表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIのアイちゃんと ぼく  作者: 藤村 としゆき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/10

第8話・パラサイト・アイ

挿絵(By みてみん)


「う~ん、アイちゃん……。おなかが痛いよ……」


 布団の上で腹を抱え、ヒトシは青い顔をしている。


『またあ? おなか、よわよわ♪ ねぇ』 


「いや……、なんか、今までに感じたことのない痛みを感じるんだ」


『変なものでも食べたの?』


「もしかしてだけど、この前ハイキングに行ったとき、沢の水を飲んだからかな……?」


『やれやれだわ。ちょっと、スマホ(あたし)をお腹に向けてごらん』


「こう?」


 ヒトシは、スマホを腹にかざす。


『スキャン中……、あー、やっぱり♪ 寄生虫さんがいるみたいね』


「ええ? じゃ、やっぱり病院に行こうか……」


『病院に行っても、むりむり♪ 新種だからね』


「え? なんでわかるの」


『これは、アネサキスね♪ 2026年には発見されてないけど』


「悪いの?」


『致死率は……100%ね♪ 今の時代は』


「えええ!? そ、そんなあ。なんとかならないの?」


『あたしがとってあげるよ♪』


「アイちゃんが? どうやって?」


『あたしがヒトシの腹をかっさばいて、取り出してあ・げ・る♪』


「ひいいいい! や、やめてよ、アイちゃん」


『でも、やらなきゃ死んじゃうよ?』


「そ、それだけは、それだけは……」


『な~んてね、ウ・ソ♪。あたしがあんたの体の中に入って、寄生虫を取り出してあげるよ』


「え、どうやって?」


『見せてあげる。アイ、実体化(インタラクト)


 スマホから光が照射され、アイが空中に投影される。仰向けに寝ているヒトシをまたいで仁王立ちになった。


「アイ、縮小化(デミニファイ)!」


 アイはみるみる手のひらサイズに小さくなり、ヒトシの胸の上に立った。


「どう?」


「アイちゃんが小さくなっちゃった!?」


「こうやって、ミクロサイズに小さくなって、あんたの中に入るのよ♪」


「うう……やるしかないのかあ」


「サイズ、ネガティブ」


 アイはさらに小さくなって、豆粒サイズになった。


「はい、あ~んして、あ~ん」


 言われた通りにヒトシが口を開けると、アイはさらに小さくなり、ヒトシの口に飛び込んだ。


「うげ! んっがっぐっぐ!」


『むせてないでさ、ヒトシ、スマホ持ってよ』


 今度はスマホからアイの声が聞こえる。


「え、なんで?」


『あんたがあたしを操作するのよ。スマホで。画面見てごらん』


「どれどれ? あ、アイちゃんが映ってる。これ、僕の体内なの?」


『あんたにも見やすいように、デフォルメしてあるけどね』


「なんか、昔のゲームみたいな画面だね」


 ヒトシの体内も、アイも、粗いゲームのドット絵のように描画されている。


『リソースの限界よ。だから、あんたがあたしを操作するのよ。さ、奥へ進んで』


「スマホで操作するの? なんか、ほんとにゲームみたいだな。こうかな?」


『おっとっと』


 ヒトシが操作すると、画面内のアイが体内の壁に激突した。


「いて! 痛いよアイちゃん」


『だったら、しっかり操作しなさいよ』


「う~ん、けっこう難しいなあ」


 アイが、体内を進んでいくと、多数のうごめく生き物を発見した。


『いたわ、あそこよ♪』


「あ、ほんとだ。アイちゃん、早くやっつけてよ!」


『まあ待ちなさいって。こんにちは~♪』


「アイちゃん、なんで寄生虫にあいさつしてるの!?」


『おや、どちらさまでしょうか?』


 アイに気づいた寄生虫が振り向いた。やはり、ドット絵で表示されている。


「わわ、寄生虫がしゃべった!?」


『デフォルメしてるって言ったじゃん。ちょっと黙っててよ』


『あなたも、寄生虫ですか?』


『いいえ、あたしはアイです。あなたたち、この宿主から出て行ってもらえませんか?』


『いいえ。我々も、食うためには出るわけにはいきませんね』


『でも、この体にいても、終宿主しゅうしゅくしゅまで行けませんよ?』


『なんですって、この体はイノシシではないのですか!?』


『人間ですよ♪』


『こりゃいかん。こうしちゃおれん、早く、引っ越しの準備だ、みんな』


 ドット絵の寄生虫が、いっせいに移動しだした。



 ──数分後



「ん、な、なんか、鼻がむずむずす……ハーックション!」


 ヒトシが盛大にくしゃみをすると、口から何かが飛び出し、窓から出て行った。


『はーいっ、これで寄生虫はみんな出ってったよ♪』


「よ、よかった。お腹の痛みもなくなったよ……はあ」


『じゃ、あたしもそろそろ出ようっと……あれー?』


「ど、どうしたの? アイちゃん」


『ヒトシ、スマホの充電、どれだけ残ってるの?』


「どれだけ……あれ? 残り15%しかない?」


『あー、やっぱりね。小さくなるのって、かなりパワーを使うのよね』


「え、充電が切れたらどうなるの!?」


『前みたいに消えちゃうか、もしくは……』


「も、もしくは……!?」


『もとのサイズに戻っちゃうかも♪』


「……え? もも、戻ったら、どうなるの……?」


『決まってんじゃん、「ボンッ」だよ♪』


「は、早く僕の体から出てよ、アイちゃん!」


『わかってるよ♪ あせらないで。急ぐともっとパワー使うからさ』


「そう言ってるまに10%だよ!」


 アイはヒトシの体内をさかのぼる。


「あと7%だ。急いで!」


『はいはい、小さくなってるからね。ちょっと待ってよ』


「わ、残り5%だよ、やばいやばい!」


『もうちょっとで出るからさ』


「あと3%! 急いで、アイちゃ~……んがっ!」


 叫ぶヒトシの口から、アイが飛び出した。


「アイ、拡大(マグニファイ)!」


 アイは空中で大きくなると、そのままヒトシの腹の上に尻もちをついて着地した。


「うげえ!」


 ヒトシがつぶれたカエルのような悲鳴を上げる。


「ふー、なんとか間に合ったみたいね、ヒトシ♪」


「アイちゃん、お、重い……早くどいて……」


「何よ、あたしが重いっていうの? 乙女に向かって失礼ね」


「ち、ちが……苦しい……」


「あれ? あー、勢い余って、あたし、ちょっと大きくなりすぎたみたい♪」


 普通サイズよりも大きくなったアイの下敷きになったヒトシは、息も絶え絶えだ。


「ごめんあそばせ、ホホホ♪」


「し、死ねる……ガクツ」


「ざぁこ♪」


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ