171 男子校の新歓公演
太田和音です。
今日は男子校の新入生歓迎公演の日です。
もう入部している私と良太(あ、名前で呼び合うことにしました。恥ずかしいけど。)ですが、まだやる仕事もないので他の1年生と一緒に観客席で観ます。
私はどうしても目立っちゃいます。
制服違うし、髪の毛長いし・・・。
けっこう満席でした。
やっぱり、全国大会優勝の効果は大きい。
看板の部活は見ておこうという生徒が多いようです。
劇が始まると、
「え、あのお姫様役の人って、ホントに男子?女子校からゲストで来てるんじゃないか?
きれいすぎるぞ。胸もあるし。」
「いや、有名な女役の「姫」だよ。美人で有名なんだ。胸はパッドでも入れてると思うけど。
でも、確かに、本物の女子にしか見えないよな。
声もまるっきり女だ。スゲーな。
テレビに出てくるニューハーフなんかよりすごい。」
「姫制度ってスゲーな。完全に女性に見えるように訓練するらしいぜ。
でも、素質あってこそだよな。
誰でもなれるわけじゃない。
それにしても綺麗というより可愛いな。
アイドルみたいだ。」
周りの新入生の驚きが次々と聞こえてきます。
小出先輩すごい。
その美しさ、可愛さは誰もが認めてる。
「男子校の姫」ってすごい存在なんだ。
私もあんな存在になれるのかな?
でも、私は私で目立っています。
他のクラスの子が、ヒソヒソ話しているのが聞こえます。
「そこにいる女子は、新入生の姫ってことか?入学式で見た例の・・・」
「うん、そうだと思う。舞台に出ている姫と違って、髪の毛短いから、男っぽいけど、女子に見えないこともない。ああいうボーイッシュな女の子いるからな。
やっぱ素質のあるヤツ、選んでるんだな。」
「そっか?じゃあ3年生の姫みたいに、2年後は完全に女っぽくなるんだ。
すごいなー。変化をチェックしてみたいな。」
私はひとまず安心しました。
気持ち悪いとか、男にしか見えないと言われたら落ち込みます。
でも、これからの変化をチェックされると思うとちょっと憂鬱です。
劇は囚われたお姫様を王子様が救うというわかりやすい劇でした。
基本のストーリーは女子校の新歓の劇と同じようです。
でも男子校は殺陣に力を入れたみたい。敵と味方が戦うアクションシーンがメイン!
観てる観客は男の子ばかりですから、恋愛的な要素より、激しい動きの方が大事ってことなんでしょう。
とくに少林寺拳法をやっている児玉先輩の動きが凄くて、新入生からは「すげ〜」と声が漏れていました。
まるで、香港映画のカンフーみたいです。
個人的には、やっぱり王子様役の板谷先輩がカッコよくて、胸がキュンとしました。
お姫様の小出先輩とも息がピッタリ!
仲がいいからなんでしょうね。
私も、あんな劇できるようになるかなあ?
「王子様役とお姫様役、並ぶと普通に美男美女だなぁ。二人とも芸能人みたいだ。」
そういう声も近くから聞こえて来ました。
やっぱりそうだよね。そう思う。
と私は納得します。
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朝倉良太です。
演劇部の新入生歓迎公演を和音と見ている。
和音と一緒に座るのちょっと恥ずかしい。なんかカップルみたいに見えないかな?
でも、心配ないか。
まだ学校始まったばかりだから、クラスの同級生として認知されるだけかもしれない。
それにしても、先輩たちの演劇は面白かった。
ベタなお姫さま救出劇ということで、どうなるかな?と思ったけど、けっこうエンターティメントに
振っていた。
実に見ごたえのあるアクション劇になっていて、児玉先輩のカンフーばりのアクションは目玉だったし、何と、お姫様の小出先輩も、激しいアクションをやってた。
そして、板谷先輩のセリフにはちょっと感動してしまった。演技すごく上手い!
うーん、俺にこんな劇ができるようになるか?実に心配だ。
でも、逃げるわけにはいかない。やるしかないんだ。
それにしても、小出先輩、色っぽいなー。
胸が何気にあるんだよな。けっこう大きい。
この間、和音にからかわれちゃったけど、俺、実はおっぱい好きかも。
ないよりある方がいいと思うし。
ここで劇を観てる新入生のほとんどが、本物の胸だとは思ってないだろうな。
ホルモン治療のことは、入学式で説明していないから、バッドだと思ってるだろう。
恋人?の板谷先輩はどう思ってるんだろうなあ。
触ったことあるのかな?
でも、抱擁のシーンとか、腕を組むシーンとかあるから、感触はわかるよな。
うーん、羨ましい。
和音のおっぱいも早く大きくなってほしいな。
う・・・いかんいかん、和音に対して、変な気持ちになってはいけない。
友達なんだから。
でも、板谷先輩と小出先輩みたいにカップルになるのも・・・いいかなあ?
うーん、よくわからん。
新歓公演が終わると、一斉に人がいなくなる。俺と和音が片付けを手伝ってると、
「朝倉君、和音。遊びに来たよ。」
声をかけてきたのは、藤田風歌だ。
「おお、遊びに来たのか?そういえば、女子校の新歓は昨日だったもんな?」
「うん。同じストーリーの劇。
でも、出来上がりは全然違うね。
女子校のは恋愛シーンを重視したけど、こっちのはアクションがメインだもん。
やっぱり男の子って感じ。
でも、お姫様にはびっくりした。すっごい美人なんだもん。あの人が有名な小出さんね。」
「うん、そうなの。
私、あの人の後継者になるけど、すっごいプレッシャー感じてる。」
和音が不安を吐露する。
「まあ、これからだよ。
小出さんも時間をかけて、あれだけの存在になったんだよ。
でも、努力は必要だろうね。」
「藤田は一人で来たのか?」
「ううん、先輩と一緒。部長と、王子のお供で来たの。ほら、あそこにいる。」
俺は、指をさされた方を見る。
二人の女子校の制服姿が見えた。
一人は男子と同じくらいのショートカットで、目つきが凛々しく、男装すれば、まちがいなく美少年になるということが一目みただけでわかった。つまり「王子」だ。
おお、かっこいい!
宝塚みたいだ!
「姫」みたいに男子の制服は着ないのか?
「王子ってかっこいいな!」
「でしょ?この春に王子になったばかりだけど、あっという間にファンの女の子がいっぱいできちゃった。でも、内緒だけど彼氏がいるんだ。演劇部の人間だけが知ってるの。」
「もしかして・・・友利先輩?」
「あたり!」
うわっ、イケメンの先輩二人とも美人の彼女?がいる。
俺も、美人の彼女ほしいなあ。
和音にはキレイになってもらわないと・・・。
ん?俺は何を考えているんだ。
しょうもないなあ。




