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プリンとキス  作者: 雲母あお


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22/43

22.現地集合!

倉島と二人で、今日の打ち上げ会場に向かう。

打ち上げ会場というと、花火を想像するが、今日は飲み会だ。


花火か・・・

もう7月も下旬に差し掛かっている。

すでに、どこかで花火大会が行われたというニュースを見た気がする。


花火か・・・

花火大会を想像する。

その隣には・・・


「かのこさん・・・」

ポツリと呟いていた。


「ん?なんか言ったか?」

「えっ?」

横をみると、不思議そうな顔をした倉島がいた。

信号待ちをしているところだ。

この横断歩道を渡ってすぐのところが、今日のゼミの打ち上げをする店のはずだ。


始めて来た場所で、スマホに送られてきた店の地図を頼りに駅から歩いて来たから、少し自信がない。

お店の名前しか知らないし。

倉島もあまり飲み会にいかないらしく、初めて行く店らしい。


「お前、今何かいったか?」

倉島がもう一度聞いてくる。

「いや。何も。」

「そうか?」

「ああ。こんな賑やかな場所あまりこないからため息ついたかも。」

俺がそういうと、

「確かに。」

と、倉島も同調してきた。

倉島は、野球部に入っていて、試合終わった後とかどこかにのみに行ったりしていないのだろうか?

「倉島は、部活入っているから、野球部のやつらと飲み会行ったりしないのか?」

素朴な疑問を投げかけてみた。

「ああ。確かに。ご飯食べ行くけど、運動して疲れて、栄養とるぞー!!って言って、いつも決まって同じ定食屋に行くんだよ。美味しくて、学生に優しい値段で、大盛り!ご飯おかわり自由!」

「はははっ。健全というか、なんかいいな、そういうの。俺も野球入ればよかったかな。」

「えっ!?お前野球やってたの?」

「ああ、言ってなかったか?俺、高校まで野球部だったんだ。」

「どこ守ってた?」

「外野ならどこでもって感じ。」

「よっしゃー!!今度人数足んない時声かける!」

「高校卒業してから全然ボールに触ってないから、役に立たないって。」

俺がそういうと、

「先輩抜けたら人数ギリギリだから、なんなら今から入部しないか?」

なーなー!と腕を捕まれ振り回される。

「ちょ、やめろ。入部はできないかな。」

「なんで?お前暇そうじゃん。」

「ぐ、、失礼な。これからバイト探そうと思って。」

「バイト?」

「ああ。俺仕送りしてもらっててさ。ゼミ合宿あったり、今日みたいに飲み会あったりで、今まで以上にお金がかかるから、バイトするつもりなんだ。」

そう言いながら、他にもお金が必要なんだよなと、心の中で、

スケッチブックと鉛筆と…あと……

いろいろ思い浮かべる。

「じゃあ、時間あるとき助っ人頼む!なっ?」

なんだか倉島はとても嬉しそうに見える。

「時間が合えばな。」

「よろしく頼む!ちなみに野球部っていうのが言いやすいから言ってるけど、本当はサークル。野球サークルなんだけどな。正式の場ではそう言ってるけど、友達とかには野球サークル長いから野球部って言っちゃってる。」

倉島は、いたずらっぽく笑った。

やっぱり倉島だって真面目じゃないか。

野球部か野球サークルかは、俺には全くわからない領域なのに、きちんと説明してる。


そんな倉島を俺は好ましく思っている。

「先に言っとくが、あんまり期待するなよ。」

「わかってるって!何よりお前が断らなかったことがうれしい!」

倉島そう言って、いつものように、にかっと笑うのだった。


「信号変わった。ほら行くぞ。」

俺がそう言うと、

「ほんとにこの信号を渡ってすぐかな?」

倉島は、スマホをくるくる回しながら、地図を確認している。


「倉島、お前もしかして方向音痴か?」


「なぬ!失礼な!」


「地図をくるくる回す人は、地図を読むのが苦手って聞いたことがある。」


「ま、回してねーし!全然方向音痴とかじゃねーし!」


さっきまで、くるくる回してた携帯を、スマートな感じで持ち直すと、

「おかん!信号変わる前に早く渡るぞ!」

ちょっとすねた感じで先を歩き出した。


「信号渡ったら、左な。」

俺がそう言うと、

「わかってるよ!」

と、言いながら、右の方へ向かっていた体を、すっと左に方向修正する倉島なのであった。



「やっぱり方向音痴なんだな。」

ポツリとつぶやくと、

「うるせーよ!聞こえてるぜおかん!」

と、たくさんの歩行者がいる中で叫びやがった。


「だから、おかんはやめろ...」


まだ何か言ってる倉島の後を、少し離れてゆっくりと追いかけた。

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