162 とりあえずグループ交際かな
篠原友理奈です。
ついに新年になりました。
今日は、仲良しの新川梨亜、佐々木あいくに加え、男子校の友利君、児玉君、落合君といっしょに初もうでに来ています。
当初は梨亜と友利君の二人で行くつもりだったようですが、どうも二人は「二人だけで過ごすデートというもの」がちょっと苦手のようで、私たちに助けを求めたんです。
梨亜の話では、梨亜と友利君は二人だけだと話が行き詰っちゃうそうです。
二人の共通の話題は演劇で、演劇の話ばかりになっちゃって、話が広がらないって悩んでました。
一緒にいるだけで幸せなんだけど、二人とも男女交際に慣れていないせいか緊張してしまうそうです。
それで、6人で行くという計画に至ったということなんです。
「お願い、初詣は一緒に行って!」なんて頼まれたら嫌とは言えません。
それに、男女6人でわいわいがやがや行くのって面白そうだし。
あいくは児玉君が好きみたいだし。
喜んで付き合うことにしました。
えっ、私は好きな男の子はいないのか?って。
正直言うと、いません。
ちょっと冷めているんでしょうね。
落合君が私に好意をもっているのはわかるし、彼のことはまあまあいい男子だと思っていますが、
付き合いたいかと言われたら、今はノーと言わざるを得ません。
もっと、いろんな男の子を見てみたいし、落合君のこともじっくり分析してみたいんです。
まだ高校1年生です。あわてて彼氏を作ろうって思わないんですよね。
まあ、梨亜とあいくのためにグループ交際を楽しもうとは思います。
特にあいくの応援団にならないと。
児玉君はあいくのこと苦手みたいだしねー。
ちょうど、私は児玉君と歩きながら話をする機会がありました。
「児玉君は、高校の時に少林寺拳法に夢中だったんでしょ?なんで、高校で、演劇部にはいったの?」
「ははは、それはね。特撮ドラマが好きだったからだよ。
それから、アクションものの映画とかも好きなんだ。
格闘シーンとかやる役者さんいるじゃない?
俺の武道の動きが役に立つんじゃないかな?って思ったんだ。
アクション俳優に憧れているんだ。」
「なるほど、趣味を活かそうって思ったのね。
本格的なアクションできる役者ってそんなにいないから、役立ちそうね。
時代劇の殺陣にも使えそう。」
うーん、この情報はあいくに伝えないと。
やはり好きな人のやりたいことって大事だもん。
児玉君はちゃんとした理由があって、演劇部に入ったんだ。
「じゃあ、篠原さんはなんで演劇部に入ったんだ?高校でも生徒会に入ればよかったのに。
しっかりしてそうで、合ってそうだけど。」
「それ、よく言われる。
でもね、そう言うイメージを払拭したかったの。
ちょっと、華やかな女子にも憧れてたんだ。
演劇部にはいって、表現する技を見つけて、華のある女性をめざそうと思ったんだ。
あいくがちょっとギャル風で、ロングヘアが似合うじゃない。
私も、あんな感じになりたくて、髪の毛伸ばしてるところ。
ショートだった髪の毛がちょっとミディアムになってきたかな?
早くロングヘアになりたいんだ。」
私は私で、自分の考えをちゃんと話します。
「やっぱりしっかりしてるな。ロングヘアの華やかな女性か。
色っぽくなりそうだな。
期待してるよ。」
「ふふふ、期待して。」
私は、あいくのPRをすることを忘れちゃっていました。
でも、いいよね。慌てることはないし。
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あいくです。
初詣に友理奈、梨亜、友利君、児玉君、落合君と一緒に来ています。
ふとしたはずみで、狙っている児玉君ではなく、落合君と二人きりで話をすることになってしまいました。
児玉君の情報を聴きたいけど、まずは落合君のことも聴かないと失礼だな。よし。
「落合君って、梨亜や友利君と一緒で中学の時から演劇やってたんだよね。
なんでそんなに演劇がやりたかったの?
中学の演劇部って、失礼だけど、ちょっと地味じゃない?」
「おっと、派手な感じの佐々木さんらしい質問だな。
確かに、中学の演劇部って、大人しいやつが多いし、オタクっぽい傾向の生徒が多いかもしれない。
それに、女子が多い。
男って、あまり演劇部に入りたがらなかったな。
女子も、地味な子が多いかな?
で、何で、俺が演劇部に入ったかというと、小学生のときに大学生の従兄が映画作りの楽しさを教えてくれたことがきっかけなんだ。」
「映画作り?」
「そう、映画作り。
その従兄は大学の映画研究部で、映画の監督をしていて、映画を作ってた。
その映画自体は見なかったんだけど、正月とかお盆に親類の集まりで会ったときに自分が映画をつくっていることを熱く語ってくれたんだ。」
「ふーん。どんなふうに?」
「フィクションを作って、それをあたかも事実のように見せる楽しさを語ってくれたんだ。
芝居って、架空のフィクションの話だろ?まあ、ドキュメンタリーもあるけど、偽物の話がほとんどだ。
それなのに、見る人はその偽物の物語に引き込まれる。
小説もそうだけど、演じる人がいることによって、よりリアルにフィクションを本物のように感じさせてしまうことができるのが芝居だ。
人を感動させたり、痛快な気分にさせてしまったり、人の喜怒哀楽を誘引するんだ。
その作り手の立場って実に面白いじゃないかって、まだ小学生の俺に教えてくれた。
俺は、その話を聴いた後、テレビドラマや映画を見る目が変わった。
どうやって、この芝居をつくってんだろう?っていう目で見るようになったんだ。」
「それで、演劇をやりたくなったんだ?」
「うん、その通り。
佐々木さんが、演劇部に入ったきっかけは?
空手少女だったんだろ?」
「私は、小出先輩の演技を女子校の新歓公演で偶然見かけたのがきっかけ。
もともと、高校生活を空手ですごすつもりはなかったの。違うことをやりたいと思ってた。
そんな時に、小出先輩のあまりにも可愛らしい演技に惹かれちゃって、自分も演技したい!って思っちゃった。
うん、自分も演技の中で、輝きたいって思ったんだろうね。
女の子は人に見られるのが好きなんだよ。」
「佐々木さん、ちょっと見た目が派手だからな。
何かわかる。
きっかけはどうあれ、演劇仲間だな。
これからも、よろしくな。」
「うん、こちらこそ、よろしく。派手っていうのは誉め言葉として受け取っておく。」
「うん、髪型やメイクや服装で主張するっていうのは立派な自己表現だ。
いいと思うよ。」
「おお、いいこと言うね。ありがとう。」
ちょっと気難しそうだと思った落合君。熱いものをもってる男の子だな。
落合君もけっこういい感じ。
児玉君が好きだけど、慌てて児玉君にアタックすることもないか。
物欲しそうに児玉君にアプローチするのやめよ。
今はグループ交際でがんばるかな?
みんなとおしゃべりした方が楽しそう。
私は彼氏づくりを急ぐのをやめました。
何か6人で過ごすのも悪くないなって思ったのです。
友理奈じゃないけど、じっくり彼氏づくりすることにします。




