180 ライブの後3
ついに、伊藤君、島田さんの家に行きます。
けっこう、ご両親がいい感じです。
伊藤幸喜です。
ついに、来てしまった、この日が!
超緊張してしまう!
最近、同じバンドを好きっていうことで仲良くなった島田明日香さんの家にお呼ばれする日が今日だ。
昨日はよく眠れなかったと言いたいが、けっこう眠れた。
昨日の部活の練習が厳しかったからだ。
「まさか、幸喜にガールフレンドが出来て、相手の家に呼ばれるとはな。
女子が苦手とずっと思ってたけど、すみにおけないな。」
父親がニヤニヤ笑いながら、からかってくる。
「お母さんとしては、嬉しいかな?だって、息子が女の子にモテるって素敵なことじゃない?」
母親はニコニコ笑って、楽しそうだ。
「兄貴の話だと、島田さんには俺と同じ中学2年生の舞香ちゃんって妹がいるらしいんだ。
紹介してもらえないかな?」
弟の大樹は俺と違って、お調子者だ。俺より、女子の扱いに慣れてて、けっこうモテる。
バスケット部のエースだったりもする。
「大樹はモテるから紹介なんていらないだろ?」
そう突っ込むと、
「うーん、でも自分の好みの女子からはモテないんだ。」残念そうに弟が応える。
モテる男も大変なのかも。
必ずしも、自分のタイプの女の子にモテるとは限らないもんな。
「お父さん、お母さん、お呼ばれって言ったって、島田さんと付き合ってるわけじゃないんだ。
一緒に、ライブを観に行くって話になったら、なぜか、食事に招待されたんだよ。」
「そりゃ、箱入り娘だな。変な虫がつかないか心配してるんだ。」
「そうね、軽そうな不誠実そうな男子ってわかったら、娘に手をだすな!って怒鳴られるパターンね。」
両親は他人事みたいに笑いながら答える。
こりゃ、楽しんでるな。
全然心配してないよ。
俺はちゃんとしたアドバイスをしてほしいのに・・・
そう思ってたら、さすが、大人の二人だ。
アドバイスはちゃんとしてくれた。
「幸喜、まずは、目上の人に会うんだから、礼儀は正しくしろ。
ちゃんと挨拶の仕方をメモしておいたから、読んでいけ。
それから、相手のご両親と話すと気は目を見て話しをしろ。
目をそらすと、良からぬことを考えていると思われるぞ。
目を見ながら、ハキハキとな。」
さすが、会社で人事課長をやってるだけはある。
言葉遣いや礼儀は大切だもんな。
「それからね、相手のお宅は娘さん二人なんでしょ。
すごく心配しながら、育ててると思うから、その気持ちを考えて会話してね。
あと、うちの事も話しておいたほうがいいと思う。
家族構成とか親の仕事とか気にしてると思うもの。
聴かれたら、ちゃんと説明するのよ。」
うん、かあさんも、いいところを突いているなあ。
それにしても、お嫁さんにくださいって言いに行くわけでもないんだけど・・・
まあ、いいや。
真面目な人間ってところはアピールしないとな。
初めて友達と大好きなバンドのライブに行くチャンスをつぶしたくない。
頑張るか!
そのあと、支度をしたあと、服装や髪型についてああだこうだ言われ、少し手直ししたあと俺は島田さんの家に向かった。
緊張するけど、なるようになれだ!
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島田明日香です。
私の家に伊藤君が来て、1時間経っています。
何と、お父さんはすごく上機嫌です。お母さんも同様です。
「伊藤君はそうか、ロッテのファンだったのか、こりゃ、奇遇だったな。」
そう、伊藤君が父が大好きなプロ野球チームのファンだったと知るや否や、お父さんは満面の笑顔になり、話しまくっています。
「伊藤君が、お酒を飲めるまで、あと4年か?
うん、4年経ったら、一緒に酒を飲みながら野球の試合を見よう!
うん、絶対酒が旨く飲める。」
お母さんに至っては、
「伊藤君って、イケメンね。うん、私の好みのタイプ。もっといっぱい食べて!」
なんて言ってるし、
妹は妹で、
「伊藤さんって、私と同い年の弟さんがいるんですか?えっ、バスケット部?
うわっ、会ってみたい。」なんて、伊藤君の弟に興味津々。
心配してたけど、全然大丈夫だった。
もちろん、二人で、ライブを観に行くことは許してくれました。
「とにかく、さっき説明したとおり、明日香はちょっと男嫌いになったきっかけというか理由があるんだ。変な男の視線から守ってほしい。
よろしく頼む。」
「は、はい。全力で務めさせていただきます。
僕も男です。
ちゃんと明日香さんをお守りします。」
「おお、頼もしいな。安心できるぞ。まあ、二人で仲良くやってくれるなら文句は言わない。
ライブの帰り、遅くなったら、一緒にホテルに泊まってもいいぞ。」
「ふふふ、伊藤君なら安心だしね。責任とってくれそうだし。」
「いや、あの、ちょっと、僕たちはまだ高校1年生です。
ちゃんと帰りますので、ご心配なく。
その、ちゃんと節度ある友人です。僕たちは。」
「ははは、冗談だ。」
「そうなの?お父さん。私はいいわよ。
子供は作っちゃだめよ。それさえ守ってくれれば後はご自由に。」
伊藤君、目を丸くしてます。
私も両親のぶっ飛んだ冗談にドキドキしちゃいました。
どうも、両親はオロオロする伊藤君の態度を楽しんでいる様子です。
それにしても、
私、伊藤君と一緒に大人の世界に行っちゃう想像をちょっとしちゃいました。
家族4人との会食を終えた伊藤君はそのあと私の部屋に来ます。
わっ、男の子を自分の部屋に入れる日が来るとは思わなかった。
でも、伊藤君はホッとした顔をしています。
ウチの両親との会話に相当緊張したようです。
「島田さんのおとうさんとおかあさん、楽しい方だね。」
「えっ?いつもはもっと普通なんだよ。どうも、今日はテンション高くなっちゃったみたい。
お父さんもお母さんもお酒を飲んでないのに、お酒を飲んだ時みたいになっちゃった。」
「とりあえず、一緒にライブに行けるね。よかった。
それから・・・
そうだな。曖昧はよくないな。
あのさ、突然だけど・・・
ライブに一緒にいくだけじゃなく、俺と付き合ってほしい。
一緒にいると楽しいんだ。お願いします。」
「えっ?それって、私、伊藤君の彼女になるってこと?
突然ね!えっと・・・
うん、・・・そうだね。いっしょに二人でライブに行くくらいなんだから、それが自然だよね。
男の子と女の子が二人で行動するならその方が説明がつくし・・・
わ、変な事いっちゃった。
理屈じゃない。私も伊藤君と一緒にいると楽しい。
こちらこそよろしくお願いします!」
その時、部屋の入口から走り去る妹の姿が見えました。
また報告するんだなって私は思いましたが、いいでしょ。自然な流れだし。
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「お父さん、お母さん、やっぱり二人は真面目に付き合うみたいだよ。
今、聴いちゃった。」
「そりゃ当然だろ。二人でホテルに泊まってもいいって言ったんだから。
許されたって思ったんだろ。別に問題ない。」
「うん、いいんじゃない。明日香もいい男の子つかまえたわね。」
「いいなー、お姉ちゃん。私も彼氏ほしくなっちゃた。」
「舞香はその前に勉強だ。先日試験わるかったんだろ?」
「そうよ。まずはいい高校に入れるように勉強しないと。」
「うーん、それを言われると弱いなー。よし、成績上げて、それから彼氏作る!」
伊藤君の弟と、島田さんの妹の運命的な出会いも想像しちゃいます。
なんか、相性よさそうな予感が・・・
サイドストーリーを膨らますときりがないので、そのお話は保留にします。




