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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.3 異世界 恋人獲得

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第13話 試験って何すんだ?

俺は、人道的観点と、スケベ心をくすぐる女性冒険者とお近づきになりたいという点から冒険者になる決意をもつにいたった。

これぞ、一挙両得、二兎追うものは一兎も得ずという奴だ。

ん? 違う気がする。

どうでもいいや、彼女が出来ればそれで良い。

ラージャは、アレだ。

俺と違ってモテないだろうからな、冒険者になって自立して一人で生きてけるようにしてあげないと!

俺ってホントに優しい。


 冒険者になるのに試験があるらしい。

 お金も取られたが事務手数料などの費用だろうか?


「奥に行けと言われたが、どこまで行けば良いんだろう?」

「突き当りまで行けばいいんじゃないか? なのじゃ」

「そうだな、ちゃんと説明しない方が悪いんだから」

 俺とラージャは、真っすぐ奥へと進んで行った。


「突き当り?」

 目の前にドアがある。

「どうするのじゃ?」

 ラージャが聞いてきたが、当然、俺はドアを開け進んだ。

 女が着替えの真っ最中。

 ムム、胸がデカいな。

 試験会場?

 そんな訳がない。

 ロッカーみたいなのが並んでいる。

 どうやら、ココは、更衣室のようだ。

 さて、困ったな、どこに行けば良いのか、さっぱり解らないぞ。

 ……更衣室。

 女がこっちを見ているね。 

「……あ」

 っな! ヤバい!

 なんで更衣室に入ったんだ、俺は!

 早く出て行かないと!

 女性の裸を生で見た事がない俺は、現実感が無くてボケっとしてたが不味い状況じゃないのか!


「おい、貴様! 覗きとは、最低な奴だな。

 直ぐに着替えが終わる。

 そしたら、ちゃんと殺してやるから待っていろ」

 

「は?」

 逃げようとドアに手をかけた俺。

 後ろから女の声が聞こえた。

 ふざけんな! 間違って入っただけで殺されてたまる

「カズヤ、モテないからって覗きとは、流石に我も引くぞ…… なのじゃ」

 うん。

 個人名を出すんじゃない、ぶっ殺すぞ!

 ふざけた事を言ってきたラージャに殺意が沸いたが、それよりも、女性からの誤解を解かなければ!

「す、すいません!

 ここが、その、更衣室だと知らなかったので、すいません!」

 俺は、口早に言うと逃げるように更衣室を出た。


 女の裸。

 裸の女。

 まだ、ドキドキしてる。


「ああ、カズヤさん。

 ここにいらしたんですか?」

 受付カウンターで俺達を応対してくれた職員の女性がいた!

 「お前の説明が悪いから、変な誤解を受けたんだぞ!」

「試験はどこでするのじゃ?

 ちゃんと教えてもらわないと、またカズヤがそれを良い事に覗きしたりして、困るのじゃ!」

「お、お前!?」

 まるで、俺がワザとやったみたいに!

「そうですね。

 試験会場は、こちらですのでどうぞ」

「そうですねって……」

 失礼な職員の女性がさっさと歩いていく。

 なんだよ!

・

・

・



 俺達は、冒険者ギルドを出た。

 どうやら、建物の裏手らしいが…… ちょっとしたグラウンドみたいになっている。

 俺達は、広場になってるここで待つように言われた。

 ここで試験が行われるそうだ。

 敷地を見渡してみると、別棟の建物もあるし中々の規模じゃないか。

 コレだけの施設を持ってるって事は、結構儲かってるのかな?


「試験官になるのは、C級の冒険者。

 カズヤさんとラージャちゃんの技量を確認する為、その冒険者と模擬戦をしてもらいます」

「も、模擬戦!?」

 試験って、戦う事なのか?!

「勝ち負けではなく、あくまで技量を測るものですから、負けた場合でも合格になる場合がありますよ。

 キーラはもうすぐB級にあがる冒険者ですからね、負けて当然です。

 ただ、冒険者は、危険な仕事ですので、技量が足りないと判断された場合、不合格になる事だけは理解してください」

 でしょうね。

 職員の女性の説明を、うんうん頷いて聞いた。

 模擬戦と聞いて勝てる訳もないと心配したが、頑張ろうって気になった。

「頑張ろうな、ラージャ!」

「早く、買い食いしたいのじゃ」

「……もうちょっとだから我慢してね」

 ラージャは、緊張感がないな。

 しかし、確かに何時まで待てば良いのだろうか?

 緊張しすぎて吐きそうになってくる。


「もうすぐ、試験官が来るハズなんですが…… あっ、きましたね」

 職員の女性が、建物のドアを開けた人物へ走って行った。


 とうとう、試験ってのが始まるのか。

 ドキドキするな。

 ドアの方で、職員の女性が、建物から出てきた防具を装備した女性と話をしている。

 アレが冒険者か。

 男が来るのかと思ってたら、女性が来てくれた。

 職員の女性も胸が大きいと思ったが、冒険者の女性の方が大きいな。

 いや、そんな事より、

「おい、アレってさっきの女じゃないか? なのじゃ」

 ラージャが言ったが、

「……だよな」

 うん、あのデカい胸は間違いない。

 ……これは、不味いな。



「キーラ、遅いですよ」

「すまん、カトリーナ。

 覗きをしていた犯人を捜していたので、遅れてしまった」

「覗きですか! ……で、犯人は?」

「殺すから、待っていろと言ったのだが、逃げられてしまった」

 ギルド職員カトリーナと冒険者キーラが会話をしつつカズヤ達の方へと歩いていく。


「丁度、あんな感じの男で…… ほう」

 カズヤを見て、キーラの目つきが変わる。

「どうしたのキーラ? 怖い顔になってるわよ」

「カトリーナ、試験の相手は、アイツらで間違いないのだな?」

「ええ、男の方がカズヤ。

 女の子の方が、ラージャちゃんよ」

「……カズヤ」

 カズヤの名前を聞いて眉尻をピクリとさせたキーラ。



 職員の女性と冒険者の女性が俺達の前にやってきた。

 冒険者の手には剣が握られている。


「おい、その顔は、なんの真似だ!」

 いきなり剣を向けられ言われた。

「へい、何でございましょう?」

 覗きをした時に顔を見られてるので俺は、鼻の下を伸ばして前歯を出し、目を細めて必死に人相を変えて答えた。

 どうか、バレませんよう

「ふざけた顔をして、……余程殺されたいらしいな」

 いや、ふざけてないです。

 必死です!

 別人です!

「カトリーナ、コイツがさっき言っていた覗き魔だ!」

 速攻、バレたようだ。

「えっ!?」

 職員のカトリーナと呼ばれた女性が一歩後退して汚い物を見るような目で俺を…… 

「あの、いや、違」

 クソっ!

 直ぐにバレるなんて、人相を変えようと必死だったのがバカみたいじゃないか。

 兎に角、この誤解を…… いや、誤解か? 裸を見たのはその通りだし、でっ、でも、別に覗いてやれって見た訳じゃない!

 よし、ちゃんと間違って部屋に入ったと謝ろう。

「もう覗きは止めるのじゃ、カズヤ」

 ラージャ、何を言い出す?

「もうってなんだよ、もうって!

 まるで俺が常習犯みたいじゃないか!」


「ヒッ! 常習犯!?」

 怯えたように、カトリーナさんが言っ

「あ、いや」

 カトリーナさん、違うんです!


「……この、女性の敵め!

 試験中の事故で処理してやるから、安心しろ」

 なっ?! 何を言って……

 お、おいっ冒険者! 模擬戦だよな、模擬戦!

「ちゃ、ちゃんと試験しましょうね」

 俺は、興奮している冒険者の女性をなだめようと言った。

「だから、試験だ。

 お前の力がどれ程のモノかを確かめる!

 ……だが、勢いあまって殺しちゃうかも、ねッ!」


ブンッ!


 あぶねっ!

 何とか避けたけど、本気で剣を振ってきたよ、この人!

 兎に角、対処だ。

 落ち着け、等活地獄を思い出せ。

 本気で殺し殺され続けるあの地獄を……


「……ほほう、顔つきが変わったな」

 初撃を躱したカズヤの様子の変化に気づいたキーラ。

 次撃を、


「……」

 醒めた目でキーラをみるカズヤ。


 C級冒険者のキーラは、咄嗟に後ろに飛び距離をとる。

「何故だ? たかが覗き魔の分際で……」

 キーラの額に冷たい汗が流れる。

 カズヤには、隙が無い。

 不用意に飛び込めば、死。


「だから、あれは、間違って部屋に入っただけだ」

 言い終わりと同時にカズヤがキーラに詰めてきた!


「速ッ!」

 キーラは剣を振りあげていたが、間に合わない!

 カズヤは、人の動きとは思えぬ速さで一気に詰めてきたのだ。

 死ぬ。

 剣を振り下ろすモーションのキーラは、そう確信した。

 死を前に、全てがスローモーションのように感じ、カズヤの拳がゆっくりと近づいている。

 こんな男が覗きなどするだろうか?

 仮にしたとして、強き者は、正しいのだ。

 強さとは正しさ。

 強さが全て。

 弱い者の言葉など、なんの意味もない。

 だから、強くなろうとした。

 強くあろうと修行した。

 だが、弱かった。

 私は、今から死ぬのだ。

 キーラは、目を閉じ……

 

「はい、ドーーン!」


ドゴガァアアアーー!


「ブベラッ!」

 剣を振っていた女に攻撃しようとしていた俺は、突然トラックにぶつかったような衝撃を受けた!

 痛い。

 すごく痛い!

 吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるたびに肉が、骨が、悲鳴を上げた。


「そこまで、なのじゃ!

 女の子を殴るなど、あってはならぬのじゃ!」

 ぐったりしている俺を見下ろしラージャが言った。

 いや、俺、殺されそうになったんだけど。

 ……止め方が激しすぎじゃないのか、ラージャ。



「な、なんなの?!」

 カトリーナは、キーラの攻撃を避けたカズヤが次の瞬間消えたと思ったら、吹き飛んでぐったりと倒れていたので意味が解らないでいる。


「……敗けた」

 ガクッと膝から崩れ落ちるキーラ。

 カズヤの攻撃は辛うじて見る事が出来たが、あの少女の動きは完全に見えなかった。

 圧倒的な実力差を前に、今までの修行の日々が無駄に思えた。

 キーラは、圧倒的強者である二人を見た。

 カズヤと言った、あの男…… あの少女の攻撃を受け死んでしまったのだろう。



「覗きがバレたからと言って、逆切れして女の子を殴るなど男の風上にもおけぬ奴なのじゃ!」

 うん。

 痛い思いをした上に、ラージャがふざけた事を抜かしている。

「痛てて……」

 俺は、立ち上がり、

「えい」

 ラージャのほっぺを抓ってやった。

「痛いのじゃ!」

 ラージャが痛いと言った。

 うん、そうだろうね。

 抓ってるから。

「誰が逆切れだよ。 人聞きの悪い言い方をするんじゃない。

 不意打ちしやがって」

「ちょっと、冗談で言ってみただけなのじゃ!

 抓るのをやめるのじゃ!

 ほっぺが、びろんびろんに伸びちゃうのじゃ!」



「生きてるし!」

 あの攻撃を受けたのに、普通に立ち上がって少女と何かしてるカズヤ。

 それを見てキーラは、ガックリと肩を落とした。

「絶対勝てない」


「キーラ、どうしたの?」

 ガックリきているキーラにカトリーナが声をかけた。

「……カトリーナ。

 二人とも合格だ。

 このクソ弱いゴミムシの如き私など足元にも及ばない強さだ、二人とも」

「は? え? ゴミ、ゴミム、何言ってるの?」

 人が変わったように弱気発言をするキーラに驚きつつカトリーナは、カズヤ達をみた。

 あそこで、子供みたいに喧嘩してるあの二人が?

「ま、まぁ、キーラがそう言うのであれば……」

 速すぎてカズヤとラージャの動きが見えていなかったカトリーナだったがキーラがここまで言うのであればと、顔を上げる。

(あの二人、ホントに強いのかしら?)

 そう疑問を持ちつつ、

「カズヤさーん! ラージャちゃーん!」

 カトリーナは、殴り合いしているカズヤとラージャを呼んだ。

試験が終わった。

俺なんかが冒険者に勝てる訳がない。

だからさ、あの胸の大きな冒険者が手心を加えてくれたのだと思うんだよね。

だって、俺ってかっこいいじゃん!

……んな訳がない。

大方、あまりにも弱そうだから同情をかったってトコだろう。

さてと、結果はどうなんだろうかね?

って事で、次回も、乞うご期待!

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