170 女子校の新入部員
藤田風歌です。
新歓公演の後の、新入生向けの入部説明会に来ています。
今年の新歓は男子校と同じ内容で、とらわれたお姫さまを王子様が救うというベタなメルヘンです。
でも、新しい王子(男役)のデビュー公演ということで、けっこう席がいっぱいでした。
新しい王子の新川先輩は、すごく凛々しかったです。
そしてフレッシュ。
まるでジャ○〇ズ事務所のタレントが演技しているようでした。
今回の新歓で引退する前王子はお姫様をやってましたが、やはり美形。
少女漫画みたいな世界をリアルにした感じです。
そのせいかもしれません。入部説明会は盛況です。
新川先輩のファンもけっこう来ているようです。
うーん、女子校ならではの世界だなー。
私は、もう入部届を出しています。
そして、私の両隣には私と同じように入部届を提出済みの女子二人がいました。
もう互いの自己紹介はすんでいます。
私の右隣に座っている子は日川彩里さん。
小柄で、小動物的な可愛らしさを持つ女の子。話し方とか笑顔とかちょっとあざとい。
自分を可愛く見せる技を持っていて、どちらかというと男女共学校にいそうなタイプ。
男子のいないこの高校では、そのあざとさはいらないだろうと突っ込みたくなります。
で、話してみると変わっている女の子でした。
「私、男装の女性が大好きなの!男の子じゃ嫌。
ショート・ヘアで、ズボンを履きこなす男性っぽい女性にすごくセクシーさを感じちゃう!
宝塚もいいけど、どちらかというと同年代の男の子っぽい女の子が大好き。
桃花女子校には『王子』って制度があるから、入学してきたんだ。
そして、入部したのも同じ理由。
まあ、中学時代も演劇部だったんだけどね。
王子様と仲良くしたい!
昨年の王子も素敵だったけど、今年の王子もすごい素敵!
これからの高校生活楽しみ!」
私の左隣に座った島田明日香は、男子そのものが苦手なタイプでした。
男子が苦手で女子校に入ったと告白してくれました。
「私、男子がすごく苦手。乱暴だし、エッチだし、女の子を品定めするような視線で見るし・・・」
そう、島田さんは顔も可愛いけど、けっこうおっぱいが大きいから男子の注目を浴びそう。
制服の上から見ても胸の主張がすごいの。
こりゃ、男の子の視線から逃れられないよねー。
ある意味羨ましい体型だけど、常に注目されるのもしんどいかも。
彼女も中学時代は演劇部。
男女共学校だったけど、演劇部には男子はいなかったみたい。
それにしても、男子校の男子と仲良くしたい私としては、彼女たちの男嫌いは何とかしたいな。
これから、どうしようかな?
なんて悩んでしまいます。
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入部後、数日たち、私は彩里と明日香と常に一緒に行動するようになっていました。
結局、説明会の日にすぐ入部したのは3人だったわけで、その流れって言う感じかな?
彩里は、今年度の王子である新川先輩に彼氏がいる事実を聴き、かなり衝撃を受けてます。
教えてくれたのは新部長、篠原友理奈先輩。
「うそ!王子様なのに、彼氏がいるなんて、信じられない!そりゃ、ファンに対する裏切りです。」
いや、ファンとスターの関係じゃないから!と私は突っ込みたくなります。
情報を教えてくれた篠原部長は、
「でもね、梨亜はね、役に入り込むタイプだから、彼氏とイチャイチャなんかしないよ。
男の気分で、ずっと過ごすと思う。
王子引退までは、彼氏とは男友達みたいな関係になるんじゃないかな?
さすがに、前の王子の藤原先輩みたいに、制服までは男装しないけどね。」とフォローします。
「そうか?新川先輩はずっと男子の精神状況で過ごすんですね。
となると、恋愛対象は女子になるはず。
私にもチャンスはあるかも!」
「こらこら、日川さん、梨亜は男性心理を会得しようと努力はするけど、百合の気はないよ。
日川さんは女の子が好きなの?」
「ええっ!女の子というより、男装のかっこいい女の子が好きなだけです。
いや、男装じゃなくても、ショートヘアで男の子っぽかったらいいかも。
でも、似合ってないとダメです。
新川先輩はハマり過ぎるくらいハマるから。」
「宝塚の男役好きみたいねー。
そういう子、けっこういるからダメとはいわないけど、演劇部の活動を邪魔しちゃだめよ。
もし、そんなことをするようなことが有ったら、退部勧告するから。」
おっとりしている篠原先輩の目が光りました。
うわっ、怖い!元生徒会長で、規律には厳しいって聞いてたけど・・・
「は、はい・・・」
さすがに能天気の彩里もビビってます。
「でも、彩里はいいなー。思ったことを言えるっていうのは羨ましい。」
そう言うのは明日香。
男の子が苦手なだけでなく、引っ込み思案でもあります。
中学の時も演劇部だったのに、大人しすぎる。
そういえば、なるべく目立たない役をやってたって言ってました。
篠原部長は今度は優しい声で明日香に言います。
「この部はね、誰でも思ったこと言っていいのよ。
島田さん、あなたもけっこう存在感ある子だと思ってる。
自信もっていいよ。これから成長させてあげるから心配しないでね。」
「ありがとうございます。がんばります。」泣きそうな声で明日香が応えました。
「で、藤田さん!」
「は、はい!」いきなり声を掛けられて私は焦ります。
「あなたは、演劇部は初心者かもしれないけど、テニス部を3年間やりきって、アスリート特有の気の強さみたいなものを感じる。バランス感覚もあるし。1年生をまとめてね。」
「わかりました。ありがとうございます!」
うわっ、大役を任されてしまった。
「部長、私も褒めてください。いや、アドバイスしてください。」
彩里は怒られてばかりじゃ嫌とばかりに復活します。
「あなたは、強い子だから、心配してないわよ。
そうね・・・
男役に憧れるならば、その相手役をゲットできるように精進しなさい。」
「わかりました。お姫様役務まるようにします。」
「あのね、演劇部の劇って、王子様とお姫様の物語なんて、めったにやらないよ。
新歓はたまたまやっただけだから・・・
ヒロインは汚れ役っていうのもあるんだからね。」
「うっ、それはちょっと・・・
お姫様がいいです・・・」
彩里は懲りないな~
部長も呆れてる。




