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■ 第15話:上層の嘘
ダクトを抜けた先は、見慣れた生活区画だった。
だが、安心はできない。
「戻ってきた……?」
カナが息を整える。
レイは周囲を見渡す。
いつも通りの風景。
人が歩き、会話している。
だが——
「おかしい」
誰も、下で起きていることを知らない。
知らされていない。
「完全に分断されてる」
上と下。
見せる世界と、隠す世界。
その差が、あまりにも大きい。
「なあ……」
カナが不安そうに言う。
「私たち、戻ってこれたのかな……?」
その言葉に、レイは答えなかった。
ここが本当に“安全な場所”なのか、もうわからない。




