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プリンとキス  作者: 雲母あお


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39/43

39.たった15分電車に乗っただけで、めちゃめちゃ都会だった

「ごめん。」

うまく人混みをかわせずに、桜庭さんの後をついていくのが難しい。


こんなに人がいっぱいなんて、目が回りそうだ。


よく考えたら、東京ってこんなところだって思ってたのに、大学の周りがあまりにも穏やかで静かだからすっかり忘れていた。



「師匠、大丈夫?もしかして乗り物酔いとかする?」

「いや、ごめん人に酔ったかもしれない。この駅に降りるのは、初めてなんだ。」

うまく人を避けきれず、すみませんと謝りながらよろよろ歩く俺を見て、

「うふふ。大学の周りしかいなかったら、ここはちょっとびっくりしてしまうかもしれないわね。」

そう言って、桜庭さんは優しく笑った。



「でも、ここにはとっても素敵なカフェがいっぱいあって、おいしいデザートを提供しているお店がいっぱいあるの!師匠、お菓子作りが好きだって言ってたから、絶対に勉強になるし、楽しめると思うよ!」


この街が好きなんだろう。

桜庭さんの声は、楽しそうに弾んでいた。


「ゆっくり歩くから、頑張ってついてきてね。駅から歩いて5分ぐらいのところにあるから、すぐ着くよ!」

さっきよりゆっくりとしたペースで歩いてくれて、これなら見失うこともなさそうだ。

「ありがとう。助かるよ。」



駅を出て、メイン通りから横道に入り、少し歩くと大人の雰囲気な静かな感じになった。


東京は、不思議だ。


「少し路地に入るだけで全然違うんだな。」


「そうなの!大人の隠れ家みたいなカフェとかもいっぱいあるんだよ!」


「そうなんだ。」

ちょっと興味深い。


桜庭さんは、

「駅は、賑わいすぎだけどね。」

ぺろっと舌をだす。


田舎もんまる出しの俺のことをバカにしないで、にこやかに相手してくれて、桜庭さんはとても話しやすいな。

でも、倉島相手のように、『師匠はやめろ』とは、さすがにいいづらい……この先ずっと師匠と呼ばれるのだろか…恥ずかしい……はあ……


「師匠、着きました。このお店です。」


フランス語で書かれていた店名は……

うん、後で考えよう。

読めん!


桜庭さんが先頭で、戸を開けると、カランカランと少し鈍く明るすぎない、ちょっとカウベルを思い出すような、かわいいおしゃれな音がした。



「こんにちは。」

桜庭さんが、そう声をかけると、顔見知りのようで、

「いらっしゃいませ。美希ちゃんちょっと待ってて。呼んでくるね。窓際の奥の席ね。」

そう言い残して、カウンターへと戻っていった。



「師匠、明人さんが席予約してるって言ってたから大丈夫だよ。」


こっちこっちー!と言って、俺を窓際の1番奥の席とを促す。

そのテーブルにはリザーブドと書かれたプレートが置かれていた。



すると、そこへ

いらっしゃいませ。ようこそ。

丁寧に頭を下げ挨拶をしてくれる1人の男性が、テーブルの前に現れたのだった。


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