197 合格ラッシュ、そして家探し
次回は19日です。
完結まであと少し!
小出葵です。
あっという間に受験本番がやってきました。
すでに推薦で合格している私は、アルバイトをする以外は、神社にお参りをして祈ることと、登校して、みんなの合格発表の結果をいち早く知るという行動しかありません。
2月下旬、まず私立の発表がありました。
まず、菅原君と由奈が同じ都内の私立大学、W大学に合格します。
何と、二人はそろって私の家にまで来て、報告してくれました。
学部は違うようですけど、同じキャンパスに通えるみたいです。
「由奈、菅原君、おめでとう!
同じ大学なら、浮気の心配ないね。お互いに。」
「私はしないよ。菅原君が怪しいけどね。菅原君W大学のミスコン出場者のメンバー、ネットで確認してたんだよ。生徒会で活躍した手腕でミスコンの実行委員会とかに参加しないといいんだけどね。」
「おいおい、勘弁してくれよ。ミスコンの実行委員会なんて興味ないよ。俺は将来起業したいから、そんなことをしてる暇なんてないよ。」
「起業するんだ?すごいねー。」
「って言ってるけど、まずは学生ビジネスでいろいろ試しているんだって。
上手く行くかしら?」
「まあ、見てろ。学生って何でも許されるんだ。いろいろチャレンジしてみるよ。」
「ふふ、お手並み拝見、ってとこね。私は演劇を引き続き頑張るから。」
「おお、そうだな。大学ではヒロインやれよ。」
「うん、がんばる。」
なんだかんだ言っても、仲のいい二人です。
そして、ほぼ同じ頃、祐希と尾崎君も同じK大学に合格します。
ただし、祐希の進学先は母親の後を目指し、医学部です。
演劇はやめちゃいます。
祐希は母親同様、トランスジェンダーのケアをする医師を目指すんです。
「何て言ったって、葵というトランスジェンダーが友達として存在するんだから、すごく興味あるし相談に乗れる医師になりたい。
今後、どんどん若いLGBTは増えていくと思うんだ。
LGBT専門の医師は必要。
私、葵のケアもするからね。」
何とも頼もしいことです。
友達が医師なら、何でも相談できます。
私、女性の体になったばかりで、まだまだいっぱい不安がある。
死ぬまで祐希のお世話になっちゃうかも。
そう言えば、彼氏の尾崎君は大学でも演劇部に入って、そして演出家を目指すみたいです。
自分で劇団を持つのが夢みたい。
「夢破れて、普通のサラリーマン、公務員になっちゃうかもしれない。
その時はその時だ。
いずれにしろ、演劇バカは一生続くと思う。」
ふふふ、尾崎君の劇団、楽しみ。
そして・・・肝心の、板谷君です。
板谷君は私と同じ東北の国立大学を一般受験なので発表は3月になりました。
3月のある日・・・板谷君は自宅のパソコンの前で、合格発表の時間を待ちます。
私も板谷家を訪問して、一緒にその時を待ちました。
ドキドキしながらご家族と一緒に待ちます。
妹の佳織ちゃんもいて、私の手を強く握ってました。
佳織ちゃんと私は一緒に神社に板谷君の合格祈願に何度も言った仲なんです。
そして、家族が見守る中、その瞬間が訪れます。
みんな息をひそめます。
そして・・・
「おお、やったぞー!現役合格だ!」
板谷君はこぶしを天に突き上げて、ガッツポーズ!
よかったー。
私は思わず板谷君に抱き着き、そこに佳織ちゃんも抱き着きます。
「小出、これで、今度は4年間青森で一緒だ。よろしくな!
一緒に演劇、がんばろう!」
「お兄ちゃん、現役合格おめでとう。
私立の入学金無駄になっちゃったけど、浪人するより絶対いいもん。
夏休み、遊びに行くからね。
東北って行ったことないから楽しい。
そうだ、冬の雪景色もいいなー。
いろいろ案内してね。」
「おお、俺たちも遊びに行くからな翔。
そうだ、その前に、早速、住むところも見つけないとな。
葵さんはもう決めたのかい?」
「いや、まだです。合格は早く決めたんですが、住んでいる人がちゃんと卒業して、学生用アパートを出ていくかわからないから、そんなに早く決めれなかったんです。」
「じゃあ、小出家と板谷家で一緒に、東北に行って、アパートを探すとしましょうよ。
二人とも、近いところがいいでしょ?」
「そ、そうだな・・・」
「できれば・・・」
「ふふふ、若いっていいわね。早速、智花に電話しようっ。」
板谷君のお母さん、公佳さんはあっという間に私の母に電話しちゃいました。
そして、大学のある地方都市に一緒に行くことをあっという間に決めちゃいます。
すごい行動力。
あ、東北の地方都市だと、ホルモン治療とか大丈夫なの?と質問がありそうですが、
何と、その大学には医学部があって、専門の先生がいるそうです。
ちょっと前まではそんな専門家はいなかったようですが、このご時世で、他の大学病院から来たようです。東北にもLGBTが増えてきて需要があるからみたいです。
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そして、数日後、私と板谷君、そして双方の両親は大学に行くとともに、不動産屋さんの紹介を受けて、アパートを探しに行きます。
対応してくれたのは感じのいい30前後の女性でした。
結婚指輪をしていて、既婚者のようです。
二組の家族の話を聴いて、いろいろ気を利かせてくれます。
「同じ高校出身で、親御さん同志もお知り合いなんですね。
素敵な関係なんですね。
えーっと、やっぱり男女は別のアパートがいいでしょう?
女性専用アパートってことはなくても、やはり女の子が入居するアパートと男子が入居するアパートは別にしてます。
でも、お友達なら距離が近い方がいいですよね?」
さすが、プロです。恋人なんですか?付き合ってるんですか?なんて言い方はしません。
私たち家族はそう言われるの覚悟してました。
あれっ?そういえば、私、板谷君に交際申し込まれてないから、別に恋人ってわけじゃないけど、なし崩しにいつも一緒に居る関係だ。
なんか中途半端。
でも、親同志は実質的に恋人って思ってるだろうなー。
佳織ちゃんや私のお姉ちゃんも・・・
でも、手をつないだこともない・・・
「あ、いい物件がありました。大学に近くて、男子ばっかりのアパートと女子ばかりのアパートがあります。うまい具合に卒業で空くところです。二つのアパートは50メートルも離れてませんよ。
困った時にはいつでも助け合うことができる距離ですね。」
確かにいい物件でした。
空いた部屋は二つと3階で、防犯上もいい感じです。
「あの、上の階って、防犯だけでなく、雪対策でもいいんですよ。
1階は雪で外が見えなくなっちゃうことあるんです。
東京近辺の人にはわかりにくいでしょうけど、このあたりは豪雪地帯なんですよ。」
「そりゃ、すごい、夏だけでなく、冬も来てみたいな。」
「そうね。銀世界見てみたい。」
「じゃあ、4人で子供の様子を見に行きましょうか?」
「地吹雪とか体験してみたいな。」
ちょっとはしゃぐ、親たちですが、応対してくれた女性社員はちょっとだけ釘を刺します。
「都会の人だと、転ぶし、歩くの大変ですよ。それに、現地の人は雪かきで苦労しています。
お子さんたちも、雪かきすること多いと思いますよ。」
親たちは現地の生活の大変さを知り、ちょっと神妙な顔になってました。




