第61話 歓迎会
俺は自宅に招いた嫁のご家族の為に宴会を開く。
折角来てもらったんだ、楽しんでもらいたいじゃん。
俺の嫁、ライネの家族を初めて自宅に招きいれた。
こっちの経済状況とか知られたくなかったので今まで呼ぶことが無かったのだが、俺達の町の魔物が仕事で山の下の町に行っているのが問題になったので、その弁明の為に呼んだ。
悪さもしてないのにイメージでレッテル貼りされたら可哀想じゃん。
それに、このオールストレーム領を発展させるには、魔物達の助けを借りた方が早いしな!
他の地域の魔物の事なんか知らないけど、この町の魔物は意志の疎通が出来るし、思いやりのある奴が多い。
中には、やんちゃなのもいるけど、それは、人間も一緒だ。
カズヤ達の家、食堂――
食堂は、大小様々なテーブルが並んでいる。
俺達家族、オールストレーム家の皆さん、そして会談に参加した弥助達が各テーブルに着席した。
歓迎の宴会の為にだ。
「……見た事ない料理が並んでいたな」
この地の領主であり一応貴族のオスモも壁際に並べられた料理に驚いている。
バイキング形式、食べ放題だ。
俺なりの最上級のおもてなし。
俺にとって最高の贅沢だった、すたみな〇郎。
だから、バイキングにした。
おっと、すた○な太郎で食事出来る俺の事を成功者の様に思われたかな?
それは心苦しい。
俺が利用していたのはランチのほう。
ディナーの方はニートの俺にはハードルが高すぎるってもんですよ、少し料金がね……。
おっと、思い出話で湿っぽくなっちまったな。
「今日は、お父様達を歓迎するために用意させていただきましたので、好きな物を好きなだけ、どんどん食べて飲んでください!」
オスモの隣に座る俺がコップに瓶ビールを注ぎながら言った。
それぞれのコーナーに調理担当者がついている。
出来立ての提供や補充を直ぐに出来るようにだ。
その点は、すたみな太〇を超えたと自負している。
寿司や焼き肉、すき焼き、てんぷら、揚げ物、煮物、刺身、茶碗蒸し、シチュー、カレー、パン、ご飯、焼き鳥、他にもいろいろな料理が並んでいる。
何が好きかなんて知らないからとりあえずいろいろ出してみました的に用意したのだ。
勿論、酒もだ。
沢山の料理、準備すんのに調理部隊もよく頑張ってくれた。
「バイキングか……」
もう一度すたみ〇太郎に行きたかったと思ったが、こっちの方が旨そうだ。
す○みな太郎……
別にいいや。
大量に用意させたが、余ってもラージャの空間収納に入れれば腐らないし無駄にならないだろう。
俺は、立ち上がる。
「それでは、僭越ながら俺が乾杯の音頭を取らせていただきます。 みんな、グラスを持って!」
皆がグラスを持った事を確認。
「あーー、今回はバイキングスタイルにしてみましたので、各自、用意された皿に料理コーナーで食べたいものを取って、好きなだけ食べてください。
それと、カウンターバーには各種酒が用意してありますが、メイドに注文も出来ますからね。
今日は、俺の愛するライネの家族が遊びに来てくれた記念すべき日です。
思いきり飲んで食べて楽しんでくださいね、それじゃ…… 乾杯!」
「乾杯!」
みんなの乾杯の声が心地よかった。
さてと、気配りの人すなわち俺は、お父様の手助けに行くか。
バイキングの上級者として、初心者のお父様の手助けすべく俺はオスモのそばについてあげる事にした。
「お父様、バイキング形式ですので、まずは、そのトレー取って、俺の真似をしてください」
俺は自分のトレーを取って、マネするように促した。
「こうか?」
「はい。 そしたら皿をですね、数枚トレーの上に置きましょうか」
俺がやりながら説明すると、オスモが真似して皿を乗せていた。
よしよし、偉いぞ。
ふと見るとオールストレーム一家が同じようにやっている。
コレは、責任重大だ。
「では、行きますか! 着いてきて」
俺はオスモを連れて料理に向かう。
まずは、寿司!
酒を飲むから刺身でも良いのだが、少しはつまみたい。
2カンずつ小皿に入っている寿司をトレーに乗せた。
「おい、コレはなんだ?」
「寿司です」
いちいち説明させんなよ。
バイキングだぞ?
さあ、次だ!
俺は、各種少量ずつ取っていったが、一度で全種類を持っていくのは無理なので、俺の好きな物をチョイスしていった。
人は人生の中で選択を迫られる時が多々ある。
バイキングは人生の縮図と言っても過言ではないだろう。
そして、自分の席に戻った。
「おーー、旨そう! って、はっ!」
着席して、一品目のチョイスした時点でオスモにバイキングのやり方を説明するの放棄していた事に気づいた。
ヤバい!
ガチャン!
「お前、早いよ!」
オスモが俺の前にトレーを置いた。
……ごめんなさい。
バイキングなので夢中になってしまったようだ。
でも、違うんです。
バイキングにテンションの上がらない日本人はいないから。
いても、少数。
まぁ、調べた訳ではない、俺の偏見だが。
「あれ? お父様、俺と好みが一緒ですか! 気が合いますなぁ!」
「お前が真似しろって言ったんだろうが! 頭おかしいのか?」
そうだっけ?
そんじゃ、俺が死ねって言ったら死ぬのかお前と言っても良かったが、大人げないので辞めた。
「やり方が解っただろうから次のターンで自分の好きなのもって来たらいいよ」
そう言いながら、俺は、席を立つ。
「お、おい? 食わないのか?」
「ああ、バーカウンターで酒を貰ってくるので、勿論お父様の分も持ってきますから、先に食べててください」
優しいから俺は、オスモと自分の酒を貰いに行く。
「酒頂戴。 俺は、生ビールね。
それと何回も往復すんの嫌だから、その一升瓶も貰っていくよ。
日本酒初めてのお父様にあげたいんだ!」
バーカウンターで酒を調達して席に戻る。
「あ」
オスモが持ってきていた料理の大半を消費していた。
「お父様、私の故郷のお酒ですが、おひとつどうぞ」
コップに日本酒をそそいでやった。
「おい、なんだよ、ここの料理。 尋常じゃないくらい旨いじゃねぇか!」
そう言って、お父様が酒に口をつける。
「!」
目を見開く、オスモ。
「どうです?」
生ビールに口をつけ、聞いた。
「この酒は……」
オスモが俺を見る目が変わったきがする。
「まって下さい。 この酒の真の力をお見せいたしますので」
俺は、オスモに言うと席をたった。
「むう、なんと芳醇な酒よ……」
オスモはしみじみと二口目を口にした……
俺が戻ると、オスモのトレーの料理が無くなっていた。
「お父様、こちらを」
俺は、オスモの前に皿を置く。
乗っているのは、赤身の刺身と塩辛。
「これは?」
オスモが皿を見て聞いてきた。
「刺身と塩辛です。
刺身は生の魚で塩辛はイカの… 漬物というか加工品です」
オスモの顔が曇る。
「生の魚って、お前……」
オスモ、海が遠いから不安なんだろう。
「さっき食べた寿司も生の魚だぞ? 旨かったろ?」
「お前ッ!」
オスモが驚いて怒鳴ろうとでもしたようだが、やめたみたい。
旨かったからだろう。
「オスモ、コイツに付けて食ってみ、酒の旨さを引き出してくれるから」
俺の言葉に従い、オスモが持ってきた刺身にフォークを刺し醤油につけて口にして咀嚼し、酒を呑んだ。
そして、また刺身を口にして、酒を飲む。
「うむ。 こいつが魚の脂をうま味と共に喉へと流しこみ、後味で次の魚への欲求を求めさせる……
カズヤ、この酒」
「そうです、コレが日本酒なのです!」
フフフ、オスモは大層日本酒が気に入ったようだ。
会場を見渡すと、みんな好きな物を腹いっぱい食ってるようなので、俺は幸せな気分になった。
好きな物を腹いっぱい食える事、ソレが幸せってもんですよ。
たまの贅沢程嬉しい事はない。
みんなでワイワイやってるこの時間が贅沢なのだ。
ホントにみんな良い人ばかり、ライネの家族を招待して良かった。
やっぱり俺は、オールストレーム領が大好きなのだ。
幸せ者の俺。
嫁も嫁の家族も街のみんな、みんな良い奴ばかり。
そんなみんなに恩返しの意味も込めて、豊かな生活になるよう町を発展させていこうと思った。
って事で、次回も、乞うご期待!




