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■第28話:カナの記憶
その夜、カナは眠れなかった。
拠点の薄暗い部屋。
機械音だけが響いている。
レイは既に眠っていた。
だがカナは、胸の奥に妙な違和感を抱えていた。
“何か”を思い出しかけている。
断片的な映像。
白い部屋。
誰かの声。
ガラス越しの光。
「……なんで」
頭が痛む。
その瞬間——
ノイズ。
視界が歪む。
カナは思わず声を漏らした。
「っ……!」
すると、扉が開く。
入ってきたのはジンだった。
「……始まったか」
カナが顔を上げる。
「何を知ってるの?」
ジンは少し黙り、やがて言った。
「お前、“調整個体”だろ」
空気が止まる。
「……え?」
「管理者が作った、人間に近い特殊個体」
カナの顔が青ざめる。
「違う……私は……」
否定しようとした瞬間、再び頭痛が走る。
知らない記憶。
でも——どこかで見た景色。
ジンは静かに言った。
「思い出せ。お前は“普通”じゃない」
カナの世界が、大きく揺らぎ始めていた。




