探偵事務所
フランソワーズもジョンも伽椰子も呪いの話をして城で暮らすのは止めたのだが…マルニ男爵は全く信じていないようだ。
「母もずっと信じてたけど、ウチは代々気が短いだけだと思うよ。ただ、決闘は禁止されて近代に入ってからは大戦が2つもあって、それどころじゃなかったしね。」迷信だと決めつけている。
そして、なぜかこんな片田舎で探偵事務所をやると言い出した。
「なぜ?ジルベールそんなタイプじゃなかったじゃない!警察ですら無かったし!」フランソワーズが驚く。
「ヒゲを生やしだしてからね、なんかそんな気分になってきてね〜爵位も継いだしバロン探偵事務所をこの城で開きたいのだよ。」と宣言した。
「…じゃあ、家賃取りますよ?それでも良いのね?」フランソワーズの思惑をはるかにしのぐウツケだったようだ。大叔父が城の管理をフランソワーズにしたのは、この性格だったからかもしれない。
城の行く末は村の存続にも大きく関わる。すっかり寂れていた村もこの5年でかなり店も増えた。
「警備は雇ってないのよ。セキュリティも入れてないし。代わりに城の警備をお願いして良い?」フランソワーズは頭をフル回転させる。
今まで片田舎なので、のんびりしていたが、三船一家も泊まっているので夜も心配なのだ。
自分は大体5時に閉場して6時には帰っていたが、この頃は夜の9時まで気になって残っていた。
ジルベールに夜を任せたら、少しでも楽ができる…
「ああ、任せてくれ。仕事がすぐ入るとは限らないからね。警備くらいやらせてもらうよ。
家賃は安く願いたいな〜」マルニ男爵はふんぞり返ってる。
「母はいくら気が強くても女性だから、さっきの三船家の人のように絡まれる事もあるから、マルニ男爵がそばに居てくれたら安心だよね?」長谷川先輩がコッソリと伽椰子に話す。
「確かに!マルニ男爵はあのヒゲのおかげで威厳ありますもんね、ほんとに。」そう、女城主の頼もしいナイトになってくれるかもしれない。
「城の正門の上階が空いているわ。城から人の出入りも確認できるし。夜間警備をしてもらえたら格安の10万で良いわ?」マルニ男爵のアパルトマンは、凱旋門近くの17区でファミリータイプなので月50万くらいで貸せるはずた。最近のパリの家賃はオリンピック以降うなぎ上りだ。世界中から人が引越してくる。
そこから家賃を決めた。
「うん?片田舎にしては高くないかい?」マルニ男爵は納得してない。
「住むだけじゃなく事務所を立ち上げるのでしょ?商売をするのだから相当だと思うけど?」フランソワーズの勝ちだった。その変わり、商売が繁盛しても値上げはしないと取り決めた。
先程のブドウの紋章の上の部屋がバロン探偵事務所兼住まいとなった。
午後にはトラックで荷物が運び込まれた。と言ってもデスクと椅子とベッドだけだが。客用のソファは他の部屋からしっかり好みのものを拝借していた。
「ああ〜これで夜は男爵に任せて帰れるわ。」フランソワーズは少し楽になったようだ。
伽椰子とジョンも少し気持ちが楽になる。
「後は呪いさへ発動しなければ良いんだけどねえ〜」フランソワーズが伸びをする。
三船剛造にも断りに行く。
「そうかそうか、この紳士が本当のこの城の主なのか。もう少し若ければ、一緒に酒を飲みたいのだが、すまんね。まあ言葉が通じないか!」と豪快に笑うが、声があまり出ていない。
一緒に2泊したが全く仲良くなれていないようだ。
長男夫妻と息子は言葉が通じないマルニ男爵に戸惑っているが、長女とその娘はパリに良く旅行していたので携帯の通訳機能を使ってパリの話を楽しそうにしている。凱旋門近くのアパルトマンを貸し出している話を聞いて貸して欲しいと話している。
今はパリのアパルトマン1件に30人ほどが応募する倍率らしい。なかなか部屋が見つからないのだ。
マルニ男爵もフランス人なので、やはり女性には優しく親切だ。
年の離れた末っ子20代なので、どうも愛人の息子が気に入らないらしく何かと絡んでいるようだ。
愛人がキツイ目で若い頃の三船剛造に似た末っ子をにらみつけている。




