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■ 第17話:再びの声
レイは端末の前に戻る。
消えたはずのログを、もう一度なぞるように呼び起こす。
指先がわずかに震えていた。
再生。
『……外に出るな……』
ノイズ。
だが、今度ははっきりと意味を持っている。
「……前と逆だ」
以前の音声は、外へ導くような言葉だった。
だが今回は、明確な“拒絶”。
カナが息を呑む。
「どういうこと……同じ発信元なのに」
波形を重ねる。
一致している。
声も、間も、発信コードも。
なのに——内容だけが違う。
「……誰かが上書きしてる?」
「それとも……」
レイは目を細める。
「最初から“両方”用意されてたか」
誘導か、警告か。
どちらも真実で、どちらも罠。
カナが小さく呟く。
「混乱させるために……?」
沈黙が落ちる。
レイは歯を食いしばる。
「……どっちでもいい」
視線は端末の奥へ。
「真実は、一つしかない」
なら、それを掴むしかない。
たとえ——どちらを選んでも、戻れなくなるとしても。




