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湖城の悲劇  作者: たま


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9/18

長男夫妻

翌日、伽椰子とジョンは最悪の電話で起こされた。 

「今朝、ケータリングの朝食が運ばれて清掃スタッフも入ったんだが、三船剛造の長男夫妻のベッドがもぬけの殻なんだよ。同じ部屋で寝ていたはずの孫は、村の飲み屋でぐでんぐでんに酔って帰ったので両親が居ないことに気付かなかったそうだ。

すぐ来てくれ。」とマルニ男爵に呼び出された。


地元警察の事情聴取が終わった長男夫妻の息子、三船剛造の孫は頭をかいている。 

「まだ二日酔いが抜けないよ〜ワインはやっぱ体質的に合わないのかな?」両親が消えたのに特に焦る様子はない。孫の中では1番年上の33歳のリーマンだ。と言っても父の会社なので今回のフランス旅は特別出張の扱いだ。

長男夫妻は、三船剛造の資金で会社を起こしマネージメント会社をやっている。つまり三船剛造の事務所の社長だ。

「ふん、本当に酔ってたか怪しいもんだわ!」会社の役員をやってる長女がにらむ。「輝くんは昔から酒グセ悪いもんね。途中で止めれないから。」その事務所の所属タレントをしてる長女の娘の蘭子が怯えたように話す。

「結婚を兄さん達に台無しにされてから機嫌悪かったもんな〜」と元所属タレントしてたが、あまりに仕事がなくてモデル事務所に移籍した三船氏の末っ子・モデルのケイスケも口元をゆがめて笑う。

そう、皆母親が違うので末っ子は長男夫妻の子より年下なのだ。

「親が今時結婚したら即同居とかあり得ない事言うから〜せっかく売れっ子モデルを落としたのに逃げられたんだ。そりゃ、機嫌悪くなるだろ?」事務所では専務やってる輝がムッとする。

「おいっ、親が失踪したのにもっと真剣に地元警察の質問に答えないか!」愛人に車椅子を押されながら三船剛造氏が入って来た。

「だから覚えてないんですよ。酔ってて。

この城まで帰れただけでも奇跡ですよ。」輝が言い訳する。

「あれ?あの便所係り連れてないんですか?」モデルのケイスケが愛人の息子15歳の(れい)が居ない事をからかう。

「ウチの息子は、(れい)です。優しい子だから剛造さんの手助けしたくておトイレの介助してるだけです。失礼な事言わないで!」愛人がケイスケをにらむ。

「あの…昨夜は皆さん何時に就寝しましたか?」ジョンがマルニ男爵の言葉を日本語に訳して伝える。

フランソワーズは日本語フランス語単体では話せるが通訳となると混乱するらしい。

なのでジョンが通訳として1番適しているのだ。

不吉な夢を見た伽椰子は、城に入ることすら恐くなっていた。

翻訳の仕事を理由にしばらく城への出入りを断ろうと思っていた矢先に呼び出されたのだ。

1人で行ってくると言ったジョンが心配で付いてきた。

『あの女性は誰なんだろ?』人の死の間際の悲鳴を聞いた。夢でもトラウマになりそうな声だった。

昨日までと城の空気が違う。

マルニ男爵が来たからか?

人が失踪したからか?

フランソワーズは、帰る警察を見送り今週末のバッカス祭の準備でスタッフの元へ行ってしまった。

マルニ男爵の通訳としてジョンが三船一族と会話する。

探偵事務所、初の仕事だ。

正式に三船剛造氏がマルニ男爵に頼んだのだ。

言葉は通じないが、唯一の大人の男マルニ男爵が現れて嬉しいようだ。

いや反対に言葉が通じないから見てくれに騙されたと言うか…ジルベール・マルニは全くのド素人だ。

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