23.乾杯!
「「「「「「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」」」」」」
11人の乾杯の一声が響く。
まあ、苦手な俺は、口パクに近いから、俺の声は数に入らないかもしれないけどな。
大学出るときは、「いざ!飲み会へ!」なんて、言っていたが、すでに、倉島の横に隠れてなんとか終わりまで静かに暮らしたいとさえ思ってきている。
もはや、もう帰りたい。
こそこそと、端っこの席に誘導して、倉島をたてに隠れようとしていたら、
「お前、図体でかいから、俺からはみ出てるからな。」
つまみを食べながら、倉島はもごもご話す。
「口に食べ物が入っているときに喋るなよ。」
と、俺がいうと、
「さすが、おかん。調子出て来たか?」
「ぐっ…もう帰りたい。」
小さい声で呟くと、
「よしよし。大丈夫だ。時間は否応無しにすぎて、気づけば終わる。」
唐揚げに手を伸ばしながら、安心しろ、と言ってくる。
「確かにな。時間は止められないしな。はあ・・・」
だんだんうなだれてくる。
一発芸。うまくできるかな。
トートバッグをちらっとみる。
はあ。
「お前、なんか食えよ。食ったら元気でるぞ。ほら、唐揚げ!」
倉島がどんどん俺の取り皿に食べ物をよそってくる。
「倉島…」
「なんだ?俺の存在がありがたいだろう?」
いたずらっぽく笑って、さらに枝豆をとってくれた。
「はい。」
言葉が出てこないので、『はい』しか出てこない。
体をこわばらせ、固まっている俺を見て、
「お前、やっぱり親戚の子供にそっくり!!」
そういって、大笑いする倉島だった。
おい、そんな大きな声で笑ったら目立つからやめろ!
と、心の中で叫ぶ俺だった。
いや、まてよ…
倉島が隣で目立てば、俺は影になれるのか?
お読みいただき、ありがとうござます。
今週も2話投稿となります。
次の投稿は6月3日水曜日です。お楽しみに!




