164 朝倉良太、朱里といっしょに演劇部訪問
朝倉良太です。
2月下旬、授業が終わったあと、担任の小山朱里先生の車で、桃花高校に向かっています。
なぜか、入学前にいっしょに顔を出してほしいと桃花高校演劇部の顧問、山野先生に依頼されたそうです。
「演劇部入部の件は大丈夫。前から念押ししておいたから。
今日呼び出されたのは、演劇部入部の件じゃないの。
山野先生、朝倉君に会ってみたいんだって。
桃花高校演劇部は全国大会決まってるし、即戦力になるような生徒が欲しいみたい。
朝倉君が即戦力になるか、早く見たいってことなの。」
「即戦力って、むちゃくちゃですね。
だって、俺、芝居は素人ですよ。幼稚園の劇以来全然、芝居なんてしてないんですけど。」
「うーん、でもね、私も演劇やってたからわかるんだけど、演技が上手い下手だけじゃなくて、存在感っていうのも大事なんだ。
それは生まれつき持っている人は持っているものなの。
私は朝倉君に存在感があると感じてるけど・・・」
「そうですか?確かに身長はでかい方ですけど。
存在感なんてあるのかな?」
高校について、一緒に面談室みたいなところに案内され、山野先生に会います。
山野先生、モデルみたいです。
長身で細身。ロングヘアで顔が小さい。
すごい美人です。
小山先生も美人ですけど、山野先生のすらっとした姿には及びません。
そして、意思の強さを感じる話しぶりでした。
やっぱり、全国大会に行く部活の顧問だけはあります。
「初めまして、朝倉君。ごめんなさいね。まだ入学もしていないのに、呼び出して。
演劇部入部については、決まっているから、安心してね。
今日、来てもらった理由なんだけど、うちの演劇部の事情なの。
実は有力な新入部員が一人でも多くほしいところなの。
4月、6月で引退する3年生もいるから。」
「えっ?そんな早く、引退するんですか?」
「演劇部は運動部とサイクルが違うからね。それに、受験に本気になると、早く引退したいと考える生徒もいるんだ。
それに、今年は特別な事情を抱えている生徒もいる。」
「そ、そうなんですか?」
「でも、安心した。朝倉君、存在感あるよ。
肝が据わってる感じがするし、体格や顔も舞台映えしそう。」
「まだ、お会いして数分ですけど・・・」
「役者は第一印象が大事なのよ。パッと見て、何かやりそう!っという感じがあれば十分。
そうね。せっかくだから、演劇部に入るにあたっての心構えとか聴いておこうかしら?」
「心構えですか?そうですね・・・
心構えっていうより希望なんですけど、人を感動させられる演技ができるようになりたい!ってところでしょうか?
おこがましいんですけど。
役者さんに対するイメージなんですけど。」
「ふふふ、大きく出たね。
いいんじゃない。
最初は夢はでっかく持った方がいいもの。
うん、朝倉君の雰囲気はわかった。
これで、配役考えられる。
全国大会出てもらうからね!
来てくれてありがとう。
短い時間でも実際に会ってみてわかることってあるからね。
そうだ、演劇部の部室寄ってく?
今日は休みだけど、何人かいると思うから。」
「はい!
ええ?全国大会出るんですか?」
「山野先輩、私もいっしょに部室に行っていいですか?」
「もちろん!」
どうしよう?
全国大会に出演なんて!
焦っているうちに部室に連れて行かれてしまう。
演劇部の部室では、居合わせた二人の先輩が迎え入れてくれた。
ふたりとも俺と同じで180センチ台の長身だ。
そして、俺よりすごく大人っぽいから、かっこいい!
モテそうな二人だ。
俺の隣にいた小山先生が「わあっ、二人ともかっこいい!」
なんてつぶやいて顔を赤らめている。
先生、イケメン好きなんだなあ。
「板谷君、友利君、今年入部する朝倉良太君と中学の担任の小山先生。
今日、ご挨拶にいらっしゃったの。」
「あ、初めまして。4月に入学する南中学出身の朝倉良太です。演劇部は初めてですけど、よろしくお願いします。」
「南中学で朝倉君の担任をしている小山です。ウチの朝倉君をよろしくお願いします。」
「あ、副部長の板谷翔です。おお、俺や友利と同じくらい背が高いな。なんか、親近感わくよ。ようこそ、桃花高校演劇部へ。期待してるぞ。実は俺も演劇部は高校デビューだ。やる気さえあれば何とかなる。がんばれよ。」
「板谷先輩の1年後輩の友利豊です。背が高い後輩が入ってくれて嬉しいよ。きょうは残念ながら部活動休みの日だ。でも、何人か部員が来るから、いろいろ話を聴いてみたほうがいい。4月からの活動の参考になる。」
「あ、ありがとうございます。」
「じゃあ、お言葉に甘えて、いろいろ話を聴かせてください。お願いします。」
よかった、先輩たち、かっこいいし、けっこうフレンドリーだ。
体育系の厳しい上下関係を見せつけられるかと思ったけど、そんな感じではなかった。
でも、油断はできない。
今日は、演劇部の雰囲気を少しでも味わっていこう。
「じゃあ、板谷君、友利君、1時間くらい朝倉君にレクチャーしてあげて。年間のスケジュールとか教えてあげてね。その間、私、小山先生と打ち合わせしてるから。」
「はい、了解です。」
「じゃあ、まずは友利の彼女の話でもしようかな?」
「板谷先輩!それはいいです。」
「ははは、冗談だよ。」
おお、友利先輩、彼女いるんだな。かっこいいもんな。
となると板谷先輩も当然いるだろうな。二人ともどんな彼女なんだろう?
俺は、男子校にも関わらず、彼女がいる雰囲気の二人の先輩のオーラが気になった。
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「ふふふ、朱里、じゃあ、応接コーナーでコーヒーでも飲もうか?」
「はい、ところで打ち合わせって何ですか?」
「朱里の婚活の話。」
「ええ?誰か紹介してくれるんですか?」
「残念だけど、紹介できる人は今のところはいないよ。
誰かいい人いないの?」
「うーん、いないんです・・・」
「そっか・・・慌てることはないけど、趣味とかが一緒のほうがいいとは思う。」
「私の趣味ってラーメンの食べ歩きなんですけど・・・」
「ははは、知ってる。」
「うーん、ラーメン食べに行くと、確かにラーメンオタクの男性と遭遇するけど・・・
ちょっと違う感じがします。
あまり、かっこいい人いないんですよね。」
「そうなんだ・・・でも、がんばって!機会は絶対あるから。」
「はい。」




