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155 尾崎の頼みを意気に感じる落合

落合友樹です。


地区大会直前、俺は、尾崎先輩の厳しい指導を受けながら、舞台監督のアシストをしている。


脚本、台本、舞台監督すべてを顧問の山野先生と共同で担当し、演劇部の総合プロデューサー的存在の超多忙な尾崎先輩。

その後継者に指名されたからには、泣きを入れるわけにはいかない。


部長には小出先輩がいるが、小出先輩は精神的支柱で、かつ、この演劇部の広告塔みたいな存在だ。

副部長の板谷先輩も同様の存在。


現場を取り仕切るのは尾崎先輩であり、入部したときから、その精力的な行動力には憧れを持っていた。


8月、合宿の時に、呼ばれて、山野先生が同席する場で、


「落合、頼みたい事がある。

役者をやりたい気持ちはあるだろうが、劇をプロデュースする側に回ってほしい。

君にはその力がある。」


と頭を下げられた時は、やっぱり来たと思った。

そして、ここで引き受けなかったら、男じゃないと身が引き締まる感じだった。


そう、誰かが、この重責を引き継がなければいけないとは俺もわかっていたんだ。

演劇にはいろいろな仕事がある。

役者の仕事だけでなく、大道具、小道具、スケジューリング、脚本に台本、そして、舞台監督に照明などなど。

本格化しなければ、共同作業で上手く回すことができるかもしれないが、レベルの高い劇にするには各仕事に専門性をもたせたほうが良い。


桃花高校の劇はレベルが高く、専門性が強くなっている。

なかでも、一番重要なのは、劇の内容を決める張本人の作家的役割を持つ人間だ。

尾崎先輩は大変なのを承知でその役割を引き受けている。


尾崎先輩はオリジナルの物語を書いている。

そして、台本も書き、舞台監督も務めている。

これは激務だ。


すでにある作品を使用すれば、楽に決まっているのに、あえてオリジナル作品を作っている。

オリジナルは大会で審判委員の先生にこき下ろされることが多く、危険なんだ。

多くの高校の演劇部が過去に使われた戯曲(演劇用の物語)を使っている。

起承転結がはっきりしているし、制限時間内にまとまっているから、既存の作品を選ぶ方が賢い。

高校生には時間がないのだから当然なんだ。

それでも尾崎先輩はオリジナルに挑む。

うーん、未知の領域に踏み込みたいという冒険心が強いからなんだろうな。


そして、台本つくりや舞台監督だが、分業でやる方法もあるし、ある程度先生に任せてしまうという方法がある。

やはり時間がなく、スキルも乏しい高校生は安全な方法を選ぶのが一般的であろう。

しかしながら、欠点としては作品としての統一感の点で怪しくなる。


理想は一人の人間が物語を作って、台本も書き、舞台監督まですべて行うこと。

作品としての統一感、イメージが強固なものになるだろうから。


尾崎先輩はそのメリットを最大限に活かすために、あえて大変な仕事を引き受けている。


本来なら、俺も役者をやりたい気持ちが大きい。

中学の時、演劇を始めたのは、演技をしたいからだった。

自分でない他人になりきる姿を人に見せるなんて、絶対おもしろそう!そう思ったんだ。

実際、楽しかった。

舞台という狭い世界で、観客を引き込むというのは一種の快感だ。

中学の演劇大会で、静寂の中、長台詞を大声でやり切った時は、すごい幸福感に浸れた。

役者は面白い。

でも、部長になって、全体をまとめるだけでなく、自分たちの劇を第三者の目で見る癖をつけるようになってからは、演出家、脚本家と呼ばれる仕事、舞台監督と呼ばれる仕事にも興味をもった。


自分で一つの演劇集団をコントロールしてみたい。

自分で作った物語を、適所適材の役者を使って、思い通りの演劇に仕上げてみたい。


そんなことをちょっと思い始めたのが、中学3年に部活を引退した時だった。


高校に入部して、尾崎先輩に出会って、まさにその考えを実践してることに衝撃を受けた。

そして、この人の元で勉強させてもらいたいとも思ったんだ。


「なあ、落合。高校の部活動の時間は短い。

高校1年から始めて、長くやっても、高校3年の半ばまでだ。

その間に、やりたいことをやるってなかなかできるもんじゃない。

でも、俺はやらせてもらってる。

演劇を生み出し、それを完成させるという仕事を。

辛いけど、上手くいったときは、何事にも代えがたい歓びがあると思う。

お前も後継者に指名されて、とんでもないことになってしまったと思ってるかもしれないけど、

お前なら何とかなるさ。

俺に似てるから。」


「ありがとうございます。

まだ、先輩のやってることの半分もできないと思いますが、いろいろ教えてください。

来年もいい劇を生み出すために。」


「よし、言ったな。

ビシビシしごくぞ。俺も先輩にしごかれたんだからな。」


「おおっと、お手柔らかに、お願いします。パワハラはだめですよ。」


「うん?最近の若いもんは、困るなあ。厳しくできないじゃないか。

あ、俺も若かった。

まあ、覚悟はしておけ。ハードワークは確かだ。」


「了解です。任せてください。」


そんな調子で、部活に張り切る俺だが、実は恋もしている。



女子校の演劇部1年の篠原友理奈にときめいているんだ。


合宿の時に、けっこう話す機会があったんだが、それ以来胸がドキドキしっぱなしだ。


何しろ、彼女は胸がでかいんだ。!

おっとりしていて、ふわふわしている割にしっかりしている。


実は俺は篠原のことを知ってた。

同じ中学ではなかったんだが、彼女がいた中学の演劇部と一緒に公演をやる機会があって、彼女の中学へ行ったときに生徒会長として挨拶してきたのが彼女だった。


残念ながら、その時のことを彼女ははっきり覚えてなかったみたいだけど、俺は覚えていた。

胸がでかい癒し系の女子だ!と衝撃を受けた。

しばらく、彼女の優しい顔と、大きな胸が頭に残って、ぼーっとしてしまったくらいだった。

まさか、高校で再会できるなんて・・・これは運命に違いない。


俺の見立てだと、元生徒会長の彼女は部長になる器を持ってる。

俺も小出さんの後の部長を狙おう。

部長同士なら、いろいろ上手くいきそうだ。


何とか、彼女のおっぱいを・・・

違った、彼女の気持ちを掴みたい。











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