17.気づけば隣に
「こないだ、バーベキューお疲れ!」
昼、学食にいたら、倉島がやってきて、向かいにどかっと座った。
「お疲れ。」
「お前終始焼きに徹してたな。俺を隠れ蓑にして。」
「そうだな。倉島は、まあまあいい壁だったよ。」
今日も倉島と学食にいる。
どうやら試合に負けたらしく、昼練やめたらしい。
いやいや、この後も他に試合があるんだろうし、目の前の試合のためだけって、といったら、
「オカンは小うるさい。」
と言われた。
「オカンって言うな。」
納得行かない顔したら、
「クソ真面目!」
といわれた。
「はいはい。」
お茶を手渡しながら軽く流す。
すると、揶揄うような目でこっちを見ているのに気づいた。
「なんだよ。」
なんかついてるのか?
なんとなく顔に手をやる。
米粒でもついているのか?
すると、倉島は、ニヤニヤしながら、
「お前最近よく昼に学食いるよな?もしかして俺のこと待ってる?」
倉島にそういわれて、思わずお茶を吹き出した。
「汚ねーな。」
「ごめん。」
あわてて台拭きでテーブルをふく。
「もしかして図星か?」
そういわれて見つめられたら、恥ずかしくなって顔が熱くなっていくのがわかった。
いわれてみれば。
気づかなかったけど。
確かに以前はあまり近寄らなかった学食に、最近自然ときて、自然と倉島といる。
「わ、悪い。気持ち悪かったか?」
席をたってたちさろうとすると、
「あはは。待てって。お前本当に変なやつ!!」
俺の腕を掴んで引き留める。
「俺たち友達だろ!!」
そう言って、にかっと笑うのであった。
「意地悪なこと言って悪かった。まあ座れよ。」
「なんだよ。お前んちじゃないだろ。」
そう言いながらもとりあえず座る。
「確かに!!じゃあ今度俺んちこいよ!すぐ近くだしさ。なんなら今から行くか?」
「もうすぐ講義始まるだろ」
「あーそうだった。」
そう言いながら席を立つ。
「じゃあ教室に移動しようぜ。」
「ああ。」
倉島に促され並んで学食を後にした。
昼を学食で食べるようになってから、倉島がやってくる。
気づけば倉島は隣にいるようになった。
気づけば隣に倉島!
なんかゴロがいいな。
ふと笑ってしまう。
それを見逃さない倉島は、
「なんだ、俺といるのそんなに楽しいのか?」
揶揄うように俺の顔を覗き込む。
「ああ。楽しいよ。」
素直にそう言うと
ばっと顔を赤くして、
「素直も大概にしろ!小学生!」
と、言い放って早歩きに行ってしまう。
プッ
おかしくて思わず吹き出してしまった。
なんだよ照れ屋かよ。
「倉島!照れるなよ!可愛いな。お前も俺に会いにきてたんだろ?」
今度は俺が揶揄う番だった。
「うるせーばーか!」
あっかんべーしながら言ってる。
なんだよその返事!何歳だよ!
お前の方がよっぽど小学生だろ。
心の中で笑ってしまう。
「待てよ小学生!」
そういうと、
「お前が小学生だ!ばーか!オカン!」
とか言ってる。
倉島アホだな。
「オカンはやめろ。」
「オカンオカーン!早く歩かないと講義に遅れるぞ!」
「はいはい。」
友達になりたい。
友達欲しい。
友達いない。
俺なんか。
方言でたらなんか恥ずかしい。
うまく話せない、
1人は辛い。
いろいろ考えて大学に入って以来ずっと1人だったのに。
不思議だな。
自然に隣に並んで歩く奴が現れて
俺たち友達だろって俺に向かって言ってきた。
表情があまり豊かではない俺でも、
はたから見たら嬉しそうに見えたに違いない。




