多分、夢だった
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ」
絶叫を上げてカノンはベットから飛び起きた。
飛び起きて、目を点にする。
「あれ?」
ちゅんちゅんと鳥の鳴き声がして、見ると窓から柔らかな朝の日差しが差し込んでいる。
夢、だったのだろうか?。
「そ、そうだよね僕がレオンの事を……」
「俺がどうしたんだ?」
「はう!」
突然後ろから声が聞こえて、カノンはびくっと背筋を震わせて恐る恐るといったように振り返る。
そこにいた声の主はレオンだった。
分かっていたはずなのに、カノンはレオンを視界に入れた瞬間、逃げ出したい衝動に駆られて慌てて顔を背けた。
けれどレオンの目にはそんなカノンが耳まで顔を真っ赤にしているのが丸分かりで。
――何、この気にしていますっていう反応。
嬉しいと思う同時に、レオンは苛めてみたい衝動に駆られた。
「カノン、耳が真っ赤だぞ」
「き、気のせいだよ」
「そうか、ほら……」
「!」
レオンが手を伸ばすと、カノンはずりずりとそのレオンの手から逃れようとするその様子が可愛い。
凄く可愛い。
自覚し始めたのだろうか。レオンの事が好きだと。
なら、ここからが正念場だ。カノンが、レオンの事をどうしようもないくらい好きだと、もうレオン無しじゃいられないと言わせないといけない。
レオンだけがカノンを好きだと知っているなんて不公平なのだから。
伸ばした手を更にカノンへと伸ばそうとして、レオンはベッドの端につまずく。
「わあっ!」
そのまま、カノンの左右の足に割り込むように、レオンはもつれ込んだ。
不可抗力だが、これはこれで役得である。
密着した肌から、服越しで体温を感じる。
どうしよう、このまま先に進みたい。このカノンの柔らかくて甘そうな体を思う存分味わいたい。
けれどここで襲えば全てが水の泡になってしまうのでは、という不安もレオンにはある。
好きだから大切にしたい。
そう思いながらレオンは、カノンから離れられずにいた。
一方、カノンも声にならない大きな悲鳴を上げていた。
この体勢は、父と憎きレイルがしていたのを知っており、意味は良く分からないがいけない事のような気がしていた。
でも今実際に自分がされると、頭が沸騰しそうになる。
すぐ傍にレオンがいて。そしてあんな夢を見て。あんな事を考えてしまって。
意識しすぎて死にそう。というかもう逃げ出したい。なのに逃げられない。
けれどこのままでもいたい。
すぐ傍にレオンがいて、心が満たされるようにカノンは感じて、そこで部屋のドアが開かれた。
「レオン、カノンちゃん…・・・えっと、お邪魔しました」
すぐさま、カノンはレオンを自分の上からどけた。
ごろんとレオンがベッド上を転がるも、幸い床には落ちなかった。
「……イオ、ありがとう。うっかり流される所だった」
「えー、そのまま一気にいっちゃえば良いのに」
「? どこに?」
「……うん、そうだね。カノンちゃんはそのままで良いよね」
「みんなして……うわーん」
そう叫んでカノンは部屋から飛び出していった。
「……やっぱり起きてたか」
「? レオン、何かカノンちゃんにやったの?」
「ホーリィロウと少し話して来たんだが、そうしたらカノンに会いたくなって……」
「それで?」
「あの様子だと、夢だと思っているな」
それはそれで好都合と小さく笑うレオンに、イオが、
「面白くなってきた。所で、ホーリィロウにあった?」
「少し話をしただけで特に重要な事じゃない。それよりもイオは大丈夫か?」
「うん、平気。元から体が丈夫なのが取り柄だからね」
そんな元気そうな様子にレオンは安堵する。それをみてイオが、
「本当にレオンは仲間想いだね。ま、だから付いてきたんだけどね」
「……本当に仲間になってくれてありがとう、イオ。それにトランも。俺は本当に感謝している」
「水臭いぞ、この」
「はは……カノンも、本当に……」
「カノンちゃんは既に仲間だよ」
その含みのある言い方にレオンは勘付くも、気付かないふりをしているイオに感謝しながら頷いた。
「ああ、そうだな」
この時間がずっと続けば良いのにと、レオンは思ったのだった。
「少し、話を良いか?」
「トラン?」
カノンは深刻そうなトランのその様子に、不安を覚えたのだった。
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