第63話 ライネが家出した
ライネが俺とミカエルの事を……
兎に角、家出してしまったライネを探さないと!
嫁のライネが家出した。
嫁達や家の者は、ライネが家出した理由を知らない。
だが、俺は知っている。
俺とライネの兄のミカエルとの関係がライネにバレたからだ。
うん。
言われなくても、俺が悪いし最低な人間だよ。
嫁が4人もいるから、もう一人追加大丈夫じゃないか? って、そんな軽い気持ち、甘えがどこかにあったのだろう。
でもさ、ミカエルは可愛いし、優しいとこあるし… 俺のミカエルの事を好きな気持ちは嘘じゃない。
最初に見た時、男装したライネのお姉さんかと思ったくらいの女顔の美形だったもんな、ミカエル。
モテモテになりたくて異世界に来た俺だぜ?
そりゃ、脈ありなら行っちゃうでしょ?
それに、この世界だと一夫多妻は別に罪じゃない。
だから、なんの問題もない… と思いたい。
しかし、日本にいた時からモテたいと願っていた俺がモテるなんて…… ただ、女にモテずに男ばかりになるとは……
「男関係で苦労する事になるなんて思ってもみなかった」
……いや、そんな事を考えるのも違うな、考え方を変えよう。
男とか女とか関係ない、性別なんて単なる記号に過ぎないのだから。
大事なのは、愛せるか愛せないかじゃないか?
それが、たまたま男だったってだけだな、うん。
だから俺は、正常。
うん、何を考えているんだ俺は。
今はライネの家出の事を考えなくっちゃ。
まあ、考えるまでもなく、今回の件は、俺だけが悪いんですけどね!
兎に角、ライネの行く先を探るべく会議室に家族を緊急招集をかけたのだった。
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カズヤ達の家、会議室――
嫁のラージャ、ペトリ、ボリス。
オールストレーム領の領主でありライネの父ボリス、母ヒルダ、兄で長兄のエルモ、次兄のミカエル、妹のユリアナが集まっている。
「お父様、申し訳ございません! ライネが、ライネが家出してしまいました」
俺は、ライネの父親オスモに土下座。
「カズヤ、ライネが家を出たのは聞いている!
何か心当たりは?! 一体何があった?」
お父様に本当の事を言っても良いものか……
チラッ
ダメだ、言えない。
そこで小さくなってるミカエルを見ると、ホントの事など…… 俺も、殺されかねないしな。
「でも、本当にライネは家出したの? 買い物に出かけているだけとか……」
母のヒルダが言ったが…… 俺は、ペトリから受け取っていた手紙をヒルダに見せる。
確認したヒルダが俺と手紙を交互に見た。
「カズヤさん、貴方ライネと何かあったの?」
「いえ、まぁ、夫婦喧嘩的な?」
俺は誤魔化すような卑劣な男。
ホントの事など言えないよ。
言えない事をした俺が悪い。
ちなみに手紙には、『カズヤ様の考えが変わらない限り戻りません』とだけ書かれていた。
短い文章だが確実に俺のせいだと解るな。
そして、どんな考えなのか追及されそうってか、されるだろ、コレ!
「兎に角、今は、ライネがどこにいるかが一番大切です! 何が悪いとか言ってる場合じゃないですよ!」
言われる前に言った。
それに、ホントにライネがどこにいるのかを考える事の方が最優先だからな。
「一応、領内の各機関には、ライネを見かけたら連絡するよう通達は出した」
エルモ、仕事が早いな。
「ありがとう、エルモ。 迷惑かけてすまん」
俺は、親友であり今はオールストレーム領の実質的当主であるエルモに頭を下げた。
「遅かれ早かれこうなるだろうと思っておったのじゃ」
ライネが俺に辛辣な言葉を投げかける。
そりゃそうだ、ライネはそもそもハーレム反対派だからな。
しかし……
「お前にだけは、言われたくない」
キッとラージャを見て言った。
「ラージャ様、カズヤ様が怖い顔してます」
「ホントだね、カイン。 僕、なんだか怖い」
「カインもクアラも心配いらないのじゃ!」
ラージャが左右に座らせている可愛い子に言ってキスしている。
えっと、ラージャの右に居るのがエルフの少年でカイン、左にいる獣人の少年がクアラだったか?
二人はラージャの愛人。
対外的には俺の嫁のラージャだが、協力関係にあるパートナーみたいなもんだ。
だから、ラージャが自由恋愛したいって思うのは構わないのだけど…… こんな場で愛人とイチャつくのは違うだろう
「……」
俺も傍からあのように見られているのだろうか?
「てか、ラージャ。 この場には、関係者以外呼んでないのだが?」
一応だが俺は、ラージャの夫なのだが……
そんな俺の目の前に愛人を連れてくるのはどうかと思うのだが……
「ラージャ様、僕達は邪魔ものなんですか?」
「カ、カイン、そんな事無いのじゃ! お前は、我を良くサポートしてくれるし優しいから大丈夫、心配ないのじゃ」
泣きそうなカインにラージャが慌てて言って、俺を睨んだ。
「ご、ごめん。 別にいても良いよ」
なぜか俺が謝る。
なんだコレ?
「残念だけど、ライネは自分の意思で出て行ったんだし、彼の意思を尊重してあげるべきなんじゃないか」
ボリスがキリッとして発言したが、却下。
ライネが居なくなったからって、俺を独占出来ると思わないでいただきたい。
「ボリス、ライネが居なくなったのが嬉しいの?」
ほらね、流石ペトリだ。
ボリスの心無い発言に腹が立ったのだろう?
「カズヤ様、俺はライネの分まで夜の頑張りますからね!」
うんうん、そうだよな。
「いや、違うだろペトリ」
「ええ、カズヤ様は、僕とライネでするのが好きでしたから残念だとお思いでしょうが、僕は、カズヤ様の変態プレイも受け入れる所存です」
「うん、やめて、ペトリ」
赤面して言った。
これ以上発言させると、夜の営みを事細かに言いそうなので辞めさせる。
「お前、うちの息子にどんな事を……」
「お父様! 今は、失踪したライネが大事でしょう!」
オスモに力強く反論。
プライベートな事に食いつくんじゃない!
そして、17歳になったライネの妹ユリアナちゃんが完全に俺にひいている。
その顔やめて、俺が傷つくから。
「こんだけ、ライネの関係者が集まってんだ、ライネの立ち寄りそうなトコとか見当ないのかよ?」
もう! イライラするな!
ん? ミカエルが挙手してる。
「どうした、ミカエル?」
「カズヤ、お前は夫だろ? そんなお前がライネの行くようなとことか解ってないといけないんじゃないか?」
ミカエルの言葉。
「……うん」
その通りだよな。
でも、俺は夫なのに… ライネの行きそうなところ一つ思い浮かばないなんて……
全く、最初に好きになったライネなのに。
そんな大事なライネのことを理解していないで…… ライネを傷つけて、ホントにバカだ。
…ただ、原因であるお前から言われるとは思ってなかったよ、ミカエル。
「みんな、ごめん。
今回、ライネが出て行ったのは、俺が悪いんだ。
だから、俺がライネを探す。
みんなは、各自の伝手でライネの行方の情報を集めてくれ」
頷いてくれたみんな。
「……」
ソレで良いのか?
「……いや」
ダメでしょ!
「ミカエルちょっと」
俺はミカエルを呼んだ。
「なんだ?」
ミカエルが俺を見ている。
「いいから、ちょっとこっちにい。
そして、ラージャ、ペトリ、ボリス」
ラージャ達が俺に視線を寄こした。
そして、ミカエルがめんどくさそうにしながらも俺の隣に立っている。
「ミカエル……」
俺はミカエルの腰に手をやり引き寄せた。
関係を秘密にしていたので当然、ミカエルは驚いていたが構うもんか。
「ラージャ、ペトリ、ボリス…… 俺は、ミカエルを嫁にしたい。
だからと言ってお前達を嫌いになったわけでも愛情が薄らいだわけでもないからな」
俺の我儘。
そんな事は百も承知だ。
「……夜の回数を減らさないと約束出来ますか? 約束してくなら、俺は構わないぜ」
「当たり前だろう? ペトリ」
「儂からの条件は、ちゃんと今まで通り個別にデートしてくれる事! ソレが叶うなら賑やかになるし、人材確保的にも構わない。
でも、ミカエルってカズ君の事を嫌ってたと思ってたのにね」
「デートの件は当然だボリス。
それと、俺とミカエルは嫌いあってた訳じゃない。
俺達のは、、愛情表現のひとつだ」
「倫理的にどうなのじゃ?」
「うん、愛人を連れて家族会議に出席するお前に言われたくないぞライネ」
「お前は?」
俺は、ミカエルに聞いた。
「!」
ミカエルが俺にキスしてきた。
(ミカエル…… ありがとう)
俺もミカエルを抱きしめミカエルを求めた。
ミカエルは、俺の嫁!
今、我は何を見せられているのだろうとラージャは思った。
「ミカエルの奴…… フフ、真実の愛を見つけたんだな。
カズヤなら安心だ。カズヤ、弟を… 弟を頼むぞ」
エルモが目頭を押さえ言った。
「は? えっ? 何言ってんだお前……」
オスモがマジかといった顔でエルモを見る。
そして嫁のヒルダを見ると、感極まった感じでハンカチで目頭を……
「いや、お前等おかしいだろ? また、息子が嫁にされるんだぞ?! 婿じゃない、嫁!」
そんな納得いかないオスモにヒルダが、いいじゃないですかとか声をかけ慰めていた。
ライネが家出する理由になった俺とミカエルの関係……
そして、しれっとそのミカエルを嫁にした俺。
ま、構わんだろう。
「ライネ! 待ってろ、今迎えに行くからな!」
そう言った俺へのラージャの視線が痛い。
って事で、次回も、乞うご期待!




