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【創作BL】戦う魔王様!?~魔王様は勇者の仲間に紛れ込みました~  作者: ラズベリーパイ@天安門事件
第7章 戻ってきた日常(3)

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間男じゃなかったでござる

「ミラン様、何故ここに!」

「相変わらず美しいね、ホーリィロウ。そして私とレオンを間違えないのも今では君ぐらいのものだな」

 周りに花が舞っているかのように、きらきらとした微笑を浮かべ褒めるミラン。

 そんなミランを見て、背筋に寒気が走り、カノンはミランからじりじりと距離を置く。

 ホーリィロウは額に冷や汗を浮かべながらミランに問いかけた。

「……それで、ご用件は何でしょうか?」

「レオンの様子だよ。それを聞きに来た。ついでにカノンという人物をこの目で見たくて、抜け出してきた」

「……そうですか。ですがお供の者一人くらいつけて……」

「そうだな、今頃レオンが捕まっているかもしれないな」

 しれっと言い切るミランに、ホーリィロウは言葉を失う。

「まさかそれが狙いですか? ミラン様」

「そうだと言いたい所だが……」

 ちらりとカノンの方を見る。フードで顔が見えないが殺気立って見える。

 その様子を確認してから、ミランが滅相も無いというかのようにため息を付いた。

「駄目って言われたので、窓から抜け出したら即効で見つかってしまった、ははは」

「ははは、ではありません! まったく、その後始末をするのは誰だと思っているのですか」

「さあ、誰だろうね。所でホーリィロウ、そんなに眉間にしわを寄せると美しい顔が台無しだよ? 私には劣るけれどね」

「ミラン様……」

 そんなやり取りに更に頭が痛くなったようなホーリィロウを一瞥してからカノンが、

「もう僕は帰って良いか? レオン達の事が気になる。そちらのミランという人のおかげで」

「まあ待って。私は君の事が気になって来たんだ。何せレオンが気に入っているらしいから」

「……それで?」

「フードを取ってもらっても良いかな?」

「……いいだろう」

 そう答えて、ミランの目の前でカノンはフードを取る。

 さらりと絹糸のように細く艶やかな銀髪が流れ落ち、窓から差し込む光にきらきらと輝く。

 意志の強そうな左右異なる瞳が真っ直ぐとミランを捕らえている。

 明らかに普通の人でも魔物でもない、そんな圧倒的存在にカノンは見えた。

「これで満足だろう?」

「……まさか、これほどとは……」

 そんなミランの様子に、カノンは壁々する。

 人間といいこの前のクラウ達のような魔物と良い初対面の者達はどうしてこう、カノンの素顔を見るとこのような態度を取るのだろう。

 まあ、こういう風に素顔を隠した方が良いと教えてくれたのも人間達だから、帳消しにしても良いが……いい加減にして欲しいとカノンは思う。

 それを考えれば、レオン達はカノンにとって貴重な存在だった。

 そんなレオン達が今このミランというレオンのそっくりさんの従兄弟によって、酷い目に合わされるかもしれないのだ。

 特に今は、レオンの事が心配だった。どうしてだか分からないが、カノンは胸騒ぎを覚える。

 いそいそとフードを被ると残念そうなミランが映る。

「……もう良いだろう、僕はレオン達の所に戻る」

「もう少しここに居てはどうですか? もうすぐ、レオン達も来ますし?」

 そう、ミランから魔力の気配を感じて、それがとても嫌なものに思えてカノンは自然とミランを睨みつける。

 そんなカノンの警戒する様子を観察しつつ、じっとカノンをミランは見つめる。

 ホーリィロウがやけに渋い顔で見ているような気がするが……。

 そこで、ミランがにこりとカノンに笑いかけた。その顔はレオンを彷彿とさせ、ついカノンは警戒を緩めてしまう。

 つかつかとミランはカノンに近づいて、、手の甲にキスをしてから囁いた。

「私の側室になっていただけませんか?」

「は?」

 カノンが聞き返そうとするのと同時に部屋のドアが開いた。

「カノン! 大丈夫か!」

「レオン!」

 途端に嬉しそうな顔をするカノン。

 そのあまりの変貌振りにミランは驚くと共に、その可愛さに再び言葉を失った。

 先ほどの洗練された美しさも魅力的にミランに映ったが、これはこれで可憐さの漂う可愛さが見える。

 そんなカノンを見る視線に気付いたのか、レオンはカノンを自分の背後に隠した。

 その独占欲丸出しな様子に、ミランは少し苦笑しつつ、

「……やあ、お久しぶり。その割には驚いていないみたいだね」

「……カノン、帰るぞ」

「待て。少し話していかないか?」

「俺は話すことは無い」

 と取り付く島も無いレオンはカノンを連れて出てしまう。

 それ引き止めるわけでもないミランにホーリィロウは珍しい事もあると見送るも、

「ホーリィロウ、カノンも側室にして良いか?」

「やめてください! それにカノン君は……」

「そういえば君も大好きだったね……前魔王の勇者が、良い扱いを受けているからって、君もそうだとは限らないだろう?」

「それは、ミラン様もそうです! 僕は、それでも良いと思えたから、こうして魔王を倒す旅に出たのです!」

「そうだよね、君も王の反対を押し切ってきた。このまま王宮で、王族の警護をしてくれば良かったのに」

 含み笑いをこらえて言うミランに、ホーリィロウは黙っている。

 次の王である可能性のある彼に、ホーリィロウは逆らえない。

 それでも、カノンをホーリィロウまだ譲れない。

 そして渡すならレオンの方がましだと思える。そこで、

「でも、レオンが予知能力を使えるのは本当みたいだね。ここに居る事はカノンが連れてきたわけだから、知るはずが無いだろう?」

「まさか、そのために?」

「偶然を利用したまでだが……なるほど。借りているとはいえ、本物ではあるらしい。引き続きそちらの情報も集めておいてくれ、ホーリィロウ」

「分かりました。他には?」

「カノンという魔王がどの程度魅力的なのかを確認したかっただけだ。後、愛しのレオンの顔を見に。予想以上に綺麗なカノンという魔王も、珍しく必死なレオンも見れたから今日はこれで帰るとするよ」

「そうしてください。僕が送っていきます。もし貴方に何かあれば……」

「今の王の子はレオンだろう? 私ではなく」

「……力を継いだのは貴方です」

「そうだな」

 笑うミランに、ホーリィロウは小さくため息を付いたのだった。


 そして彼らをじっと見つめる人形の影がある事に、彼らは気付いていなかった。

お気に入り、評価ありがとうございます。とても励みになります。


次回更新は近いうちに。よろしくお願いいたします。


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