踊るお酒
寒くなってきたから部屋に入ろうと、カノンとレオンが戻って来ると、何故かイオがいない。
その他全員は、ある者は酒樽を抱きしめて幸せそうにしていたり、ある者はベッドに向かって説教している。
全員酔いつぶれて見境ない。
「……この状況は、絶対に放置すると巻き込まれる!」
小さく呪文を唱え、カノンは全員を寝かせる。
ついでにベッドに横にならせて毛布までかける親切さだ。
「あとはイオだけれど……どこ行っちゃったんだろう」
「下の酒場かもしれない。以前、酒場で踊っていたし」
「でも、ここで踊っていればいいんじゃないか?」
「酒がなくなったんだろう」
「なるほど、理解した」
至極納得したようにカノンは頷く。
そして自分達も元の宿に戻ろうとする。ホーリィロウ達のように、金銭的に豊かではないのだから。
そう考えて何故かカノンはイラッとしたが、張り合わなくてもいい部分で張り合っても仕方がない。
きちんと堅実にコツコツやって行かないと、とカノンは自分を慰めた。
そして酔いつぶれたトランを背負おうとして、レオンに取られる。
「トランぐらい僕だって背負えるもん」
「ははは、今こそ筋肉の力を見せてやる」
「……レオン、まさかまた筋肉を増強する技にしたりしていないよね。
「なんの事かな?」
即座にその技を忘れさせようとカノンはするが、後ろにトランを背負っているので手出しできない。
お酒がよほど美味しかったのか本当に幸せそうだ。
やけに高そうな瓶がゴロゴロあったし。
カノンは自分の財布を見て、悲しくなった。もっとがんばろう。これから。
そこで下で賑やかな声を聞く。
囃し立てる人の声やら音楽やら笑い声。
「うん、やっぱりいたみたいだな、イオ」
「見ていないのに分かるの? レオン」
「イオが踊るとたいていあんな感じになるんだ。イオは天才だよ、人を惹きつけるね」
「ふーん、そんな子仲間に入れてレオンはお怒りを買わなかったの?」
「あまりにアレ過ぎて、逆に同情された。応援するように送り出された」
「……そうか良かったな」
その時の様子が頭に浮かんできて、カノンはそれ以上突っ込むのを止めた。
そして下まで降りてくると、凄まじい熱気で、とても声がかけられそうにない。
どうしようか遠巻きにレオンとカノンが見ていると、イオが気づいて手を振った
「カノンちゃん達どうしたのー」
「これからいつもの宿に戻るんだ。イオもそろそろ……」
そこで盛大なブーイングが起こる。
どうしたものかとレオンがイオを見ると、顎に一本指を当てていおは少し考えてから、
「もう少しサービスしてから行く。まだ皆さん、この程度じゃ足りないみたいだから!」
一斉に、イオへのラブコールが始まる。それに応じるようにイオが踊りだして、取り敢えず、五月蝿いので外にレオン達は出た。
「イオ、凄いね」
「うん、以前見ただろ、イオの踊り」
「……でもあそこまで夢中に……そうだね、イオの声も動きも一度聞けば耳から離れないくらい、素晴らしいものだったね」
「そうそう、だからこそ、危険がったりするけれどね」
「……どういう事?」
「自分だけに踊って欲しいという狂信的な輩がいるんだ。それをいつもならトランが排除していて、俺が会った時は、トランでも手に負えない時だったんだ」
出会いの馴れ初めを聞いて、なるほどとカノンは思う。
しかし、その時カノンはどうしていた事になっているのだろうと思って、ぞっとする。
けれどそれは杞憂に終わった。
「あの時まだカノンが故郷の村にいる時だったから、その馴れ初め知らなかったんだよな。もっと違う人でよかったんじゃないかって問い詰められたもんな」
「……普通はもっと先頭に従事していそうな人を選ぶよね」
「あの時はも言ったけれど、この二人と旅がしたかったんだ」
「そっか。確かに僕も二人と一緒のほうがいいや」
「カノンも同じ意見でよかったよ」
「それでも、もう少し戦闘出来る仲間とか……」
「カノンさえいれば俺は良いよ」
レオンの言葉に他意はないはず。そうカノンは思うのに、分かっているのに、カノンがいなくちゃダメという気が少しして、ちょっと嬉しかったりする。
その気恥ずかしさから、宿に戻るまで終始、カノンは口が聞けなかった。
そんなカノンを目を細めながら優しげにレオンが見ていたことに、カノンはついぞ気づかななかった。
そしてトランを寝かせて酒場にやってきたレオンとカノンは、イオが攫われたことを知ったのだった。
はっぴー、にゅーいやー。あけましておめでとうございます。
゜・:*:・。♪☆彡^・∋★A Happy New Year★∈・^ミ☆♪。・:*:・゜
゜☆,。・:*:・゜★o(´▽`*)/♪Thanks♪\(*´▽`)o゜★,。・:*:・☆゜
今年もよろしくお願いします。




