35.このあと時間ある?
今日は、かのこさんに会う日。
といっても、絵画教室の日なんだけど。
昨日、かのこさんに渡すクッキーを作って、今朝ラッピングをした。
「うん!よし!」
今回は、クッキーも自信作なのだが、ラッピングもなかなかよくできた。
本当にいい感じにできたな。
朝早起きしたから、朝の時間がゆっくり流れていて、朝から気持ちがいい。
いつも、家でも食べたいと言って少し残して帰るから、今日はベンチで食べる用と家で食べる用の2つを用意してみた。
かのこさん、喜んでくれるといいな。
クッキーを初めてかのこさんに持って行った時の、かのこさんが美味しそうに食べる姿を思い出して、自然に笑顔になる。
かのこさんの、あの美味しそうな顔、また見たいな。
渡す時に、割れないように、100均でいい感じの箱を買ってきたのだ。
箱の蓋を開けると、そっと二つの包みを並べて入れる。
「うん。ぴったりだ。これで持ち運ぶ時に気にせず運べるな。かのこさんに渡す時にクッキーが割れていたら嫌だからな。」
そっと箱の蓋をして、トートバッグに入れた。
今日は、午前中ゼミの集まりがある。
「さて、大学に行くか。」
まだ残暑の厳しい外に向かって、アパートから歩き出した。
もうすぐ後期の授業が始まるので、夏休みのゼミの課題について、一度先生と話す機会を持つということで、今日の午前中ゼミが行われる。
ゼミは、朝9時から始まり、12時頃終わった。
今日も頑張ったな!
3時間ぶっ続けのゼミは、正直疲れた。
もちろん水分補給はできるし、トイレ休憩もあったけど。
そして、昼ごはんをみんなで食べようという事になって、みんなでそのまま学食まで来たのだった。
学食で昼ごはんを食べ、1時間くらいゼミの課題について情報交換をした。
大学生らしい1日で、なんだか充実感を感じていた。
もうそろそろ学食が閉まる時間になり、食器を片付けていると、スッと隣に櫻庭さんがやってきて、俺の耳元で、小声で声をかけられた。
「戸ノ岡君。」
このあいだ、倉島から美希さんの苗字を教えてもらったからバッチリだ。
美希さんは、桜庭美希さんというらしい。
「桜庭さん、なに?」
と、応えることができた!
サンキュー倉島!
「この後予定なければ、ちょっと付き合って欲しいところがあるんだけれど。」
「…?」
急に何??
俺に付き合って欲しいところ??
皆目見当もつかず、驚きすぎて固まっていると、
「終わったら、図書館の前で待ってて。」
とだけ告げて、友達の所へ戻って行った。
俺の返事も待たず・・・
まぁ、今日はかのこさんに会うために夜出かけるだけだから、午後時間はあるけど。
いやいや俺に何の用事?何かしてしまったのだろうか?とネガティブ俺が心の中でずっと言っているが、ここは無視しておこう。
うん。頑張れ!俺!
とりあえず、図書館の前まで行って事情を聞こう。
うん。そうしよう。
そう言いながらも、なんで呼び出されたのかわからないことが不安で、ネガティブ俺が心を占めていく・・・
食器を片付けると、食堂の出入り口へと歩き出した。




