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プリンとキス  作者: 雲母あお


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28/43

28.サンキュー!倉島!

美希さんが友達と合流して、学食から立ち去った後、


「まじでアルバイト探してるんだな。」


しばらくして倉島がやってきた。

そして、


「おかん、お茶」


と、ふざけたことを言いながら、俺の前の席に座った。


おかんはよせと言いつつ、倉島のためにお茶を淹れる。


「あー、お前が淹れたお茶はマジうまい!心があらわれるようだ。」


「そうか。それはよかった。ならおかんはやめろ。しかし、なかなか見つからん。」


俺は、アルバイト情報誌を前に、頭を抱えていた。


授業を結構とっているので、いいなと思うバイトと時間が合わなかったりして、バイト探すの大変だと、少しへこたれそうになった。


そんな俺をみて、肩をポンポンとたたき、

「まぁ、ゆっくり探せよ。見つかるって。そのうち。」

といつものように、楽天家倉島は、ニカっと笑うのだった。


なんだかんだいって、この笑顔に救われている気がして解せぬが、やはり、倉島が見つかるっていうと、なんだか見つかる気がして不思議だ。


「そうだな。こんなにたくさんあるんだ。もう少し探してみるよ。」

アルバイト情報誌を片手にひらひらとしてみる。


「そうそう!そのいきだよオカン!諦めたらそこで終わりだ!」

うんうんと、素晴らしいことを言ったかのように、腕を組み目を閉じ、満足げにうなずいている。

「わかった。そうだな。諦めたら終わりだな。倉島、オカンっていうのやめろ。」

ちょっと睨むようにそういうと、

「あはははっ。さすが戸ノ岡!」

と言って、ツボにハマったのか、笑いがとまらない倉島なのであった。


おい。俺は、諦めないからな。


心の中で呟きながら、倉島が大笑いしている間、お茶を飲みながら、アルバイト情報誌のページを静かにめくるのだった。


「そういえば、倉島はバイトしてるのか?」


「俺?俺はしてない!しなくても大丈夫なお小遣いと、その範囲でしか遊んでない!というか、そもそも野球ばっかやってて、あんまり金使わないし、家近いから飯は家に帰って食ってるし、まあ、なんとか小遣いでやれてるから、そういえば考えたこともなかったな。」


うーん。

そうだな。

バイトか。


と、考えながら呟いている。


「そうか。やらなくて済むなら、好きなことに時間を使った方がいいと思う。」


心から思う。

やらなくていいことは、やらないに越したことはない。


俺が真面目にそう答えると、


「俺、お前のそういうとこ好き!」

と、なんだか嬉しそうな顔をし、

「好きだぜ!オカン!」

と、決め台詞を吐くようにいう倉島だった。


「よく分からんが、ありがとう。そして、オカンはやめろ。」


そういうと、倉島は、いつものように、ニカっと笑うのだった。


憎めないやつだな。

そんな倉島を、俺も気に入っている。

が、今は言うのをやめておこう。

なんか調子に乗る気がする。


なんて考えつつ、楽しいなと感じている自分に気がつき、心がほわっとあたたかく感じた。


「よく考えたら、学生アルバイトって今しかできない貴重な体験な気がしてきた。読み終わったら、それ俺にも見せてくれよ。」


そう言いながら、

俺の隣に座って、アルバイト情報誌を真剣に眺め出した倉島。


「ああ、いいけど。」


体をちょっと避けて、倉島にも見えやすいようにする。


「サンキュー。で、お前どんなの探してるの?」

「ええっと…」

付箋貼ったページをめくりながら、倉島に話し始めた。



なんでそのバイトが気になって、なんで候補止まりなのか、倉島に説明した。

そうしたら、一人で悩んでいた時には分からなかった気持ちや、理由が、なんとなくだけどはっきりしてきて、


そうか、俺、こういうとこが好きで、こういうのがあまり好きじゃないんだな・・・


とか、


少しずつ分かってきて、不思議だった。


倉島は、真剣に聞いてくれる。

なんだか、嬉しいな。

バイト見つかる気がする。


さっきまで、暗礁に乗り上げていたような気分だったのに、倉島と見ると、ちょっと楽しいなと、思ってしまった。


サンキュー!倉島!


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