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湖城の悲劇  作者: たま


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2/18

複雑な事情

「じゃあ、僕らは先においとまするよ。」ジョンが伽椰子の翻訳の仕事を終えてくれたし、三船剛造一家の事は義母フランソワーズに任せて、呪いの城から2人は早々に自家用車でおいとまする。

「本当は、あの城には寄りつかないでボルレゾルク駅前の貸しコテージで私の仕事して待ってて欲しいんだけど…」伽椰子は長谷川先輩ジョンがまた誰かを殺そうとして相討ちにならないか?ハラハラしてる。

「僕らはこの3年間ずっと離れて暮らしていたんだ。留置所の面会室で君に触れられなくて気が狂いそうだったよ。

僕は一族の呪いより、君と一時も離れたくないんだ!」コテージに着いて車から降りるなり長谷川先輩は伽椰子を抱きしめる。

日本人なら鳥肌ものの言葉だが、長谷川先輩は半分フランス人なので恐ろしいが自然だ。

殺人犯だし日本で暮らすのもはばかれる。フランスの片田舎にしぱらく隠遁(いんとん)するのは良いことだと思ったのだが、まさかの城の呪いを聞いてからはヒヤヒヤだ。

伽椰子がヴァル城に手伝いに行かなければ良いのだが、やはり義母は大変そうだ。伽椰子が行けばジョンが付いてくる。

湖に面したテラスに腰掛けて帰りのスーパーで買ったコーヒーを飲む。スーパーは日曜休みなので買い物を済ませてきた。

「やっとこうやって暮らせるね、幸せだよ〜」テラスの椅子をぴったり引っ付けて夕暮れの湖を見ながらジョンが伽椰子の頬にフレンチキスの雨をふらす。


ボルレゾルク湖は人工湖らしい。山が連なる渓谷の村なのでダムのような働きをする。夏は海水浴やヨット遊び、観光船も城に停泊する。

美しい山並みと湖と中世の城は、まるで絵本の世界だ。三船剛造も愛人と遊びに来て喜んで寄付してくれたのだ。おかげでボロボロだった城に水道、電気をひけて浄化槽も付けることが出来た。

しかしこの頃は歩くのがままならなくなり、愛人の子供に車椅子を押してもらわないとトイレすら不自由するように。

愛人の子は、まだ15歳なので剛造の屋敷で愛人をしてる母と一緒に暮らしてるのだが、剛造が愛人の子を養子にすると言い出したのだ。

すでに独立していた息子や娘が家に出入りする様になった…

愛人と愛人の子を追い出そうとしたが、三船剛造は愛人と愛人の子を可愛がっているので頑として受け付けない。それに車椅子を押しトイレなどの介助をするのか?と言われれば皆押し付け合いになり、いがみ合っているのだ。

三船剛造は気難しくまた封建的でもある。

美しい妻を娶っても、言う事を聞かなければ叩いたりムチや木刀で殴る事もあったらしい。子供達も同じく。

その為、離婚し子供も独立したら寄り付かなくなった。80過ぎてさすがの色男も色褪せてきた所に銀座のママがコロナで店を畳み同居する様になった。 特に足腰が弱ってからは、ママとママの子がお世話をする様になったのだ。

年を取りすっかり丸くなったのと、身内でもない少年にお世話になり心を通わせたらしい。

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