166 朝倉君の演劇部入部予定と家族への報告
朝倉良太です。
一緒の高校に行くことになった太田和音から、とんでもないカミングアウトがあった。
びっくりしたけど、性的少数派のことは理解しなければいけない。
本人の考え方を尊重するべきだし、友達なんだから、仲良くしよう。
俺は、いろいろな雑念が湧きながらも、そこを消し去り、大事だということに気持ちに絞った。
(雑念とは・・・
もしかして、太田って、俺のことを好きだったりしないよな?
俺は男と愛し合う人間ではない。ノーマルだぞ。そうだとしたら、受け入れできないぞ!
・・・でもな、・・・こいつ可愛いから、好きになっちゃったりして・・・。
まさか!
というようないろいろな心配である。)
そして、俺も、太田や藤田に話していない俺の高校生活の方針を話すことにした。
「わかった。3人で一緒に電車に乗って、学校がある駅まで行こう。了解だ。
それで、俺も、報告することがある。
一刻も早く言ってしまいたい。」
「え、朝倉君も何かあるの?」
「えっ?聴きたい聴きたい!」
「実は俺も演劇部に入るんだ。
桃花高校の演劇部が全国大会優勝した名門ということを知って、入りたいと思った。
それで、桃花高校の演劇部の顧問の先生と知り合いのうちの担任、小山先生経由なんだけど、
演劇部入部を学校側に伝えたら、先日、OKをもらえたんだ。
本当かどうかわからないけど、夏に行われる全国大会にも出るかもしれないって言われた。
それはちょっと眉唾だけど、演劇部に入部することはまちがいない。」
「えっ?テニスやめちゃうの?もったいないような気がするけど・・・
でも、僕としては心強いや。
うん、すごく嬉しい!」
「まさかの展開だね!
実はね、私も女子校で演劇部に入ることにしたの!
私もテニスやめちゃうんだ!」
「まじか?
じゃあ、3人とも高校から演劇仲間になるんだ。
よろしく!」
「うん。こちらこそ!」
「わーっ、演劇部に知り合いの1年生ができてよかった。
これでクラスも部活もいっしょだね。
なんかほっとする。
女装してすごすことや、演劇をはじめてやることで不安がいっぱいだったけど、
朝倉君が一緒なら、何とかできそうだよ。」
「私も、心強い。桃花高校と桃花女子高校の演劇部はけっこう連携するんでしょ?
男子校演劇部に二人知り合いがいるなんて、いろいろ都合よさそう!」
「3人ともよかったわね。特に和音にとっては、願ってもない状況になったわね。
和音、あなた、ラッキーよ。ちょっとやそっとのことでへこたれちゃだめよ。」
「そうだな。最初は一人でチャレンジするって感じですごく緊張してたけど、これで仲間がいるってことで緊張が和らぐな。がんばれ!」
太田の両親はほっとした顔になっていた。
そりゃ、そうだろう。今まで男子で生きてきた息子が女性デビューするんだから、不安でしかたなかっただろうから。
「前にも話したけど、女子としての生活については、私に任せてね。私が15才の女の子の生活とか考え方、ファッション意識を教えるから。
きょうから、入学式まで時間があるから、これから特訓よ。話し方、歩き方、仕草とか覚えないと。
明日から、学校から帰ってきたらずっと女装ね。卒業式終わったら24時間女の子で過ごすんだよ。」
「あら、風歌ちゃん、本当に頼もしい。
女の子らしくなるようによろしくお願い。」
「私も楽しみです。おばさん、和音の部屋の模様替えとか、服とか靴とか下着とか、これからそろえるんでしょ?買いに行くとき私も連れてってください。参考意見言えると思います。」
「ふふふ、そうね。一緒に行こうかしら。」
そうか、性別を変えるってことは、持ち物すべて変えるってことか?
下着まで女子用か?
当然と言えば当然だけど、考えるとすごい。ちょっとドキドキするな。
「あ、風歌、卒業式終わったら、美容室も一緒に行ってね。」
「うん、そうだったね。可愛い服を買ってから、それを着て行こうよ。」
「まじ?恥ずかしいよ。」
「美容師は服のイメージで髪型も考えるから、やっぱり可愛いかっこしていった方がいいよ。」
「そう?そうだね。
これから、女の子として生活するんだから、恥ずかしいなんて言ってられないね。」
「その通り。」
何か、女子トークが始まってしまった。ついていけない。
俺は適当なところで、帰宅することにした。
「じゃあ、太田、藤田、春からよろしく。なんか気合がはいりそうだよ。
それから、おじさん、おばさん、今日はごちそうさまでした。
何とか二人と仲良くやって、いい高校生活になるようがんばります。」
「うん、お願いします。」
「ぜひ、よろしくね。」」
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そして、帰宅した後、夜、夕食の時に両親と兄に、今日判明したことを隠さずに話す。
ちなみに兄は実家から50分で着く東京のある場所で一人暮らしをしてるんだけど、よく、実家に帰ってくる。
まずは兄の蒼汰が反応する。
「おーっ、前に話した男子校の女役ってやつだな?
そこまで本格的なんだ。
しかも性同一性障害なのか?
その太田君?これからは太田さんか?いや、和音ちゃんって呼ぼうか?
和音ちゃんは大変だな?
良太、ちゃんと面倒みろよ。
下手すると、いじめとか受けやすい立場だぞ。」
「それは、俺も思った。
だから、できるだけ面倒見るよ。
基本的にいいヤツだしな。」
「へー、和音ちゃんかー。お母さん、その子に会ってみたいな?
女の子みたいな男の子なんでしょ?
私、ニューハーフって昔から興味あったから、見てみたい。
あ、いけない。本人の前ではニューハーフって言わないから安心してね。」
「おお、俺も会ってみたいな。
女性への性転換をめざす少年か?勇気あるなー。
そうだ、その和音さん一家といっしょに入学式に行こうか?
よし、早速、今日、良太がごちそうになったお礼がてら、誘ってみよう。
良太、電話するぞ。」
「ええっ?」
結局、そのあと、父が太田のお父さんに電話をして、入学式に一緒に行くことになってしまった。
ウチの車が8人乗りの車なので、それで2家族一緒に行くということになった。
家族ぐるみの付き合いになっちまった。
ちなみに、藤田が入学する女子校は入学式の日がずれているので、3家族一緒ということはなかった。
でも、うちの家族が、性同一性障害とか性転換という話に、免疫があってよかった。
というか、かなり興味を持っている。
うーん、うちの家族は好奇心が強いからなー。
入学式の日、どうなるんだろう?




