156 ブロック大会終了
葵です。
今は12月。
ついに、全国高校演劇大会の地方ブロック大会を突破しました。2年連続の快挙です。
男子校女子校そろって、ブロック大会を突破して、男子校は全国大会2年連続出場を決めたのです。
女子校も惜しいところまで行ったので、みんな満足してました。
これで私の競技としての演劇生活は終了です。勝ち逃げでちょっとずるい感じもしますがやむを得ません。
あとは、全国大会に出てもらう後輩の育成と新歓公演の出演だけです。
でも、後輩の育成はかなり大変そう。
時間的にタイトだ!
ちなみに、板谷君も私と同じスケジュールだったりします。
私は、性適合手術という性転換の手術をするために、早めに引退するんですが、板谷君は大学受験に集中するために、早めに引退します。
板谷君は、あんまり勉強してなかったようですから。
そして・・・狙っている大学が私と同じ大学ということは仲間には秘密。
だって、冷やかされそうだもの・・・
やっぱり、二人はできてたんだなんて言われたら超恥ずかしい。
そういえば、祐希も同じ。
新歓で引退するって言ってました。
やはり受験勉強に集中したいみたいです。
彼女は医学部を狙っているので、それなりの準備が必要なんでしょう。
祐希はお母さんと同じジェンダークリニックの医師になりたいようです。
私と仲良くなった結果、性別違和の世界を詳しく知りたくなったみたい。
精神科医かー。需要ありそうだなー。
ちなみに尾崎君は当初、4月の新歓公演で引退するつもりだったんですが、落合君の指導が必要と感じ、6月の定期公演まで引退を伸ばしました。やはり、全国大会に対する責任を感じたんでしょう。
落合君に知っていることをすべて教えてからやめるみたい。
それにしても、全国大会については、大幅にキャストを入れ替えないといけなくなりました。
引退するから、単純にサヨナラ、後はよろしくっていうわけには行きません。
後に残った人がうまくできるようにちゃんと準備をしないといけません。
山野先生にもしっかりやってねとくぎを刺されました。
主役の高校生役は2年生になる友利君だったから、問題ありません。
主役を1年生にしておいてよかった。
なんてったって主役は劇のイメージそのものです。変えたくありません。
それで、板谷君が演じていた父親役なんですが、全国大会まで引退しないと言ってくれた安藤君に任せることになりました。
彼は勉強には自信があるようで、3年の夏まで部活を続けても不安はないと言い切ってくれました。
どんな役でもこなすカメレオンみたいな役者である安藤君なら心配ないでしょう。
上手くやってくれると信じています。
問題は私がやっていた主人公の母親役。
これは女役なので、新しい「姫」に任せるしかありません。
そう、入学前にもう「姫」になることが内定している太田和音君に頼むことになっています。
未熟とか未経験とか言ってられません。
実は、地方ブロック大会には太田君を招待してました。
全国大会が決まっていないのにもかかわらずです。
見切り発車かもしれませんが、準備は早くした方が良いに決まってるので早くに声をかけちゃいました。
太田君には事前に台本を手渡して、どんな物語か深く理解してもらいます。
台本を役者がどのように演じているのか、しっかり勉強してもらうためなんです。
その結果・・・
太田君は全国大会の時、ノートを用意して、観劇しながら気づいた点を、すべてメモしたようです。
後から見せてもらいましたが、なかなかのセンスを感じました。
これなら期待できます。
やる気が溢れてます。
これは鍛えがいがありそう。
まあ、年が明けたら、週に一度は高校に来てもらって、部活に参加してもらおうと企んでいるんですよね。
男子校の役者としての「姫」は一日にしてならずです。
早くから育てないといけません。
女の子になることより、役者としての基本を優先して覚えてもらおう。
私とは順序違うけど、全国大会が迫っているからしょうがないかな?
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太田和音です。
何と、進学先の桃花高校の演劇部のブロック大会を観ちゃいました。
もし全国大会に出ることになったら女性役はお願いするねって小出先輩に頼まれちゃったから、観ざるを得ません。
台本をもらって、それをよく読んだ上で、ブロック大会の演技を見ました。
ちなみに中学3年生の僕が一人で他県に行くわけにいかず、両親と兄と一緒に観に行きました。
そう、ブロック大会は他県で行われたのです。
家族は興味があったようで、付き合ってくれました。
兄は桃花高校OBですから、興味あって当然ですが・・・
僕は、単純に劇を楽しむわけにいきませんでした。
だって、もしかしたらこの劇に出演することになるかも?と思っちゃうから・・・
劇を見ながら僕は、小出さんの後継者になることを念頭におきながら、気づいた点を一つ一つノートにメモしていきます。
必死になって自分が演じるイメージを作ります。
自分がこんな演技できるのだろうか?
年齢が違う役をできるのだろうか?
そもそも、女性役ができるのだろうか?
と不安を抱きながら必死でした。
劇が終わるころにはノートがメモで埋め尽くされます。
ふーっ、こんなに、気になることがあった。
実際やるとなると、もっとあるんだろうなー。
こりゃ、大変だ。
ちょっとブルーになっていると、
兄が声をかけてきます。
「和音、たぶん、うちの高校、全国大会に行けるぞ!
すごい構成だったし、演技もよかった。
覚悟しろよ。小出の役、やれそうだぞ。」
うわっ、まじっ?
不安というかちょっとした恐怖が起きますが、これも運命かもしれない、やるしかない!という気持ちも沸き起こってきます。
今まで地味に生きてきたけど、これからはそうはいかないようです。
よし、がんばろうっ!
家族の方は気楽なもので、
父親は、
「おお、高校生のはつらつとした演技はいいなー。
意外に心が打たれる。」と感心ばかりしてるし、
母は、
「小出さん?本当に男子なの?普通に女の子じゃない!和音もあんな風になれるのかしら?」
と小出先輩の容姿ばかり気にしてました。




