第65話 ライネの危機
家出したライネは、王都を目指していた。
そんなライネに危機が迫る。
王都を目指し山中を歩くライネ。
王都までの道のりは遠い……
「バイクじゃなくて、馬でこれば良かった」
絶賛後悔中のライネ。
愚痴りながらも歩みを進める。
街道ではあるが、ここは山中、薄暗い道。
気味の悪さを感じ、ライネは一人でいる不安を感じていた。
「山賊とかでなけりゃ良いけど」
腰に装着した鉈を思わせるようなナイフ。
護身用にカズヤからもらったものだ。
ライネは、もらった時の事を思い出す……
『ライネ、変な奴がいたら躊躇なくコレで相手の頭をかち割れ』
物騒な事を笑顔で言うカズヤ。
「フフ、カズヤさんって心配性なんだから」
ナイフを受け取るライネは、カズヤの優しさにホッコリとした。
「コイツだけだと、なんだか心もとないな……」
剣を家に置いてきた事を悔いても仕方ないとライネは、道中の無事を祈っ
「う゛っ!」
ライネが変な声を出し、立ち止まった。
何故なら、ライネの行く先を如何にもな出で立ちの山賊と思しき集団が待ち構えていたからだ。
どうやら、木の影に隠れていたらしい。
「……盗賊か?」
後ずさるライネに緊張が走る。
「おっと、こっちは行き止まりだ!」
ライネの耳に後ろから声が聞こた。
「えっ?」
ライネが振り返るとニヤついた男達が道をふさいでいる。
その出で立ちから、ライネの前にいる山賊の仲間である事は間違いなさそうだ。
「へへへ……」
「久々に女とヤれる」
「可愛い顔してやがる」
男達がニヤついた顔で口走る。
とても頭が悪そうだ。
いや、悪いのだろう。
賢かったら山賊になどならないだろう。
そうライネは思った。
「何か、僕に用でもあるの?」
身の危険を感じつつライネは、腰に付けた鉈のようなナイフを逆手に掴み話しかける。
「おーーっと! 大人しくしていた方が身のためだぞ。
どっちにしろ、お前は、これから俺達に捕まるんだからな。
抵抗して痛い目に合うだけ損ってもんだぞ?」
前にいる集団の真ん中にいるハゲの大男が下卑た笑みを浮かべでライネに言った。
この言葉でライネは、目の前の男達が賊で間違いないと確信する。
「僕をどうしようって言うんだい? 欲しいのは金か?」
喋りながらも、この窮地を脱する方法を考えるライネ。
「まぁ、金は勿論奪わせてもらう。
普通なら殺すけど、お前は、それも飛び切りの上玉だ。
たっぷり可愛がってから、奴隷商に売れば良い儲けになりそうだ!」
ハゲがニタリと笑ったのを見てライネは鳥肌がたった。
あんな男に抱かれるくらいなら死んだ方がましだと思えた。
「お頭! 久々の女だ、俺達にも……」
ハゲの大男の隣にいる槍を持った小男が前に出て言った。
ライネを息遣い荒く舌なめずりをしながら舐めるように見ている。
「おうよ、俺が楽しんだ後でな!
俺達は、福利厚生に力を入れてる山賊だからな、皆にも楽しませてやる任せておけ!」
「さすが、お頭だ!」
山賊達の結束が高まった。
ライネは、小男の言葉を聞いて、やはりあのハゲが賊の親玉だと納得した。
「その、ハゲがお前らのお頭なんだな?」
逆手に掴んだナイフを抜いたライネ!
構えて目の前に来ている小男に聞いた。
槍を構える小男の表情が変わる。
「そうよ、あのおハゲ様が俺達のお頭よ!
お嬢ちゃん、そんなナイフ一本でどうしようってんだ?
ウヒョヒョ、あーー、よしな、よしな。
お前は、あのハゲが味見した後に俺達にまわされるんだから、抵抗して痛い目みるだけ損ってもんだぜぇ、それに綺麗な顔のまま抱きたいしな、ヒヒヒ……
ねぇ、お頭!」
「おうよ!」
小男に威勢よく返事したお頭。
ハゲのお頭は、目の前の美女とチョメチョメ出来る、そしたら、ああしてこうして…… そんな感じで、この先の展開に胸ときめかせた。
「クソッ! 囲まれてるし… あのハゲはしつこそうだ!」
(前には盗賊の親玉のハゲを含めて5人、後ろには4人…… いや、物陰にも何人か隠れているかもしれない、何とかして逃げなきゃ)
ライネは、前後の敵を交互に見た。
「当たり前だろ? へへッ
ハゲだぜ?
絶倫よ!
ただ、ハゲの癖にアレは小さいけどな!
どうせ犯されるんだ、抵抗するだけ損ってもんだぜぇ、ヒヒヒ!
ねぇ、お頭!」
「お、おう…… なぁ、お前さっきから俺の事馬鹿にしてな」
「さあ、大人しく武器を捨てな! お嬢ちゃんよ!」
お頭の声に被せて小男が大声でライネに言った!
ライネは、咄嗟にナイフを構え小男に向き合う。
「……」
お頭は、ハゲとアレに因果関係など無いだろうと思った。
少しムカついたが気分が良いので我慢した。
何故なら、もうすぐあの可愛い女の子を滅茶苦茶に出来ると思ったからだ。
この先の展開を楽しみに思うお頭の目は、少年のようにキラキラと輝いていた。
「ほら、解ったら大人しくそ物騒なのを捨てな」
小男がライネに近づき槍を前に出した。
ガキンッ!
小男の突き出した槍をナイフではじいたライネ!
山賊達は、ニヤニヤしている。
「……ほう、抵抗する気かい? お嬢ちゃん。
よっぽど痛い目に合いたいらしいな」
「大人しく嬲り者になりたくないんでね。
それに、僕はカズヤさんのモノだから、お前達のような汚らしい奴等に触れられたくない!」
小男の懐に飛び込んだライネ。
そして、小男が槍を引き戻す隙を与えず、ナイフで首を掻っ切った!
ビシュッ!
「ぎゃぁあぁああ!」
小男の首から鮮血が噴き出る!
槍を手放し、血が噴き出る首筋に手をやった小男が白目をむいて倒れた。
あっけにとられ、ボケっとその光景を見ていた山賊にライネが迫る!
山賊のお頭は、慌てて周囲に、
「野郎ども、油断するな!」
そう叫んだが、小男の近くにいた山賊がライネに斬られ倒れた。
仲間を目の前でやられたお頭は、斧を振り上げ、
「許さんぞ、女! 滅茶苦茶に犯してやる!
野郎ども、怪我させて良いから取り押さえろ!」
部下達に号令を下す!
山賊達がライネを取り囲むように移動しだした。
「素早いぞ、あの女から距離をとって囲め!」
「囲め、囲め!」
「足を狙え!」
「一斉に行くぞ!」
ライネを取り囲む輪がジリジリと狭まっていく。
ナイフを構えるライネの額に冷たい汗が滲む。
「……このままじゃ、不味いね」
息を吸って一瞬目を閉じた。
「黙って殺されるもんか!」
次の瞬間、意を決したライネは目の前の敵に向かう!
「こっち来た!」
ライネが向かった先の山賊が叫ぼうとした瞬間、
ドッ!
ライネのナイフが目の前の山賊に突き刺さった!
心臓を綺麗に貫かれた山賊がぐにゃりと腰を落とす。
ライネが思ったより深く刺さってしまったナイフを抜こうとしたが、
「今だ! 押さえつけろ!」
「足だ、足!」
「放せ! やめろ!」
「大人しくしろ!」
一斉にライネに山賊達が襲い掛かる。
必死に抵抗するライネ!
ナイフから手を離し、素手で応戦するが、四方から足を手を掴まれ倒されてしまう。
「や、やめろぉ! 僕に何かしてみろ、カズヤさんが黙っちゃいないからな!」
手足を押さえられながらも必死にジタバタとライネがもがく。
「暴れるんじゃねぇ!」
誰かの声がして、ライネは顔を殴られた。
ライネを押さえつける山賊達の怒号と暴力が始まった。
殴られ、蹴られ、次第にライネの力が抜けていく……
「お前等、もういいだろう…… へへへ、ちゃんと押さえとけよ!」
お頭の声を聞いた山賊達がライネの腕を掴む者を残し離れていく。
「た、助け… て……」
ライネは血を流しぐったりといていながらも助けを求めた。
綺麗だった顔が殴られ、腫れ、赤黒くなっている。
涙と血でぐしゃぐしゃになりながらも懇願するライネ。
しかし山賊達は、その姿をニヤニヤとしながら見下ろしていた。
「へへへ、大人しくしていれば、痛い思いもしなくて済んだのに、バカだなお前」
山賊のお頭は、武器を置いて自分のズボンに手をかけた。
(カズヤさん、ごめんなさい……)
ライネは、顔を背け涙を流す。
ゆっくりと、山賊のお頭の手がライネに……
その時である!
「おおーーっと! そこまでだ!」
森に声が響き渡り、山賊のお頭の動きが止まる。
せっかくのお楽しみタイムが始まろうという時に邪魔が入ったのだ、当然、山賊のお頭は頭にきた。
怒り心頭だ。
ライネから体を起こすと、辺りを見た。
人影はない。
「誰だ?! どこにいる!
せっかく今から楽しもうって時に! 出て来い、ぶっ殺してやる!」
山賊のお頭が辺りに向かって叫んだ。
ガサガサ……
草木が揺れる音。
山賊達が音のした方角を一斉に見た、次の瞬間!
バッ!
黒い影が宙を舞い、着地した。
「なんだ?! 貴様は?!」
森の中から自分の目の前に飛び出してきた男に山賊のお頭が言った。
痛い目にあったライネ。
そんなライネの前に現れた人物とは?
そして、ライネは、この危機を乗り越える事が出来るのであろうか?
って事で、次回も、乞うご期待!




