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【創作BL】戦う魔王様!?~魔王様は勇者の仲間に紛れ込みました~  作者: ラズベリーパイ@天安門事件
第7章 戻ってきた日常(3)

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ご利用は計画的に

 時間はカノンが逃げ出したすぐ後の事。

 追いかけるのは不可能だと悟って先回りしようという話になった。

「よし、今こそアレを使う時!」

 と、試しに以前使った人から力を借りる技を使ってみる。上手く一回で当りを引ければ良いのだが……。

「昨日の今日で、大変だな。まあ、我も色々な意味で暇だから良いのだが」

 何にそんなに使うのかと呆れ顔の未来の魔王が現れる。

 カノンにそっくりな彼を引き当てて、レオンはガッツポーズをとった。

「……よし、俺は運がいい!」

「と、言うよりは、我は“血”に連なる縁だと思うのだが……」

「一応俺が王族だから、ですか?」

 その問いかけは、彼を困らせるものだったらしい。しばしの沈黙後、

「……それで、今日はどんな用だ?」

「いえ、カノンが何処に行ったのか知りたくて」

 更に彼は呆れたようにため息を付いて、

「何だ、痴話喧嘩か?」

「まだそこまでいっていませんよ。口説き落としている所です」

「では力など使わず、自分の力で探せばよいのではないか? そうすれば好感も上がるぞ?」

「それは……そうかもしれません。でも……」

「……次はもう少し時間を置いて使うのだぞ? そうでなければ、きっと貴方はこの力を自分のもののように思ってしまうから」

「俺には分不相応だと、そうおっしゃりたいのですか?」

「いや、我も未来の魔王で、たまたもこちらに飛ばされただけなのだ。故に元の時間世界に戻り、いつ力が貸せなくなるのか分からない。そのために、これを戦力として考えられては、貴方を危険に晒してしまう」

 そう本当に心配そうにレオンの事を見る未来の魔王、ルーズカース。

 何故それほどまでにレオンに親切なのだろうか。

「……そうだ、一つ聞きたいことが貴方にあります」

「? 何だ?」

「貴方は本当に未来の魔王なのですか? 人間ではないのですか?」

「うむ、それには我は答えられない。何せ証明できないからな」

「魔族としての力を見せて頂くわけには?」

「この世界でそんな事が出来るのか?」

 やけに白い世界。上か下もただただ白い。

 出来るさ。

 そう気付くと、レオンは話していた。それはレオンの意思ではない。

 けれどその言葉に未来の魔王であるルーズカースは酷く悲しそうな顔をした。

「そうか……やはりそうか……」

「いま、俺……」

「いや、貴方は悪くない。そして残念ながら我は今特殊な魔法の道具によって、一切の魔法が使えない。だから証明しようが無い」

「そう、ですか」

「では、力を貸す。我も、それを終えればレンヤにすぐ引き戻されるだろう」

 レンヤと未来の魔王である彼が口からこぼした途端、ほんの少しだけ彼の頬が赤く染まる。

 だから聞いてしまったのかもしれない。

「レンヤは貴方の恋人ですか?」

「ああ、我の誰にも代え難い恋人だ」

 そう微笑んだ顔がカノンにそっくりで、レオンは少しどきどきしてしまう。

 そして、手を触れると力が雪崩れ込む。

「次は、もう少し先だと良い。後、今日は満月だからもしかしたなら、カノンカースは貴方に食べられに来るかもしれない、気を付けて」

 その意味をレオンは問おうとするが、悪戯っぽく笑う彼の顔が歪み、ぼやけ、聞く事すらままならない。

 レオンは、はっとした。

 目の前に元の風景が広がる。

「レオン、その技、不味いんじゃないの? 顔が真っ青だよ?」

「大丈夫だ、イオ。心配ない。それよりもカノンを探さないと」

 そう、レオンは答えて力を使う。

 カノン、と心の中で名を呼ぶと、うっすらと像が浮かび上がる。

 そして映ったカノンは、レオンにそっくりなあいつに口説かれていた。

 それがレオンにはどうしても許せない。そもそもレオンにカノンは好意を持ってくれているのだから、その延長線上で……そう考えると、レオンはいてもたっても居られず走り出す。

「レオン!」

 後からイオとトランの二人が追いかけてくる。途中、誰かを探しているらしき兵士とすれ違ったが、別の人間に話を聞いている最中で、レオンには気付かないようだった。

 そしてどうにかカノンを捕まえられた。

 というか、どうしてこんなに嬉しそうなのだろうか?。

 宿の外に出ると、くるりとカノンはレオンに振り返り、

「レオン、良く僕がいる場所が分かったね!」

 と、やけにご機嫌にカノンはレオンに言う。

 どうしよう、カノンが嬉しそうにしすぎていて本当の事を言えない。なので、

「愛の力だ! 親友同士はこんな事が出来るんだぞ! 相手がどんな場所にいても危機が訪れると駆けつけるのだ!」

「そうなんだ……そうか、じゃあ、僕もレオンが危機に陥ったらどんな時にでも駆けつけるから!」

 それって恋人同士みたいだとレオンが嬉しく思いつつ、それを隠すようにレオンは、

「よし、では俺はこれからナンパの続きを……」

 カノンがにこやかに笑ってレオンの手を掴んで、その時初めて気付いたようだった。

「さて、レオン、一緒に帰ろうか……所で、レオン、顔色が悪いけれど」

「いや、ちょっとがんばって魔力を使って……えっと、カノン」

 カノンはレオンをじっと見つめると、そのまま唇を重ねた。

 魔力がレオンの体の中に流れ込んで、みるみる回復していく。しかもカノンはキスが上手い。

 突然の事に驚いている内に、カノンは唇を離して楽しそうに微笑んだ。

「相変わらずキスは、レオンは下手だね」

 レオンはムカッとしたので、我慢せず押し倒そうかと思った。そこで、

「あ、レオンいたいた、カノンちゃんも」

 イオとトランが駆け寄ってくる。一緒に探してくれていたらしい。

 それがまたカノンには嬉しい。当たり前のような、“仲間”という関係。それがカノンには嬉しい。

 レオンの手を掴みながら、そのまま宿へと帰ろうとして、カノンはその時初めて気付いた。

「……トラン、矢を二本ほど貰っても良いかな?」

「かまわない」

 差し出された矢をそれぞれ別方向に投げた。

 その結果も見ずに、カノンは歩き出す。

「おい、良いのかカノン?」

「いいんだ。それよりもレオン、今日はたっぷりお説教だからね☆」

 逃げ出そうとするレオンを捕まえながら、カノンは宿へと帰っていったのだった。


 二つの、矢の刺さった人形が転がっている。矢の部分から魔力が少しづつ霧散し、もう既に何の力も残っていなかった。

 それを黒いフードを被った人影が拾う。

「こんな簡単にどうにかされてしまうのか……ふむ。人間に優しいのも困りものだ、本当に」

 そう呟いてその人形をその人影は持ち去ったのだった。

お気に入り、評価ありがとうございます。とても励みになります。


次回更新は近いうちに。よろしくお願いいたします。

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