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167 入学式

朝倉良太です。


4月、ついに入学式がやってきた。


太田とは卒業式以来会っていない。


最後に会った太田は男子制服だったから、一応男子らしくは見えた。

かなり可愛らしい男子ではあったけど。


確か、卒業式以降は24時間女性で過ごしてるんだよな。


卒業式の翌日、スマホでみたSNSのメッセージでは、


「男子の服は全部捨てちゃった。

もう、男には戻れない。

まあ、ホルモン投与始めた時点で男性にはもどれないんだけど、服とか下着とか全部処分しちゃうと、なんか違う人生始める気がする。」

なんて書いてあった。


その数日後のメッセージでは

「風歌と一緒に美容室に行って、髪の毛少しカットした。

これからロングヘア目指して伸ばすんだけど、キレイに伸ばすため、美容室で少しだけカットした。

男子としては、だいぶ髪の毛長く伸びたんだけど、ちょっといい加減なヘアスタイルだったから、不満だったんだ

いろいろ整えてもらったら、女の子っぽい可愛い感じになったよ。

それから、スカート履いて行ったら、全然男ってバレなかった。普通の女の子と思われたみたい。自信ついたよ。」

なんて、連絡があった。


別に写真送ってもらってないから、どんな感じかわからないよ。


うーん、ドキドキする。


そして、ついに車で家を出発。

我が家の車はキャンプ好きの父親の趣味で7~8人乗りのミニバンだ。3列シートで、2家族乗れる。

今日は俺の兄貴と太田の兄貴は来ないから6人。うん、余裕十分。

父親が運転席に乗り込み、母が助手席へ。俺は一番後ろに座る。

まずは、太田家を目指す。ナビは俺だ。


車に乗れば、10分ほどで太田の家に着いた。俺がインターホンを押すと、ご両親が出てきた。

ウチの両親とあいさつの交換だ。


「今回はお誘いいただきありがとうございます。

家族一同喜んでいます。

車に乗せていただけるということで、申し訳ございません。

ウチの娘も、朝倉さんの家族と一緒なら心強いと申しております。」


「いえいえ、たぶん、ウチの良太は、太田さんのお嬢様とこれから3年間学校で苦楽を共にすると思います。良太にとっては、大切な仲間です。

このくらい何でもありません。」


うわっ、太田のお父さんも俺の父さんも太田のこと完全に女子扱いだよ。すげーな。


母親同士も何となく気が合いそうだ。


「これから3年間よろしくお願いします。

クラス同じなんですよね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。同じ中学から同じ高校に入学して、部活まで一緒なんですから仲良くしましょう。」


そして、ついに太田が家から出てきた。

わ、けっこう可愛い。

美容室で整えたせいか、すごく女の子っぽい。前髪と前髪の両脇を垂らした感じは紛れもなく女の子の髪型だ。

ブレザーにチェックのミニスカートも上手く着こなしてる。女子としてはショートヘアだからボーイッシュな感じもするけど十分女の子に見える。


「太田和音です。よろしくお願いします。」

千春が頭を下げると、

俺の父親が

「おお、可愛いお嬢さんじゃないですか。」

母親も

「まあ、可愛い。普通に女の子ね。うん、素敵よ。」


「ありがとうございます。娘は新米女子ですけど、よろしくお願いします。」

「親バカかもしれませんが、キレイになるんじゃないかって期待してるんですよ。」


和音は真っ赤になって、

「まだ、未熟ですけど、朝倉君に迷惑をかけないようにがんばります。」と絞りだすように声をだした。


「うん、良太と仲良くしてくださいね。」

「美人になりそうよ。素敵なレディになってね。」

ウチの親は本当にノリがいい。

でも、これからの治療でキレイに変身していくのかな?ってちょっと期待してしまう。


そこで、バタバタ走って近づいてくる女子がいた。

藤田風歌だ。

藤田は明日が入学式だから、ジーンズにパーカーというラフなカッコ。


「こんにちは!

私、和音の幼馴染みで、朝倉君とはテニス部で一緒に活動した藤田風歌です。

私は桃花女子高校で入学式は明日です。

今日は皆さんの記念写真を撮りに来ました。」


「それはそれはすみません。ありがとうございます。」

「良太から話を聞いてます。演劇部なんだってね。系列校だから一緒の活動もありそうね。よろしくね。」

「風歌ちゃん、ありがとう!明日は私が写真撮って上げる!」

「風歌ちゃん、気が利くなー!助かるよ。」


藤田は大人4人に声をかけられたが、動揺しない。さすがに元気キャラだ。


「どういたしまして!

さあさあ、お写真撮りますよ!

並んで並んで!」

堂々と仕切る。


家族だけの写真、2家族一緒の写真、

そして俺と太田の二人だけの写真!(恥ずかしいから嫌だったけど強引に要求された。)

そして最後に俺、太田、藤田の3人の写真を俺の父親が撮った。


いい思い出になるのかな?


さて、今度は2家族で出発。


車の中では、太田の性別違和の件には触れず、父親同士が自分の仕事について話していた。業界は違っても同じサラリーマンということで共通する話題があってけっこう盛り上がっている。長男が大学生というのも共通していて、その話は母親同士がしていた。


そして、学校の近くの有料駐車場に止めて、学校に向かう。

太田の女子高生姿は目を引いたが、女子高の生徒が何らかの事情、例えば系列高校の生徒としてゲスト参加?みたいな感じで男子校の入学式に来ているんだろうなと思われているようでそんなにじろじろ見られはしなかった。


会場に着くと両親は、父兄の席に、俺はクラス別の席に、そして太田は山野先生に声をかけられ、教師や上級生のいる席の方に連れて行かれた。


いきなり生徒席は混乱を招くからだろう。


さて、入学式は、校長の挨拶、上級生の挨拶、系列校の女子高の上級生の挨拶(やっぱりあった!)、新入生代表の挨拶と進む。


そしてそのあと、校長と女子高の上級生が出てきた。先に出てきた上級生と違う人だ。スゲー可愛いっ。

セミロングの髪に、大きな目、見事なスタイル、アイドルのような美少女だ。

俺の周りの新入生もちょっと騒ぐ。

「あの女子校の先輩、3年生か?可愛いけど、ちょっと大人っぽい。好みだよ。」

「スタイルもいいよな。細いけど、胸でかそう。」

「髪の毛サラサラじゃねーか。色っぽいよ。」


何で校長と一緒に出てきたんだろう?

校長が話を始めた。



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