表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.3 異世界 恋人獲得
9/105

第9話 現金獲得

ラージャの力と俺の力を使えば、無限の可能性がある!

全ては、俺がモテモテになる為!

そして、彼女をつくるって野望をかなえる為なのだ!

期待してるからな、ラージャ!

 ラージャの能力『空間収納』はアレだ、沢山の荷物を収納出来るってあの便利な機能だ。

 そして、その中に入れた俺のスマホは、ネット通販が可能。

 それは、俺しか操作出来ない仕様になっているらしい。

 ちなみにラージャの空間収納から出してスマホを弄ってもネットにつながらなかった。

 つまり、何が言いたいかというと、ラージャ一人でも俺一人でもダメだって事。


「俺達、運命共同体だよな!」

 ニコッ!

 俺は、素敵な笑顔でラージャに言った。

「……カズヤの買ってくれるお菓子は魅力的だが、空間収納があれば荷物運びの仕事とか出来るから一人でも生きていけ」

「さっ! そんな事より、行くぞ!」

 ラージャの癖に余計な事を考えようとしたので強い口調で俺は言った!

 考えるのは、俺の仕事。

 小さい子に苦労をさせるなんて出来ないからな。

 俺が立派な男で良かったな、ラージャ!



 俺は、やって来た。

 このラージャを飢えさせる訳にもいかないし、何より、今日の宿代くらいは稼がねばならぬからな!

「いざ、売りに行くぞ!」

 商品を売る為に、デカいこの商会にやって来たんだ!

 ラージャは、閻魔だから街での野宿も平気かもしれんが、俺は、ベッドで寝たいから宿代を稼ぐ!


「カズヤ、ホントに大丈夫なのか? あんな物で? やっぱ300グラム3,000円のにしといた方が良かったんじゃないのか? なのじゃ」

 ラージャが心配して言ってきたが、軍資金が3万ちょっとしかないのに、たった300グラムに3,000円も使えるかよ!

「まぁ、1kgで349円のだが、大丈夫だ!」

 こいつをドーンと10袋購入した俺!

 貴重な日本円だから大切に使うのだ。

 10袋もあれば良い金額になるだろう?

 残金、28,990円

 俺の生命線。

 コレが無くなると、下手したらラージャに捨てられてしまう。

 その前に、この世界で独り立ち出来る力を手に入れなければ……

「その為に、ここに来たんだからな!」

 目の前の豪華な建物を睨み俺は、決意に燃えていた!



【 イルボ商会 】


 イルボ商会は、平民であるイルボが一代で築き上げた商会である。

 その始まりは、彼の出身地であるエルヴァスティ王国 オリアン領 ラウマ村の小さな商店。

 安価で、より良い品を消費者に! をモットーに彼は、物流に力を入れ、エルヴァスティ王国にその名を轟かせるイルボ商会を作り上げたのだ。


「会頭! 下に、頭のイカれたおかしな服装の男が社長を出せと言っています!」

 番頭のフローラが会頭室に入るなり言った。

 フローラは、女性でありながらイルボに認められイルボ商会の№2として辣腕を振るう女性である。

 ちなみに、胸がデカい。

 些細な事である。


「落ち着け、フローラ。

 どうした?

 強盗で無いのであれば、自警団にでも出張ってもらえば良いではないか?」

 仕立ての良い背広に身を包む会頭のイルボは、慌てた様子で部屋に入ってきたフローラに落ち着いて答えた。


「……それが、その男は、小さな女の子を連れているので、あまり事を荒立てたくないので……」

 フローラの言葉を聞いて、イルボは小さく笑う。

 物流は、お客様の笑顔の為に、そして、安価で、より良い品を消費者に。

 事を荒立たせないのは、どんなお客様であってもお客様第一主義があるからだ。

 自分の信念が目の前のフローラに伝わっている事が嬉しかった。

 ちょうど、時間も空いているし事もあり、イルボは久々に接客をしようという気になったのだ。

「ああ、解った。

 それでは、そのお客様の元へ、私が行かなければならないね」

 そう言って、イルボは、部屋を後にした。



「おい、カズヤ!

 さっさと売っぱらったら良いのじゃないのかなのじゃ」

 ラージャが、バカ丸出しで俺に聞いてきた。

 全くもって仕方がない奴だ。

 まぁ、ラージャなら仕方ないか。

 ヤレヤレ


「その顔、凄くムカつくのじゃ! 止めるのじゃ!」

 ラージャがいっちょ前に抗議の声を上げるなどという愚行を犯したが、心の広い俺は笑顔で受け流してあげると共に教えてあげた。

「より高く取引するためさ☆」

 言い終わってニコっと笑ってあげると、ラージャが俺を憐れみの目で見てきた。

 コイツ、完全に俺を信用してないな。


「お客様! お待たせしました。

 私が、商会の会頭イルボです」

 奥からナイスミドルが現れた。

 おっさんだが、モテそうな感じの人だな。

 いや、相手に呑まれるな!

 コンビニでのバイトで色んな客に接してきただろ、俺!


「あ、あの…… 塩、塩を、売り、売りたいです」

 俺は、堂々と言いのけた!

 頑張った俺!

 立派な男の大人と面すると緊張する!

 その点、あの騎士団の団長は大丈夫だったな。


「おい、声が小さくて聞き取れないぞ! なんて? なのじゃ!」

 ラージャがデカい声で俺に言ったが、お店の中でデカい声を出すんじゃない!

 他のお客さんに迷惑がかかるだろう?

 俺は、オドオドして周りの反応が怖くてたまらなかった。



(イルボ)


トクン……


(この青年は、なんて純情なんだ……

 そして、その漆黒の黒髪。

 潤んだ瞳……

 守ってあげたい!)

 カズヤを一目みて、イルボは心を奪われた。

 商売一筋、伴侶を娶らず50歳まで独身を貫いてきたイルボは目の前の男に恋をした。

 だが、一代で大きな商会を作り上げた彼は、気持ちを必死で抑え込む。

 今は、取引の場!

 商人として、

「買い取らせてもらおう!」

 は?

 え?

 俺は、何を?

 口から出た言葉に自分で驚くイルボ!

 それは、カズヤもフローラも同様であった。




「イルボ様、流石に商品も観ずにソレは……」

 胸の大きな俺の好きなタイプの女性がナイスミドルに言ったが、俺もそう思うぞ。

 しかし、大きい。

 イカン! あんまり凝視してるとセクハラになっちゃうからな。

 ここは、堂々と!

「あ、あの…… これ……」

 俺は、カウンターにハカタの塩1kgを置いた。

 塩が売れるって読んだから…… 頼む!


「何ですか? 透明な袋…… ツルツルしてますね」 

 胸の大きな女が俺の商品を持って不思議がっているが…… しまった! ビニールから出しておいた方が良かったか!

 しかし、凄く大きいな。

 俺は、思わず手を出した。

 いや、ビニールを開けてやったのだ。


「……コレは、塩? 凄く純度が?!」

 胸が大きな女が言った。

 天然の不純物が入った方が旨いのだろうが、この塩も旨いぜ!

 家でもコレを使ってたからな!

 大きいから、肩コリとか大丈夫なのだろうか?

 俺が、その胸をしたからもって人間ブラジャーになって彼女の肩コリを解消させてあげたい!

 そんな人道的な事を考えていると、ナイスミドルのイルボだっけ? おっさんが俺の塩を指に付けて舐めた。

 お前、試食したんだから、ちゃんと買い取れよ!


「コレは?!」

 言ったおっさんが俺をジッと見ている。

 なんだ?

 どうなんだ?


「カズヤ、つまんないから、店の中観てて良いか? なのじゃ」

「ラージャ、もうちょっとだから、待っててね、終わったら一緒に観よう」

 堪え性の無いラージャに言っった俺は、舐められないように会頭のおっさんの目をジッとみた。

 うん。

 目線をずらされた。

 俺の眼力の力か?


「可愛、いや、素晴らしい物だ! 全部うちの商会で買い取らせていただこう!」

 おっさん、いや、イルボ会頭が言ってくれた!

 素晴らしい物だって言ったよな? 期待するぞ!

「ですね、会頭。

 貴方のお名前は?」

 イルボ会頭に頷いて言った胸デカ女が聞いてきた。

 俺が気になる?

 モ、モテモテの最初の一歩か?!

 女騎士が最初かと思ったが、商人の娘さんが最初ですか!

「カズヤ……

 俺は、カズヤ・フジノです」

 カッコつけて言った俺は、手を差し出す。

 このまま、その大きな膨らみに手をやりたいところだが、今は、我慢だ!


「カズヤさん、こんな上質な塩をありがとうございます!」

 え?

 おっさんが、俺の手を握ってきた。

 いや、これは、あのお姉さんに向けたもので、あれっ?

「会頭、買い取りは、相場の3倍の値でよろしいですか?」

 あ、いや、お姉さん?

 僕は、貴女にこの手をですね、

「フローラ、 ……5倍だ」

 イルボ会頭が俺の手を握ったまま、胸デカ女ことフローラさんにキリッとして指示した。

 やった!

 高く買い取ってもらえるってことだよな?

 ……そろそろ、その、手を離してくれても。


「カズヤ…… 500ゴールドで構わないか?」

 なんか、甘く囁かれた。

 ……塩の買い取り価格だよね?

 なんか、違う風に聞こえるのは、俺の勘違いだよね?


「あ、ああ。 構わないぞ」

 相場なんて知らないし、もう手を放してもらいたいので俺はイルボ会頭に答えた。

 てか、返事したんだから、離して!


「今後も継続して、取引してくれるかい?」

 ん?

 ああ、そういう事か!

 甘く囁くように言ってくるのが凄く気になるが、俺の商品が気に入ったって事だろう。

 よし、販売ルート確保だぜ!

「ああ、これからも頼むよ、イルボ会頭!」

「カズヤ…… 俺の事は、イルボで良いからな」

「お、おう」

 うっとりした目で見つめるな!


「カズヤ~、まだなのかなのじゃぁ~」

 ラージャ?


「カズヤの子なのか? 可愛いものだな」

 イルボ会頭が俺の手を握ったままラージャを見て言った。

「あ、いや、……妹だ」

 適当だ。

 兎に角、離せこの野郎!


「フフフ…… どうだ? この後、今後の取引の事など食事をしつつ」

 そんなの、行くわけな

「食事! 良いのじゃ! 腹が減ったのじゃ!」

 ラージャ、お前!

「いえッ! この後、予定があるので、失礼したいと思います!」

 余計な事を口走りそうになったラージャの口を慌てて抑えて俺は、イルボ会頭にお断りを告げる。

 ハッキリ嫌だと言わないと相手にも悪いからな!

 そんな時、胸デカいや、フローラが金を持ってき…… そんなに!

 金がぎっちり詰まった革製の小袋を見て声が出そうになってしまった。


「あ、ありがとう」

 直ぐにでもこの場を離れたいとこだが、念の為、

「会頭。 すいません、金額をたしかめますので、手を……」

「おっと、すまんな。

 カズヤが、あまりに可愛くてな、ハハハ」

 うん。

 とうとう俺を可愛いとか言い出したぞ、このおっさん!

 俺は、ニコリと笑って、内心凄い焦っていた。

 早く帰りたい。

 そして、高速で金を勘定した!

 硬貨に金額が刻んであるので助かる。


「金額丁度ございました! 取引ありがとうございました! また、宜しくお願いします!」

 そう言って、席を立つと、ボケっとしてるラージャの手を取り足早に店を後にした。

 なんだったんだ、この店は!


「カズヤ、せっかく食事をおごってもらえそうだったのに、欲の無い奴じゃな」

 店を出るとラージャが言ってきた。

 欲とかそんなんじゃ無いのだが……

「ラージャ、俺のおかげで金が手に入ったのだからな、感謝したまえ」

「その金は、どのくらいの価値があるのかの? なのじゃ」

 うん。

 俺の言葉を軽く流してラージャが聞いてきたが、確かに。

 まぁ、ずっしり重いし、結構な金額だろう。

「解んないけど、宿屋に行って泊まれるか聞いてみようぜ!」

 疲れたし、休みたい。

「部屋は、個室なのじゃぞ!」

「ああ、安けりゃな」

 贅沢者め、金なんて使えばすぐになくなるんだからな。

「絶対なのじゃ! 魅力的だから、襲われたら大変なのじゃ!

 スケベそうな顔をしてるのじゃ」

 ん?

「……誰が?」

 意味が解らないのでラージャを見ると、ぺったんこの胸を両手で隠し横目で俺をジト――っと見ていた。

 なっ、なんたる自意識過剰。

 さっきの商会の胸デカフローラなら興奮するが、お前に俺が?

「……なんか、疲れがドッと出た感じだ。

 早く、宿を探そう」

 弁解するのもバカバカしい。

 兎に角、俺とラージャの異世界生活が今日から始まったのだった。

ラージャの事を自意識過剰と言ったが、俺もかもしれない。

商会のおっさんが俺に言いよって来たと思ったのは勘違いだったんじゃ……

まぁ、邪険にされたり、迫害されたりしてないのは、幸せな事かもしれないな。

さてと、金が出来た。

活動資金が出来たって事は、彼女づくりを始めなさいという事だろう。

待ってろよ、女の子達!

って事で、次回も、乞うご期待!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ