領主の間
領主の間に謁見のセットを組んでたら床石の凸凹が文字に見えないかと皆が言い出して…炭を塗って拭いたら、ホラッ、これ!」と映像を見せられる。
そこには「愛しのフルール 僕らは永遠に離れる事はない」と刻まれていた!
「すごいじゃない!スタッフさんが見つけたの?」伽椰子が喜ぶ。
「うん、キズじゃないと文字だと気付いたんだろね。
彼は文字は書けなかったし読めなかったから誰かに頼んだんたろね。」ジョンがキラキラ目で訴える。
「ああ〜フルールが文字が読めれば、彼の気持ちが後からでも分かったのにね。」伽椰子の心がやっと少し軽くなる。
フルールの怨念が伽椰子の身体に毒のように蓄積されていくのが少し解毒された気分だ。
フランソワーズの手伝いで館内案内やチケット売ったりしたおかげで扉の向きが違う事に気付けた。
もしかしたらチケットコーナーの隣の壁の変な穴も気になっていたのかも…その疑問がなければ気付かなかった。
良かった。スタッフは、城の中を細々動くので城の住人より細かな事に気付きやすいのだ。
家紋のブドウの旗を探偵事務所のバルコニーの下に取り付ける時もチャンと表の壁に鉄のフックが付いていた。
100年前の旗だったが四方の金属穴はそこに引っ掛けられるようになっていた。腐食しないように白金が使われていた。
人間の身体や動きは何百年経ようと変わらない。
何世紀も前から準備されていたのだ。学芸員の仕事は時の壁を越えて昔の人と会話できるのが楽しいのだとスタッフも言っていた。
バッカス祭で男爵がせっかく住むことなったので、パーティー参加アプリを王に見せると紙チケットで酒の肴交換チケットが貰えるようにフランソワーズが急遽玉座を用意し謁見システムしたのだ。
客が膝をつく場所にクッションを固定しょうとして床石を選定してる時に見つけたのだろう。
その夜また夢を見た。フルールが伽椰子を見据えている。
そう次は伽椰子の番なのだ。
だが伽椰子は逃げない。城のガブリエルの部屋へ向う。影像で見せて貰った位置に立つ。スタッフの仕事をしてたのでジョンが映した周りの壁の模様や家具の配置で位置が分かるのだ。
床を指さす。声を出す。「愛しのフルール 僕らは永遠に離れる事はない」伽椰子はフランス語勉強しといて良かったとこれほど思った事はない。
フルールは床石をなでて文字をなぞり続ける。言葉を何度も繰り返すとその文字がその意味だと分かったようだ。
日本は仏像や寺の改装で江戸の職人でも文字が書けた事が海外で驚かれた。これは世界的には異常な事なのだ。17世紀のフランス識字率は1割だ。田舎など皆無に近い。
警察が仕事が雑なのも普通なのだ。
都市部の警察ですら、パスポートを提示できなくても金を渡せば移民を見逃してくれる。ジョンから聞いて驚いた。
するとジョンに似た?いやヒゲをたくわえてるので男爵に似た男性が現れる。
2人はやっと出会えたのだ。
強く抱き合い領主の間の大きな天蓋のベッドへと抱き合って横になる。伽椰子がいても幽霊すらお構いなしだ…フランスだなと思う。
伽椰子は、今のベッドと違う位置だと気付く。
普通ベッドは壁ぞいなのだが、ガブリエルは部屋のほぼ中央に置いていたのだ。
そう夢の中は、亡霊たちの残留思念だ。今と配置が微妙に違うのだ。
つまり、その言葉が書かれた石の上にベッドが置かれていたのだ…伽椰子は目覚める。
城に着いて親戚と顔を合わせたが、輝は憂鬱だった。
ずっと過干渉な親だったが就職まで縛られるとは。
それもほとんど活動してない芸能事務所。親は三船剛造の仕事のマネージメントしかしない。自分には従姉妹と年下だが叔父さんのマネージメントをやれと言われた。結局2人はどこに売り込んでも最初だけだった。三船剛造の名を使っても2度目は呼ばれない。
その上、こちらを仕事出来ない人認定だ。やってられない。
飲み歩いて事務所の名刺だけかざせば、美女が群がる。でも名もない美女なんて嫌だ。有名な女と付き合いたい!
移籍問題でモメてる有名モデルと付き合う事ができた。
が、結婚の段になると親がしゃしゃり出る。学校も仕事も親の言う事聞けば楽できたから聞いていたが…結婚までとは。閉口する。モデルは連絡つかなくなった。親が煩わしくなった。
ケイスケは相変わらず自分より立場が弱い人間をイジメで遊ぶゴミカスだし、蘭子はメンタル弱くて母と一卵性母娘やってるし、くだらない親戚ばかりだ。
城だけは珍しいのでウロチョロした。城の案内図のような物が掲示されてたが、西洋は半地下のような物置が必ずあるのだが…アメリカ留学中もアパートの洗濯機は必ず地下のランドリーだった。
この城はおかしくないか?地下室がない。
ヒマに明かして隠し扉を探した。大広間の壁に経口1cmの穴がある壁を見つけた。凹んだり傷んでできた穴ではない。良く見えないが中がネジ穴な感じがする。
完全壁なので穴の意味が分からない。
離れて見るとチケットコーナーの職員出入り口の扉と色は違うがドアノブの高さと同じなのだ。
スタッフやフランソワーズが帰った後、夜中にイジってみる。ドアノブをはずす。工具はチケット売り場の下の引き出しにあった。スタッフが鍵を掛け忘れたのだろう。
外したドアノブをその1cmの穴に指して回すと取り付けることが出来た。
そして壁は扉のように開いた。地下への階段が現れた。
食後の両親を呼び出し閉じ込めたら、ウソみたいに声が綺麗に遮断された。
並行して観光バスが留まる外の教会横の公衆トイレの便座にケータリングにかぶされていたラップをベッタリ着けた。それをいくかの便座で繰り返したものを三船剛造の寝室のトイレのドアノブにたっぷり巻き付けて置いたのたのだ。
証拠は消した。
「親にいい学校いい塾行かせて貰ったからな。悪知恵だけは回るなあ〜おれって。」と自画自賛だ。
輝がやった証拠など残ってない。
親の病院に付き添おうとしたが警察に止められた。不本意だ。目が覚めたら厄介なのに。




