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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.3 異世界 恋人獲得

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第8話 王都 ヴァーラ

貞操の危険を感じながらの道中も終わりだ。

たったこれしきの行程で5kgぐらい痩せたんじゃなかろうか。

兎に角、無事に到着出来た事を感謝せねばな。

さてと、ここがこの世界の街か。

王都 ヴァーラ、この街で是非とも可愛い女の子と知り合いになりたいものだ……

 精神的にフラフラになりながらも騎士団と一緒に王都に到着する事が出来た。

 思ったより近かったな。

 騎士団と一緒だからか、門番に止められる事なくすんなりと王都の中へと入る事が出来た。

 


「さぁ、カズヤ殿、到着です。

 ここが、エルヴァスティ王国 王都 ヴァーラですぞ」

 ボリス団長が、馬を降りて言った。

 凄い。

 石畳の道。

 街路樹。

 高層建築。

 ……なんて綺麗な街なんだ。

 遠くに城が見える。

 なんか、異世界に来たって感じだ!

 早く、街を探検したい!

 って事で、俺も馬を降りようかな。

「え?」

 ボリス団長がそっと俺の手を取って、馬から降ろしてくれた。

 うーーん、紳士的。

 じゃっ!


「ボリス団長、道中、ありがとうございました!」

 俺は、素早くお辞儀して言った。

「カズヤ殿! どちらに!」

 ボリス団長の声が聞こえたが、俺は立ち止まらない。

 そして、風のように、ライネの背中で寝てるラージャを受け取ると、街の中へと走って行く!

 なぜなら貞操の危機を感じているからな!

 俺は、この場から一刻も早く逃れるのだ!

・

・

・



 凄く走った。

 兎に角、これだけ離れたらもう大丈夫だろう!

 路地に入った俺は、おぶってたラージャをそっと降ろして、腰かけた。

 疲れた。


「おい、ラージャ起きろ!」

「……う~ん、ムニャムニャなのじゃ」

 このガキ…… 俺が精神的にまいってたのに。

「起きろって!」

 この役立たずの元閻魔め!

 今更的な感じもしないではないが、現状の把握だ。


「ステータス オープン!」

 俺の目の前に半透明の…… いや、何も起きなかった。

 おかしい。

 コレじゃ、レベルの確認とか出来ないじゃん!

 俺は、激しく肩を落とした。


 いやっ!


 魔法だ!

 魔法さえ使えれば!

「ファイヤーボール!」

 うん。

 出ない!


 ……嫌な予感しかしない。


「もしかして、単に異世界に転移させただけなんじゃ……」

 真っ青になった。

 チートもない。

 金もない。

 役立たずがいる。


「……あ」

 そうだ、バック!

 ガム出した時点で、沢山物が入るって鞄では無いのは確認済みだが、何か役に立ちそうなものがあれば……

  ・ボールペンと手帳

  ・通帳とキャッシュカード

  ・財布( 32,580円 )

  ・ポケットティッシュ

  ・ハンドタオル

  ・ガム

  ・タバコとライター

  ・スマホ

  ・部屋の鍵


「……売るか?」

 ポケットティッシュとかこっちの人間には珍しいだろうし……

「……ん? あれ、カズヤ、ここ何処なのじゃ?」

 役立たず、いや、ラージャが起きた。

「どこなのじゃ? じゃないよ。

 ラージャ、お前、何かもってるか?」

「何かって? なんじゃ?」

 手ぶら。

 聞いた俺が馬鹿だったな。


「うーーんと、何か持ってるかと言われても何が必要なんじゃ?」

 ん?

 ラージャが、空中を見て悩んでる。

 そうか、なんかリストが出てるもんな。

「どれ? んーー、服とか靴とか日用品か…… 食べ物とか無いんだな」

 そっか。



 ん?


「おいッ! 何コレ!」

 てか、何!

 お前だけそんな主人公みたいな仕様なのか!

 納得いかん!

「コレは、我の技能『空間収納』なのじゃ!」

 うわぁ、凄い勝ち誇った顔してやがる。

 なんか、ムカつくな。

「よし、ラージャ、このバックをその中に入れてみてくれよ」

 モノは試しだ!

 俺は、ラージャにバックを渡そうとしたが…… どうした?

「……言い方が違うじゃろ?」

 ラージャが俺の顔を覗き込んで聞いてきた。

 何、その顔。

 凄くムカつくのだが……

「ら、ラージャさん、バックを入れてみて下さい」

「しょうがない奴じゃの、よし、任せておくのじゃ!」

 次の瞬間、俺の手からバックが消えた。

「ほれ」

 ラージャが顎でクイッとリストを見ろと言わんばかりにやった。

 いちいちムカつくな。

「入ってる! ウヒョ! 出してみて!」

「ほれ、なのじゃ!」

 バック出た!

「入れて!」

「カズヤ、どうじゃ!」

 凄い! 役立たずと思ってたラージャが一気に重要人物になったぜ!


「ラージャ! これからも宜しくな!」

 希望が見えてきたぜ!

「……さんじゃろ?」

 ん?

 あれ、何か言ったか?

「どうした、ラージャ?」

「だ・か・ら、ラージャさんじゃろ?」

 何その顔。

「なんだよ、どうしたんだラージャ、さっきから変だぞ、お前!」

 もう、悪ふざけすんじゃないよ!

「我は、優しいから、カズヤを見捨てないのじゃ」

「お、おう、ありがとう」

「……我の下僕として、大切に扱ってやるのじゃ」

「ふざけんじゃねぇ!」

 調子に乗りやがって! なんだよ、物が入るの持ってるだけじゃん!

 だが、悔しいが…… 確かに、その機能があれば、物流の仕事とかも出来そうだし食うに困らなそうだしな……


 ん?


「おい、そのリストの俺のバックのファルダ」

「なんじゃ、カズヤ?」

 ラージャのリスト、俺のバックのフォルダ内のスマホが光っている。

「どういう事?」

「解らないのじゃ」

「選択してみろよ」

 俺に促されて、ラージャは、リストのスマホをタッチした。

 タッチパネルになってるの?

「何にもならないのじゃ!」

「ええい、俺がやってみる!」

「触るななのじゃ!」

 ラージャが抵抗したが、俺が画面に触れると、スマホが選択された。

 別ウインドウが開く。

 ネットにつながってんの?

 いや、違うよな。

「こんな機能知らないのじゃ!」

 ラージャが騒いでいるが、無視するとして。

 この画面って……

「通販サイトの画面じゃないか」

 俺は、100円のチョコを選択、購入……

「あっ」

 32,580が32,480に変わった。

 この数値は、俺の財布の中身……


「おい、カズヤ! 空間収納に何か入ったのじゃ!」

 見ると、チョコが入ってる!


「買い物が…… 出来た」

 マジか。

 余りの事に体が震えてきた。


「ギャハハ、面白いのじゃ! もっと買うのじゃ!」

「わっ! 止めろ、3万しかないのに!」

 ラージャが面白半分に通販画面をバシバシタッチしやがった!

 俺の金が!


「あれ? あれれ? 選択出来ないのじゃ!」

 スゲーー ホッとしたぁあああ!


「すまんラージャ、今買ったチョコを出してくれ」

「う、うむ。 なのじゃ」

 俺の手にチョコが現れた。

 包装をとって、

「ラージャ」

「ん?」

 口の中にチョコを入れてあげた。


「んんんーーー! 甘いのじゃぁ」

 ほわーんとした顔でほんのり頬を赤く染めたラージャが言った。

 フフフ、可愛い顔しやがって。

「ラージャ、もっと欲しいか?」

「カズヤーー、ありがとうなのじゃ!」

 満面の笑みでラージャが言った。


「……違うだろ?」

 俺も満面の笑みで言ってあげた。

「……ん? なのじゃ」

 ラージャと俺、二人で微笑みあっている。


「カズヤさん、わたくしめのような者に恵んでくださいだろ?」

「なんじゃ、お前! 買い物出来るようになったからって態度が変わったのじゃ! 男の癖に、みみっちいのじゃ!」

 そっちから、先に仕掛けてきたんだろ?

 仕返しだ、仕返し!


「ふう、冗談だよラージャ。

 お前と俺、二人の能力を使えば、この世界で生きていけそうだな!」

「そうなのか? なのじゃ」

 うん、ポカンとするな。

 そんなんで良く閻魔になれたな、おい。

 そんなに人材不足なのか?


「なぁに、心配すんなっての! 俺に任せとけば大丈夫だって!」

「……カズヤ、お前凄く悪い顔になってるぞ、我は心配なのじゃ」

凄い能力だ。

俺とラージャの二人ならば、苦労無くこの世界でやってけそうだ!

モテる!

モテる未来しか、俺には見えないぜ!

って事で、次回も、乞うご期待!

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