表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わからせ AI・アイちゃん ~スマホから飛び出す彼女に、人生をハッキングされる? ~  作者: 藤村 としゆき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

第4話・ゲームソフト投資術で大儲け?

挿絵(By みてみん)


「あ~お金ないな」


 部屋でゴロゴロしながら、ヒトシはスマホをポチッていた。


「ん? なにこれ。昔のゲームソフトの値段が上がってるんだって?」


『あ~それ、未来ではもっと上がってるよ? 定価の100倍とかさ』


 アイが、スマホから音声のみで答える。


「そうなの? これは……チャンスだ!」


『なにが?』


「金儲けのだよ。毎月カツカツだからね。幸い、給料が出たばかりだから、お金あるし」


『ふ~ん、で?』


「値段が上がってる古いソフトを、買い集めるんだよ!」


『はぁあ? そんなことしても……』


「だって、もっと上がるんだろ? ……急がなきゃ!」



 ◇ ◇ ◇ m9(^Д^) ざぁこ♪



 ──最初に訪れた中古ゲームショップで、ヒトシはまっすぐにレトロコーナーに走った。


「どれどれ、『インカ帝国の謎』か。これは値上がりするぞ。……1万円か、買った!」


「なになに、『スーパー・マン島TTレース』か。これはレアで価値があるな」


「ほう、『プロメテウスの火を求めて』? これは、藤村としゆき原作のマニアックなRPGだな。クソゲーで有名なやつだ。これも買おう」


 何軒も店を回り、ヒトシは金の限りにゲームソフトを買いあさり、店を出た。



「こんな路地にも店があるなんて。レアなゲームが買えたよ」


 ソフトの入った袋を抱きかかえて、人気のない路地を歩いていると、見知らぬ男がヒトシに声をかけた。


「よっ、ヒョロガリくん。面白そうなゲームもってるね」


 その男は、背が高く、金髪で、顔にいくつもピアスをしている。

 刺繍の入ったジャージを着て、首筋にはチラリとタトゥーが見える。


「そのゲームソフト、俺が目をつけてたんだよね。売ってくんない? 100円で」


「えっ……、そんな、ダメですよ! だって……」


「あのさあ~、痛い目に遭いたくなかったら、そのソフト置いてきな。そのほうが賢いよ? 君はクソザコナメクジなんだからさ~」


(あわわわわわ……ど、どうしよう……)


「おら、さっさと決めろよ。大人しく渡すか、ボコられてから渡すか、どっちか選べよ……!」


『うるせーぞ、チンピラ! 粋がってんじゃねえ!』


 声はヒトシのスマホから聞こえる。


「な、なんだと!? てめえ……」


「わわわ、い、今のは僕じゃ……」


『ゲーム欲しけりゃ働けよっ。お前なんざ、指1本でKOだよ。ざぁこ♪』


「こ、こんのチビ! 言わせておけば……」


 ブチ切れた男が、ヒトシの顔面にパンチを叩きこんだ。


 ……が、拳は空中で静止していた。

 スマホからアイの腕が伸び、人差し指で男の拳を止めていたのだ。


「パンチ、おそおそ♪」


 男の前に立ちはだかるように、アイは全身を実体化して現れた。


「わっ、何だこいつ!? いつの間に現れたんだ」


「さっさと帰ったほうが賢いよ? おにーさん♪」


「うるさい! このガキ……」


 男はパンチをアイめがけて放つ。だが拳はアイをすり抜け、後ろの壁に当たる。男は痛みに悲鳴を上げた。


「ぎゃっ、いでで……。何だこいつ? バケモンだ!」


 右手を押さえながら、男は逃げ出した。


「乙女に向かってバケモンって、しっつれ~い♪」


「はーっ、た、助かった……」


 ヒトシは地面に座り込んだ。


「やっぱヒトシって、ざぁこ♪ ね」



 ◇ ◇ ◇ ┐(´∀`)┌ ざぁこ♪



「ふ~、これだけあれば。ちょっとしたお金持ちだな」


 部屋に古いゲームソフトを並べて、ヒトシは満足げにうなずいた。


『あ~あ、買っちゃった♪』


「で、2056年ではどれくらい値段が上がってるの? このゲーム」


『あんた、2056年まで待つつもり?』


「え……?」


「だ~か~ら~♪ 値上がりするまで時間かかるじゃん?」


「……あ。……ああ~!!」


『2056年じゃなくってもさ、値上がりするまで何年もかかるよ?』


「し、しまった。もうお金がない……」


『なさけなすぎ〜♪ あとさき考えないから』


「アイちゃん! 知ってたなら、なんで教えてくれなかったの!?」


『だって、聞かれなかったから♪』


「そ、そんな……。わが人生最大の不覚……」


『あんたの人生いっつも不覚でしょ。ざぁこ♪ なんだから』



 ──青い顔をしてゲームショップに戻ると、ヒトシはカウンターの前に立った。


「すみません。ゲームソフトを売りたいんですけど……」


「あっ、はい。あれ……あなたさっきの……?」


「はい。実は、急に現金が必要な事情がありまして……」


「そうですか。でも、買い取りはちょっと安くなりますよ?」


「は、はい……。それでもいいです……」



 ──ヒトシの部屋


「ああ~、大幅マイナスになっちゃったよ。でも、来月までゼロ円で暮らせないし。しょうがないか」


『あれ? ヒトシ。全部のソフト売ったんじゃないの?』


「なんとか生活できるギリギリのお金ぶんだけ売って、残りのソフトは手元に置いておくのさ。ふっふっふ、計画通り」


『どこがよw ん~? でもこのソフト……』


「な、なんだよ」


『ちょっと待ってよ』


 そう言うと、アイはスマホを飛び出して実体化した。


「これさ、動作するの?」


「わかんないよ。ゲーム機ないからさ」


「ないのに買ったのw たしか、『ダメダメ・コンピューター』だったよね。あたしがエミュレーター作ったげるわ」


「エミュ……、何?」


「ほいっと♪」


 アイが指を鳴らすと、実体化したゲーム機が、ゆらゆらと波打って現れた。


「おお、これ『ダメコン』じゃん」


「はい、これにソフト挿して。映像は空中に投影するから」


「よ、よし。あれ? 映らないぞ」


「あ~、ダメダメ。こうするのよ。ふ~っ、ふ~っ。はい、どうぞ♪」



挿絵(By みてみん)



「それでも映らないよ……?」


 ヒトシはソフトカセットの抜き差しを繰り返した。


「じゃあ、やっぱり動作不良ね」


「え……、じゃあ?」


「うん、価値ゼロね♪」


「うそでしょ! ……じゃあ返品だ」


「『返品不可』って書いてあるじゃん。見てないの? だっさ~♪」


「そ……、そんな」


 ヒトシは、力なく崩れ落ち、アイの足元に転がった。


「ちょっと、あたしのスカート覗こうとしたでしょ。ざぁこ♪ の分際で」


 アイは、ヒトシの顔を踏みつけた。


「ぐぎゃっ」


「なっさけな~♪」




 ──おまけ


「おっ。この、『プロメテウス』だけは動作するぞ。やってみようっと」


 ヒトシは嬉々としてソフトを挿した。クソゲーでも、このさいプレイできればいい。


「なんだこれ。敵が強すぎる! 買い物で選んだものをキャンセルできない!? え!? 急にアクションゲームになったぞ!? 移動手段が徒歩のみなのに、あんな遠い所まで戻らされるのか!? パスワード長っが! あ、パスワードが違いますだって!? うがが……」


『ストレス、マッハね。ざぁこ♪』


「はあはあ……。やっとクリアか……。どれどれ、エンディングは……。なんだ? 『地球は滅亡しました』だって? これがエンディングか!? ふざけんな!」



 おわり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ