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プリンとキス  作者: 雲母あお


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24/43

24. そうだったのか

だんだん時間がすぎ、一発芸の時間が近づいてきた。


ドキドキしながらも、近くにある空いた皿やジョッキなどを店員さんに渡す。

みんな気持ちよさそうに酔って、話に花が開いていてにぎやかだ。


隣で倉島は眠そうだ。


「おい。倉島、寝てるのか?」

声をかけると、

「おかん、俺は大丈夫だ。まだ食べられる。」

むにゃむにゃ言いながら、少し船を漕いでいる。

困ったやつだ。


俺は、親に似たのかあまり酔いが回らないタイプらしい。そんなに飲んだわけではないが、飲み放題なので、いくつか注文し、いや、してもらった。倉島に。


俺も困ったやつだな。

心の中で、いつものネガティブ俺が、何か言っているが、俺は今日頑張ると決めたのだ。


トートバッグの持ち手をぎゅっと握りしめる。


大丈夫。

かのこさんのあの絵をみて勇気をもらったんだ。


大丈夫。

俺は、この一発芸をやり遂げて、一生懸命考えてくれたかのこさんに、お礼をいうんだ。


ぎゅっと拳を握る。


よくみると、ちょっと手が震えてるけど、みなかったことにしよう。うん。大丈夫。


何度も自分に言い聞かせる。


すると、ゼミ長が立ち上がり

「それでは、時間もだいぶすぎて、いい感じに打ち解けたところで、神林ゼミ名物!はじめの打ち上げで、「一発芸!」を披露する伝統を受け継ぎ、只今より、神林ゼミ一発芸大会を開催いたします!」

と、宣言したのだ。


周りのみんなは、(倉島は、まだ船漕いでるけど)わあーと歓声をあげ拍手をしている。


すっと、幹事のところに店員さんがきて、何か耳打ちをしているのが目に入った。

今の歓声と拍手は、いささか周りの人の迷惑になるレベルの音量だったようだ。


そして、俺は。。。


そうだったのか。。。

それを知っていたら、神林ゼミを選ばなかったぜ。。。


心の中で、プチ後悔をしながら、ゼミ長の開始の合図を、沈黙のまま聞いていたのであった。





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