161 年末
「やぁんっ、何するの由奈!ちょっと、やめて!
ちょっと恥ずかしいよ。」
「うう、やっぱり大きくなってる!ずるい!この感触はDカップ?
大きいし、うーん、柔らかーい!
最近ウエスト細くなって、ヒップが大きくなったなあって勘づいていたけど、
おっぱいはノーマークだったよ。
ウエストが細くなって、おっぱいが膨らむなんて、反則だよ!
何で、男の子だったのに、こんなに色っぽい身体になるの?」
葵です。
明日は大晦日という日、近所に住む演劇部の仲間で幼馴染みの柏原由奈が遊びに来たんですが、
おしゃべりしてたら、私の胸をじろじろ見始めて、ついには胸を掴んで揉み始めたんです。
私の胸がワンサイズ大きくなったのがバレちゃったみたい。
「反則って言われたって、困るよ。
お医者さんも、女性化するためのホルモン服用でこんなに女性っぽい体型になるMtFは見たことがないって言ってたけど・・・
体質みたい。
私はBカップもあれば十分だと思ってたんだけど、いつの間にか大きくなっちゃって・・・」
「そんな言い訳いいよ。
貧乳の女の子が聴いたら、みんな怒っちゃうよ。
うーん、それにしてもすごい。
私に対して申し訳ないと思うなら、時々、胸を揉ませなさい。
揉み心地いいんだから。
いいでしょ?」
由奈の言い分は、めちゃくちゃです。
でも、生まれながらの女性としては、私の体型は羨ましいみたいで、その口調に私は圧倒されます。
考えてみたら、お母さん、お姉ちゃんがグラマーだった。
遺伝子のせいだ。
男として生まれた私だけど、女性ホルモン投与で、身体の中にあったグラマー遺伝子が目覚めたんだ。
さんざん、私の身体を触りまくった由奈が帰ったあと、姉の柚が私をからかいに来ました。
「ふふふ、由奈ちゃん、羨ましがってたわね。
やっぱり、大きな胸、細い腰、丸いヒップは女性の願望だもん。
この分でいくと、葵も私くらいになったりして。」
「ええ?私はDカップで十分。お姉ちゃんみたいなFカップはいらないよ。
すごく、重そうだし。」
「でも、まだ大きくなりそうね。Eカップくらいなるかもよ。
魅力的な体型になってるんだから、痴漢には注意してね。
私なんか、なるべく体型の出ない服を着るようにして、ナイスバディを隠してるんだから。」
そうです。姉はグラマーな体型を隠すために、服には気を使っています。
男性にモテるのはいいんですが、嫌な視線もいっぱい浴びてるんです。
私も服装には気をつけなきゃ。
板谷君に会う時は、女性らしさがわかるかっこしたいけど。
「ハクション!」
そこまで、考えた私は、突然くしゃみをしてしまいました。
誰か私の噂話してたりして。
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板谷翔です。
大晦日の前の日、俺と尾崎、菅原の3人で有名ラーメン屋に並び、食べ終えたところだ。
「美味しかった!さすが、1時間待ちのラーメンだよ。
こういうガツン系のヴォリューム感あるラーメンはやっぱり男同士で来ないとな。」
「俺たちみたいに、若い男じゃないと食べれない脂っこさと量だったな。
ふー、満足。」
「おお、おれも満足だ。女性陣を連れてくるとダイエットどうのこうので文句言われそうだしな。」
そこで、菅原が俺の顔を見て、質問してきた。
「尾崎が交際決めたから、残るは板谷だけだな。小出のことどうするんだ?
もう事実上、周りはカップルと認めちゃってるけど、正式にはどうなんだ?
やっぱり、受験終わってからか?」
「俺も受験終わってからと思ってたけど、意外に祐希がその気になっちゃって、早く交際が始まっちまった。
板谷も、もう付き合ってもいいんじゃないか。」
おお、もうこの二人は小出が男子だということを忘れているんじゃないか?
というか、演劇部の連中にしろ、クラスの連中にしろ、普通に女子として扱ってるもんな。
小出はすごいよ。
「そういえば、由奈からすごい連絡がスマホにあったぞ。
小出って、由奈よりウエストが細いくせに、バストとヒップが由奈より大きいらしい。
すげーな。」
「ということは、小出って、ナイスバディってことじゃないか?
羨ましいな、板谷。
気づいてたか?」
「いや、俺は、そんなところは見てないよ。
ジロジロ見たら、変に思われるから。」
「そっか、いつも近くにいるから、かえって観察できないのか?
俺は気づいてたぞ、妙に色っぽい身体だなって。
ホント1年の時を考えると信じられないよ。
でも、俺は祐希のスレンダーボディが好きだから、好みじゃないなあ。」
「おお、俺も、由奈のちょうどいい感じの体型が好きだ。
なんか、安心感がある。
小出の体つきは、色っぽ過ぎて、目に毒だな。
でも、いい体してるんだから、板谷は褒めないと。」
「そうそう、付き合うかどうかは別にして、一番仲のいい板谷が、小出の体つきが女っぽいことを褒めてないとだめだよ。」
「ええっ、いいよ。
下手なこと言ったらセクハラだし。
まあ、通学時に痴漢に合わないように守ってやることはできるけど・・・」
「おお、王子様発言だ!
結婚式の時は俺たちを呼べよ。」
「そうだ、そうだ。絶対呼べよ。」
「まだ、付き合ってもいないのに、何言ってるんだよ。
大体、まだ小出の戸籍は男性だぞ。」
「小出は堅いなア。俺は女性だと思ってるぞ。」
「俺も。板谷に似合いの女性だ。」
結局、俺は、何も言い返せなくなってしまった。
俺は、何となくこれからの人生を小出と作っていくような予感がしてしまっていた。
「そうだ、今年の正月の初もうでの待ち合わせ場所決めようぜ。」
「おお、俺、恋がかなったから、神様にお礼をいわなきゃ。」
「俺は、大学受験だ。受からないと、ちょっといろいろまずい。」
俺は、神様に、小出の推薦入学と俺自身の受験の成功を祈るつもりだった。同じ大学に進むために。
そうだ、小出の性別適合手術の成功も祈らないと!
「そうだ、受験は真剣に祈らないと。」
「うん、3人とも現役で合格できるといいな。」
恋の話題から、受験の話題になって、勉強の仕方等について相談してしまう俺たちだった。




