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178 ライブの後

藤田風歌(ふじたふうか)です。


森山君のライブを見に行ったあと、私は森山君の女友達関係が気になって気になって仕方がありません。何となく恋愛模様がありそうで・・・。

私もその関係者だよね?


本人に聴けば、よくわかるのでしょうけど、なんかやきもちを焼いていると思われそう!

とても聴けないよ。

うーん、どうしよう?


そんなことを悩んでいると、あっという間に、朝の通学時間が来て、いつものメンバーが顔を揃えます。


「来てくれてありがとう!」

森山君と顔を合わしたら、そう言われたので、

「うん、演奏良かった。二つのバンドに出るなんて、忙しいね。」

くらいのコメントだけする私。

何となく、「まあまあね。」っていう雰囲気の冷めた言い方をしてしまいます。

素直じゃない私。


ホントは「かっこよかった!」と言いたかったんですが、なんか森山君がモテていそうなのが、

悔しくて、褒めたくなくなったんです。


すると、一緒にいる二人、和音と朝倉君が私の聴きたかったことを質問してくれました。


「女子高のギターやってる下川さんとずいぶん仲いいんだね?親友って言われてたけど・・・

もしかして、友達以上?」と和音が質問しちゃいました。

うわっ、ストレート!

さらに、朝倉君が、

「あのハーフの女の子たちって、森山と仲よさそうだったけど、もしかして、森山のこと好きな子いるんじゃないか?」

わっ、さらに質問だ。まるで芸能人の記者会見だ。


森山君は驚いたような顔で、手を振って否定します。

「ないない!ただの友達だよ!

俺、恋愛感情のない女の子だと、すぐ仲良くなれるんだ。

バカもできる。

同じように音楽を楽しめる女の子だったら、みんな仲間だよ。」


「えっ?でも・・・もし、女の子たちが森山君を好きになっちゃったらどうするの?」

「そうだよ。もしかしてら、恋愛感情持たれたりするかもしれないぞ。」


「そんなことないよ。大丈夫。俺なんかがモテるわけがない。

実を言うと、下川は中学の時、少し付き合ったけど、今では、ただの友達だ。

向こうもそう思ってると思う。

ハーフの女の子たちも、俺が英語ができるから仲良くしてくれてるだけだよ。」


「うーん、そうかなあ?」

「本当か?」


うっ、何?この回答。

森山君は天然さんかもしれない!

相手の好意に全く気付かない朴念仁?

昨日のライブを見た印象では、森山君を見る女の子たちの目は好意に満ちてたと思う。

うーん、とりあえず、私以外の女性を好きではないみたいだけど、私が、ほおっておくと、

誰かの彼氏になっちゃうのかも?

わーっ、どうしよう。

でも、私、森山君の事、よくわかってから答えを出したいし・・・

何より慌てたくないし・・・。

でも、誰かに取られるの悔しいし・・・


誰かに相談しようかな?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



俺は伊藤幸喜(いとうこうき)。

桃花高校の1年生で演劇部。

通っているのは男子校だ。

何で男子校を希望したかというと・・・

俺は女子が苦手なんだ。

中学の時に、女子だらけの演劇部にいて、女子のブラックな面ばかり目の当たりにしたせいか、

女子が苦手になってしまった。


男子の方が、付き合いやすい。

女子を好きになるという感情も中学2年生くらいから、なくなっていたんだけど・・・


でも、先日、クラスメイトで仲のいい森山優人のライブを観に行ったあとから、ちょっと変な気持ちになっている。


ライブには同じ演劇部の太田と朝倉の関係で、女子校の演劇部のメンバー3人が来ていた。

そのうちの2人、日川さんと島田さんは俺の真逆で男子が苦手な女子という話を事前に聞かされていた。

だから、挨拶はかわしたけど、別に話をすることはないだろうなあと思ってたんだけど・・・


俺が暑くなって着ていたジャケットを脱いでTシャツだけになると、島田さんが驚いたような顔をして、急に話しかけてきたんだ。


俺は大好きなバンドのバンド名が入ったTシャツを着てたんだけど、島田さんもそのバンドの大ファンだと言う。

すごい偶然。そんな有名なバンドじゃないのに!

しかも、島田さん、俺が一人で行ったライブの会場にいたらしい!

彼女も一人で見に行ったという!

そこからは、そのバンドの話で盛り上がってしまった。

いつのまにか女子は苦手だという感情はなくなっていた。

大好きなバンドを一緒に応援してくれる同志という感じで、すごく親しみを持ってしまったんだ。

信じられないことに、スマホで連絡先を交換したし、今度一緒にライブに行こうなんて話をしてしまった(一緒に来ていたメンバーには聞かれないようにした。)。


しかし・・・家に帰ってから、大変なことをしてしまったと愕然としている。

女の子が苦手な俺が、女の子と仲良くなってしまったなんて、何かの間違いじゃないか?

高校生バンドのライブ会場という特殊な状況で、調子に乗ってしまったのか?

島田さんもちょっとおかしくなっていたりして?

冷静になって、やっぱりしまったと思ってたりして。

うん、これは恋愛とは違う流れだと思う。

そうだ。そうに決まっている。

そんなうまい話あるわけない。


それにしても、

ライブの後、一週間たっちまったけど、まだSNSでのメッセージ送信も電話もしていない。

せっかく連絡先を交換したのに、もったいない。

友達関係くらいは維持しないと。

この機会を逃したら、永遠に女子とは縁が無くなる気がする。

こんな機会めったにないぞ。


それにしても、あまり顔見てなかったけど、可愛い子だったなー。

恥ずかしくて、顔を見ないようにしてたら、大きな胸が目に入ってきて、その印象が頭に焼き付いている。

顔がよくて、スタイルもいいんだから、モテるだろうなー。

でも、男が苦手だから、苦労してるのかな?


ううっ・・・、どうしよう?やっぱり、こういう事は男がはっきりさせないとだめだよな?

同じバンドが好きな同志なんだから、友達ということで割り切ろう。

男女交際かもしれないって考えちゃうから、いろいろ意識しちゃうんだ。

大好きなバンドのファン同士、情報交換する仲間ってことで、連絡すればいいんだ。


そうだ、そうだ。

男同士と同じ友達ってことで話を進めよう。

島田さんも、俺のこと恋愛相手っていうわけじゃなくて、

ファン仲間って考えていると思う。

とにかく連絡しよう。

まずはSNSかな?

電話はハードルが高すぎる。

主人公以外の恋愛模様を考えるのって、楽しいんですよね。高校生って、恋愛が進行した時って、凄いエネルギーが働くと思います。考えるとワクワクします。

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