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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.8 エルヴァスティ王国

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第99話 なんの話?

イルボ、話をしようぜ。

その為に俺はここにやってきたのだから!

金髪豚野郎…… お前達をそそのかした男と今から話をつけるからな!

イルボ商会 一階店舗フロア――


 イルボ商会で俺とイルボが対峙している。

 俺の後ろには嫁や仲間が、イルボの後ろには商会の従業員達にフローラの姿があった。

 フローラ……

 フフフ、相変わらずけしからんデカい乳をしてやがるぜ。

 自慢じゃねぇが、俺の嫁達は平等に胸が平らだ。


 胸平ら。


 それは、しょうがないな。

 俺の嫁は、男とロリババアだから。

 まあ、平らな胸も可愛くて好きだ俺は!

 最高だぜ、平らな胸!

 うん。

 羨ましくない。

 全然、羨ましくない。

 絶対に羨ましくない!

「アーハハハハハ、ハァァァ」

 くそっ!

 あれ?

 俺の目に涙が。

 くそっ!

 イルボ! 俺の横には巨乳美女がいるぜとか俺に自慢したいのか?

 いや、そうなのだろう。

 巨乳を連れているからって偉そうに!


※カズヤが勝手に思っているだけで、当然イルボはそのような事を考えていません。


 ふざけんな、俺だってお前みたいに巨乳を触りたいよ!


※カズヤが勝手に思っているだけで、当然イルボはそのような事をしていません。


「どうした? いきなり笑いだして?」

 イルボ……

「いい気になるなよ!」

 俺は涙目でイルボを睨み言った!

 お前には絶対負けん!


 そんな二人のやり取りをカズヤの嫁達は固唾を飲んで見守っていた。


「おおぉ…… カズヤの奴、珍しく熱くなっておるのじゃ」

「そりゃそうだよラージャちゃん。

 金髪豚野郎をそそのかして、僕達の街を滅茶滅茶にしようとした張本人を前にしているんだもん!」

 ライネはラージャに頷くと、カズヤの背中を頼もしく思うのだった。

 そう、ライネの勘違いだろうと、今のカズヤは燃えている。

 街の件に加え、巨乳美女が羨ましくて羨ましくてしかたないという妬み嫉みも加わったのだから!

 それは、実に人間らしい感情といえよう。



「カズヤ……」

 不味い!

 イルボが喋ろうとしているが、畳みかけてくる気だな。

 平らな胸を馬鹿にするんだろう!

 嫁が傷ついたらどうするんだよ、やめろ!

 差別を許さない男、すなわち俺は憤りと負けたくない気持ちで一杯だ。


※カズヤが勝手に思っているだけで、当然イルボはそのような事を言う訳がありません。


 イルボ!

 お前ふざけんなよ、胸が平らだからって何だってんだ!

 胸平らだからって、誰かに迷惑かけて無いだろう!

「おっと、イルボ! 俺に勝ったと思ってるなら間違いだ!」

 人の価値ってのは、胸の大小で決まるわけじゃないからだ。

 いやね、俺は常々そう思ってたんだよ。

 決して言い訳じゃないし、強がりでもない!


※言い訳で強がりです。


「いや、私は勝ったなどとは思ってはいない。

 なにせ、カズヤ達みんなが俺の前に現れたのだからな」

 え?

 敗北宣言なのか?

 それとも、余裕からの言葉なのか?

 わからねぇ!

「そうだが……」

 あっ!

 そうだな。

 俺は気づいた。

 確かに俺の方が嫁が沢山いる!

 一人の巨乳より、沢山の嫁の方が羨ましいってことだ!

 そうだよな?


※違います。


 数は力だよ!

 なんだか、そう思うと心に余裕が持てるようになってきたぞ。

「ハハハ、イルボ、お前の負けだ! この数を見ろ!」

 俺は、手を広げ、嫁の数を誇った!

 勝った。


 どれ、敗者の顔でも拝ませてもら

「やれやれ、それしきの人数でどうしようというのです?」

 余裕の表情!

 なんたる事か?!

 俺はイルボの言葉に耳を疑った、その余裕はどこから?

 ……もしや、フローラだけじゃないとでも言いたいのか!


 ん?

「はっ!」

 よく見ると、ここの従業員の女達の胸……


 デカい!


 いや、流石にフローラには劣るが、なかなかの巨乳揃いじゃないか!

 もしかして、採用の時に胸のデカさで選んでるんじゃないだろうな?

 で、でも、そんなのハッタリだよ!

 女性従業員が全員お前の女だなんて事があり得る訳がない!


※当然です。


「ここは私の商会ですからね。

 この部屋にいる者だけではなく、この建物には、まだまだ、いますよ。

 数を頼るのなら、私の方がここでは上ですよ。

 それを、その人数で…… ククク、おっと、失礼」

「……」

 なんて事だ、イルボが女性従業員は全て俺の女だと宣言した。


※一言も言っていません。


 まさか、女性従業員がお前の女だったとは……

 胸も数も負けたのか、俺は。


ガクッ


 膝から崩れ落ちた俺。

 完敗だぜ、イルボ。


「カズヤ!」

「カズヤさん!」

「カズヤ様!」

「カズ君!」

「カズヤ!」

 胸平ら達。

 いや嫁達の声だ。

 嫁達は、巨乳じゃないし…… いや、仮に巨乳だったとしよう。

 そうだったとしても、とても数で勝てないじゃないか。

 俺は、負けたんだよ、今更……

「……え?」

 嫁達を見ると、そこにいたのは全然諦めていない嫁達。

 胸が平らなのに…… お前達。


「そ、そうだよな」

 俺は、ゆっくりと立ち上がる。

 俺は、馬鹿か?

 俺には、こんなに勇気と力をくれる存在がいるじゃないか。

 俺は、負けていない。

 数がどうした?

 巨乳がどうした?

 胸がない?


 それが、どうした!

 

 俺には最高の嫁達がいる!

 俺は、嫁達を愛している。


「数に頼るのは、お前の心の弱さだ。

 (胸の大小という)多様性を認められないお前に俺は負けない」

 俺は立ち上がった!

 完全復活!

 そう、今の俺は自信をもって言える。

「俺の嫁は、胸がないけどアレがでかい!」


 その瞬間、全ての人が思った事をイルボが言った。

「うん。 ……何を言っている?」


「何って?」

 フフフ、イルボめ、それは負け惜しみって奴なのか?


※違います。


 しょうがねぇな。

「巨乳を集めたくらいで、俺に勝ってると思っているお前に思い知らせてやったんだよ」

 ビシッと指を指して言ってやりましたとも!

 フフフ……

 ポカンとした顔をやめろ、イルボ!


「タイムなのじゃ!」

 は? タイム?

 なんか叫んで俺達の間にラージャが割って入ってきた。

 って、え?!

・

・

・



 ラージャに引っ張られて、俺達サイドに連れてこられた。

 なんなんだ?


「おい、お前は何を言い出しておるのじゃ?」

「何ってラージャ。 そりゃぁ、向こうが巨乳だらけで、こっちは、胸平らだから」

「いや、何を言ってるのかさっぱりなのじゃ。

 頭がおかしいの? ねぇ、おかしいの?」

 おかしいって二回言った!

「みんな、ラージャが酷いことを……」

 顔を振ると、ライネ、ペトリ、ミカエル、ボリスが顔を赤らめていた。

 ……アレがデカいとか言ったから恥ずかしいのかな?

 フフフ、みんな可愛いな。


「おい、よそ見をするな、なのじゃ!」

「……なんだよ」

「我の顔を見るのじゃ!

 いいか?

 頭のおかしいお前の為にゆっくり言ってやるから良く聞くのじゃぞ。


 カズヤは、なんで、この、王都に、来たのかな?


 どうじゃ? 言った事が理解できたか?」

 うん。

 かなりラージャが怒っているのが伝わる。

 心配すんなって、ちゃんと覚えてるよ。

「えーーと、そりゃぁ、金髪豚野郎達をそそのかしてたイルボ商会に」

 あっ。

 自分で言ってて気づいた。

 俺は、何をやってたんだ?!

 巨乳、胸平らって、何を考えてたんだ。

 よし、無かった事にしよう。

 手始めに……

「ラージャ、真剣な場なんだから、おふざけは大概にしとけよ」

「な゛っ!? ふざけんななのじゃ! お前が」

「忙しいから、後でな」

 きっぱりと言葉をさえぎってやった。


 さてと、

「イルボ! どうして、俺達の街にちょっかい出すような事をした!」

少々、話がずれてしまった。

当初の目的を忘れるところだった。

おふざけはここまでだ、イルボ!

って事で、次回も、乞うご期待!

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