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湖城の悲劇  作者: たま


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ジルベール・マルニ

「なっ、お前がやったんだろ?助けてやろうか?」夕食のケータリングの後、ケイスケが部屋に来た。

こいつはセリフは頭に入らないくせに場の力関係を見てイジメて良い人間と手出ししてはいけない人間を判断する能力に長けている。刑務所なんかに良くいるタイプだ。

「なんの話だ?」ウザいので白ばっくれる。

「どうやったか分かんないけど食中毒お前だろ?愛人が気付かなければ、ケータリングのせいにして上手くいったのになあ〜残念。

それに、兄貴が回復したらヤバいだろ?お前、絶体絶命じゃん?」嬉々として話す。

「俺が2人で示し合わせてやったイタズラだと言ってやるよ。ギリギリで助ける気だったって言えば、お前を溺愛してるからな、兄貴。なあなあにできるって!」ベッドの横に座って馴れ馴れしく肩を抱く。

「…何が目的だよ?」輝がにらみながら聞く。

「オヤジは助からない。もう年だ。あの愛人と息子は消える。養子縁組の許可まだ出してないしな。

後は兄貴と姉貴と俺だ。が、兄貴の会社オヤジが消えたらつぶれる。

…俺の事務所立ち上げてくれよ。どうせしばらくマスコミは俺を引っ張り出してオヤジの話を聞きたがる。

コレだけオヤジの若い頃そっくりなんだぜ?

お前が代表でマネージメントするんだよ、俺を。」

若い頃「世界の三船」と呼ばれた名俳優だった祖父にソックリの顔だ。しばらく引っ張りだこだろう。

コイツが俺を指名して事務所を立ち上げたら、甘い父と母は金を出すだろう。

「お前だって遺産入るんだろ?それでやれよ!」とケイスケに言うが首を振る。

「オヤジじゃなくて母方で育ってるだろ?俺。だから、警戒されて俺だけスズメの涙なんだよ。

姉貴も新興宗教ハマってるのをオヤジが嫌ってたから、ほぼ無いと思う。

ほとんどお前のオヤジが相続するんだよ。」そんな話は知らなかった。親からも聞いてなかった。

「オヤジがここで死ねば、東京の弁護士の所にあるのが最新の遺言書になる。兄貴が消えた時しめしめと思ったんだがな…

あのジルベール・マルニ?が、まさか地下階段見つけるとはなあ〜

絶対ボンクラ探偵だと思ったのに!

いや、でも元々アイツの城なんだよな。知ってて当然か!」ケイスケは美しい顔を歪めて笑う。

「お前の事務所立ち上げても、どうせすぐダメになるよ。お前、セリフ覚えられないじゃん!」輝が呆れてため息をつく。

「そんな事は分かってるよ〜だけど、お前が会社頑張ってれば、兄貴は絶対金出すって。

お前はそれを俺に流せば良いんだよ〜」と肩をしっかり掴んでチンピラみたいに笑う。

三船剛造は、元々は闇市のチンピラだったと聞いた。

だが、あまりに美しく整った顔と鋭い眼差しが監督の目に留まり、人斬り浪人役が決まったのだ。

ほとんど殺陣でセリフも少なかった。その映画が世界を震撼(しんかん)させたのだ。

カンヌパルムドールと賞を総なめしてる今村昌平が大学の講演会に来て「良い役者とは?」と学生に聞かれ「犯罪者がギリギリ法を守る。監督に飼われて制御された時に映画に命が宿るんですよ。面白い映画になる。と僕は思ってます。」と言ったのを今思い出しだ。

「良い監督に会えれば、お前みたいのでも化けるかもなあ〜」(てる)はふと真剣に考え出した。


「ソコマデダ!キミタチヲタイホスル!」思いっきりフランス語でジルベール・マルニが入って来た。

2名の夕飯のケータリングの服装の男が録音し銃を構えてカードをかざす。警察官がケータリングに紛れて潜入していたのだ。

フランス警察は仕事雑だが、潜入が合法的に浸透してる。公安でなくても常時潜入捜査できるのだ。

ジルベール・マルニの部屋に隠れ、機会を伺っていたのだ。1人は日本語が分かる警官のようだ。

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