第12話 冒険者ギルド
昨日、キスされた。
自慢じゃないが、この歳になるまで、まともにキスなどした事が無かった。
それが、その、最初が男とだとは、全く考えて無かったし、想定してもいなかった。
異世界にやってきてモテモテになる予定だったのに……
いやっ、俺はポジティブ!
これから、女の子達と仲良くなれば良いんだ!
朝がきたのか?
俺は、重たい瞼を小さく空け、ぼんやりする世界、虚ろな記憶、兎に角、ボケっとしている状態だが、目が覚めたようだ。
「ここは?」
ああ、そうか。
宿屋のベッドの上だ。
……夢じゃない。
昨日の出来事も当然、夢ではないのだろう。
頭痛。
胃のムカつき。
完全に二日酔い。
「ああ、もうちょっと、このまま横になっていよう」
どうせ、今の俺には仕事もないのだからな。
バァアアアーーン!
「おはようなのじゃ!」
「お前! もう少し丁寧に入ってこいよ!」
頭痛い!
デカい声を出させるんじゃないよ。
ラージャが乱暴にドアを開け部屋に入ってきやがったのだ。
「何を寝ておるのじゃ! 我は、腹が減ったのじゃ!」
ラージャが吠えている。
頭がガンガンするのでやめてほしい。
だけど、そうだな。
「……全く食欲がないが、喉が渇いたし、食堂の方に行くとするか」
のそのそと体を起こした俺は、ベッドから降りて靴下を穿きスニーカーに足を入れた。
洗濯してない昨日と同じ靴下を穿くのに少し抵抗がある。
シャツもパンツも替えが無いし、買い物は急務だな。
「ラージャ、朝ごはん食べたら、買い物に行くぞ。
お前も服とか下着とか必要だろ?」
「我は、空間収納に沢山あるから大丈夫なのじゃ!
不潔な貴様と違ってちゃんと着替えておるからの」
「なんか、お前だけズルいな」
「空間収納の中で買い物すれば良いではないか、なのじゃ」
「日本円をあんまり使いたいくないんだよ。
ラージャ、朝飯食ったら、買い物いくからな、つきあえよ」
「つきあえって、彼女になれと言う事か?
お断りなのじゃ」
告白してもないのに、フラれた。
朝から理不尽だな。
「お前は、自意識過剰なとこがあるな。
つきあえって、ついてきてくれって意味で言ったんだよ」
「お前は、ライネと違ってスケベな顔をしてるから、我は言ったのじゃ」
悪いな、顔は生まれつきだ。
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朝食を終えた俺とラージャは、山猫亭でセニアさんから衣料品店や日用品が売ってるとこの場所を聞いて出発した。
細々したものも出来るだけ現地で調達したい。
かといって、歯ブラシや歯磨き粉とかは、手に入らないだろうし、似たようなものがあっても性能が低いだろ? ちゃんとしたのは空間収納内のスマホから購入しなきゃなんないだろう。
って事は、また現金が減るのか。
魔法で何とかなれば、助かるのだが……
……魔法?
「はっ!」
体を綺麗にしたり歯磨き効果のある魔法って無いのかしら?
そんなの使ってるラノベあったような気がする!
「何じゃ! 突然へんな声を出しおって、なのじゃ。
宿を出てからブツブツ呟いて考えておるじゃったが、とうとうおかしくなったのか? なのじゃ」
「何を購入するか、考えてたんだよ!」
全く、失礼な奴だ。
街の中は、流石王都なのだろう、結構な賑わいを見せている。
武器屋や防具屋ってのが普通にあるのが不思議な感じだ。
「やっぱ、異世界。
ラージャ、後でどんな店か入ってみような」
必要な物を手に入れたら寄ることにした。
それから俺は。セニアさんから教えられたとこを周って、現地の服や靴、そして下着類に洗面セット等を手に入れていく。
今、身に着ける物以外は、ラージャの空間収納に入れてもらう。
手に入らない物や代用出来ない物は。スマホで購入した。
ラージャがせがむので、お菓子も購入。
歯ブラシや歯磨き粉などの消耗品は数個セットで購入したりしてなんだかんだと1,500円使い、残金は、27,490円となった。
ラージャに与えるお菓子や食い物は、出来るだけ現地の物を買う事に決めた。
日本のお菓子は、特別な時に買い与えよう。
「ん?」
必要な物をあらかた購入し終えた俺とラージャは、街をぶらついていたのだが、冒険者ギルドなるものを発見した。
これ、あれだ!
ラノベで読んだのに出てた、アレだ!
これに登録して冒険者になって活躍してモテモテにしてくれるって、場所じゃないか!
だが、俺は行かない。
なぜなら、俺にスマホでの買い物以外の能力がないから危険だ。
地獄でさんざん危険な目にあってたんだから、異世界にまで来て危ない目に合う必要などない。
「どうしたのじゃ? その建物をジッとみてるけど、何かあったのか? なのじゃ」
ラージャに言われて、ハッとした。
じっと俺は冒険者ギルドの前で建物を見つめていたようだ。
当初の予定だと、冒険者になってガンガン魔物を倒してモテモテになるハズだったから未練があったのかもしれないな。
「フフ、すまんラージャ。
考え事をしていたようだ。
お詫びに、買い食いして帰ろう」
「何! カズヤの癖にナイスアイデアなのじゃ!」
フフフ、無邪気な奴だな。
えっ?!
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「俺の名前は、カズヤ・フジノ。
そして、こっちがラージャです」
「はい、カズヤ様とラージャ様のお二人の登録ですね」
冒険者ギルドの受付カウンターで職員に確認された。
俺とラージャは、冒険者になる為の受付の真っ最中だ。
やはり、初志貫徹。
当初の目標通りに頑張ろうと俺は思ったのだ。
さっさと登録を済ませてしまおう!
ラージャと買い食いしに行こうとした時に、このギルドに入って行った人物と知り合いにならなければならない。
あの、水着の上に鎧をつけてるんじゃないかって恰好の女冒険者と!
「そうです、早く登録してください」
しかし、冒険者って、あんなエロ… いや、素敵な女性が居るの?
てか、他の女性も冒険者か? 胸元があんなにあいたの着て!
うひょぉーーー!
タダで観て良いんですかね?
この受付の娘さんも凄く可愛いし。
美形が多いな!
「それでは、冒険者登録の流れですが、まず登録試験の受験料として、お一人 3ゴールドお支払いしていただます。
コレは、試験結果に関わらず返金されませんので、ご注意ください。
次に、試験に合格した場合、正式に冒険者となりますので、ギルドの登録料 10ゴールドをお支払いください」
二人が冒険者になるまで26ゴールドか。
現地通貨を手に入れておいて良かった。
そんな事より、あのエロ… 素敵な恰好をした女性達がギルドを出て行く!
……いや、冒険者にさえなれば、この先、あんな素敵な姿の女性と知り合う機会なんて沢山くるだろう!
今は、試験に集中だ!
「おい、買い食いしに行くのじゃないのか?
それに、なんじゃ? 冒険者って?
我は一言もなりたいなんて言っておらぬぞ、なのじゃ」
ラージャ…… 忘れろ。
「ラージャ。
世の中の困ってる人を助けたいという人道的観点から俺は、冒険者ギルドに来たんだ、理解してくれ。
そして、一緒に合格したら、今日スマホで買ったお菓子を一人で全部食う権利をやろう」
「さっさと、試験をやるのじゃ!」
間髪入れずにラージャが言った。
うむ、ラージャも困ってる人の為に冒険者になりたいのだな!
困っている人を助けたいという大義名分の前では、俺が女性冒険者と知り合いになりたいってのと、ラージャがお菓子を独り占めして食べたいという事は、些細な事である。
「って事で、胸の大きな可愛いお姉さん。
6ゴールド支払うから、さっさと試験って奴を頼みます」
俺は、さりげなく女性の長所を褒めつつ試験料を支払った。
「そ、それでは、試験官に連絡いたしますので、そちらから奥へと進んでください」
照れているのか、凄く笑顔がぎこちない感じであるが、冒険者ギルドの職員の女性が言ってくれた。
いや、ちょっと睨まれた。
「そんじゃ、ラージャ行こうぜ」
「そうじゃの、さっさと済ますのじゃ」
俺は、ラージャと一緒に奥へと進んだ。
こうして、冒険者になる為、カズヤとラージャは冒険者ギルドの試験を受ける事となったのだ。
何だかんだと理由をつけて冒険者になる事にした。
だって、あんなにエロ… 素敵な恰好の女の子達がいるのですもの!
そういや、テレビでコスプレの女の子がエロい… いや、素敵な恰好をしていたのを思い出した。
冒険者になって、是非ともキャッキャウフフしたいものだ!
ところで、試験てなにすんだ?
って事で、次回も、乞うご期待!




