる事になるだろうとレオンは思った。

 それに、いがみ合っている様に見えて背後で握手していたり、仲間のようでいて出し抜こうとしたり、そんな事は幾らでもある。

 そして彼ら次代の四天王の場合、気に入らないがカノンを本当に好きなようだった。

 ふりかどうかなんてすぐに分る。

 だってレオンはカノンの事が好きだから。

 分るのだ。

 彼らが本気だという事を。

 今回は勇者でないという事を、ルカの願いもあってかカノンには黙っていてくれたようだが、いつ状況が変わるか分らない。

 さて、どうしよう。

 そんな事を考えていると、カノンがじっとレオンを覗き込んでいる。

 その瞳が珍しく不安に揺れていて、レオンは即座にぎゅっとカノンを抱きしめた。

「レ、レオン?」

「落ちつくか?」

 そう問いかけられて、カノンは小さく、うんと頷いて顔をレオンの胸に埋める。

 レオンの匂いがする。甘くてとても心地が良い。

――レオン……好き。

 カノンは言ってしまった。次代の水の四天王、魔族のネルにレオンが好きだと。

 必死で否定したのに、それでも途中、カノンは言ってしまったのだ。

 人間であり勇者であり、本来は敵であるはずのレオンの事が好きだと。

 もしも自分が魔王でなければ他に手があったかもしれない。

 でも、カノンは魔族の事を第一に本来ならば考えなくてはいけなくて。

 分っている。

 そしてそう思っていた。

 魔族との交流が無くとも自分は、魔王であると自覚しているはずだった。なのに……。

「ごめん、皆は先に帰っていてくれるか?」

 カノンのいつもと違う様子に、けれど一番カノンが好きなのはレオンだと皆知っているから、また後でと心配そうに声をかけながら宿に戻っていく。

 そこにいたのは、カノンとレオンの二人。

「……魔族の知り合いがいるって、レオンはどう思った?」

「? 片親が魔族だからだろう?」

「……そうだよね。そう、レオンは人間の“幼馴染”だから」

 そう、カノンが記憶操作しているから、レオンはこんなに優しくて。

 レオンはカノンの事なんて本当は眼中に無くて。

 そして、ずっと追いかけている銀髪の人がいて。

 そんな叶うはずの無い恋を、出会うはずのなかった恋をカノンはレオンに、人間であり勇者であり光の眷属である、そう、敵であるはずの存在にカノンは……好きになってしまったのだ。

 必死で耐えて否定して、気づかないふりをして……このままで良かったはずなのに。

 レオンは優しくて、カノンはそんなレオンが好きで好きで好きで好きで。

 カノンはレオンを自分のものにしたい。

 なのに出来ない。

 カノンは魔王だから。

 そしてきっとレオンは記憶操作の魔法を解けばカノンの事を嫌うだろう。それどころか……。

 それにカノンは魔族が大切で、母も本当は自分を愛してくれていて、兄弟だっていて。

 また会おうと約束までして。

 自分は魔族だと魔王だとそういう意識が強くなる。

「カノン、どうしたんだ?」

 そう問いかけるレオンの声はいつもと同じで優しくて、カノンは涙が出そうになる。

 レオンが欲しい。

 カノンだけを見てカノンだけに笑いかけて欲しい。でも、きっとそれは叶わない。

 カノンはレオンの心を手に入れられない。

「……レオン」

「何だ?」

「レオンは僕の事好き?」

「どうしたんだ一体……好きだよ。大切な“幼馴染”だから」

「……レオンが前に言った、銀髪の人と僕、どちらが好き?」

 その問いかけにレオンは、どうしようかと思うも、まだカノンには黙っていようと思って、

「そんなの言わなくたって決まっているだろう?」

 と答えをはぐらかした。

 この時レオンは、判断を誤った。

 カノンが思っている以上に切羽詰っていることに気づかなかったのだ。

 レオンの答えにカノンは俯いてぎりっと唇をかんで、激情のままにレオンを見上げた。

 カノンの瞳は両目とも金色に輝き、強い決意が見て取れる。

 その強く凛とした美しさ、麗しさにレオンは目を奪われて……そこでレオンの記憶は途切れたのだった。


次回、一時間後。よろしくお願いします。

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