154 大学の先輩後輩
市立南中学の教師、小山朱里です。
今日は、大学時代の演劇部の先輩後輩で集まっています。
山野秋葉先輩、福島雅先輩、そして私の3人です。
秋葉先輩は桃花高校の教師、雅先輩は桃花女子高校の教師、そして私は南中学の教師です。
2人の先輩教師が勤務する高校は同じ駅近くにあるし、私の勤務する中学はその駅から電車に乗って、30分も乗れば最寄りの駅に到着できる距離にあるので、きっかけがあれば3人で会えます。
まあ、秋葉先輩と雅先輩は親友で、同じ学校法人に勤務していて、かつ学校も近くにあるからしょっちゅう会ってるんですけどね。
集まった理由は、福島雅先輩の婚約のお祝いです。
「雅さん、おめでとうございます!
あんなに相手がいないって嘆いてたのに、あっというまに決まっちゃったんですね!
いいな〜。
私も相手が欲しいっ!
しかも長身のイケメンって秋葉先輩が言ってましたよ。
どうやって出会ったんですか?」
「ええ〜?
知りたいの?
うーん、ちょっと言いづらいなぁ。」
「お祝いの席だから、隠すわけにいかないよ。
私が説明してあげる!」
秋葉先輩がニコニコしながら身を乗り出します。
すごく嬉しそうです!
「えっ?ちょっと、秋葉~!恥ずかしいよ。」
「いいじゃない!私は素敵な出会いだと思うよ。」
「そっかなー?
恥ずかしいんだけど・・・
まあ、朱里ならいいか?
じゃ、いいよ。」
「じゃあ、話すね。
二人の出会いは・・・なんと日本酒!」
「日本酒?
お酒?
雅さん、お酒を好きなのは知ってたけど・・・
合コンか何かしたんですか?」
「違う違う!
休みの日にね、今夜家で一人で日本酒を飲みたいと思った雅が、日本酒専門店で、お酒を選んでた時、
出会ったの!」
「うわっ、乙女っぽくない!
ていうか、めちゃくちゃ男っぽい感じですね。
まさに、雅先輩!
見かけは女っぽいけど、お酒は男の人みたいに豪快に飲みますからねー。」
「朱里、そこまで言わないで!
朱里は朱里で、ラーメンオタクで、一人で、ラーメン食べ歩きしてるじゃない。
マンガの主人公みたいに『ラーメン大好き朱里ちゃん』って、大学の時、男子がおもしろそうに言ってたよ。」
「そうなんですか?
ガーン、知らなかった。
私はケーキ好きをアピールしてたんだけど、ラーメン好きバレてたかー?
でも、好きなものは好き!
男も女も関係ないですよ!
それで、日本酒専門店でどういう風に知り合ったんですか?」
「雅が、有名な日本酒を買おうとして、悩んでた時に、同じ日本酒を買おうとしてたのが、お相手の男性なの。それで、その日本酒を譲り合ってるうちに、恋に堕ちちゃったんですって。」
「うわっ、すごい。
日本酒が取り持つ縁ですね。
私も、ラーメン屋さんをめぐってるときに出会いがあるかもしれない!
でもなー。ラーメン好きって、太った人多いんですよー。
カロリー高いですからねー。
私も、ジムでトレーニングしてたりするから、何とか太らないで済んでるけど。」
「朱里、今、秋葉が言った流れは超簡略化してるからね。
ホントはね、その時、相手の男性、つまり婚約者の将司君は従妹を連れてて、その従妹が私の教え子だったから、知り合ったんだよ。
そういう関係がなければ、その後の展開なんてなかったよ。」
「なるほどー。
そりゃ、知らない人といきなり仲良くなるのは無理ですものね。
そっかー、教え子がいたんだ。
でも、ラッキーだなー。
私も、教え子のお兄さんとかおじさんとかで、イケメンいないか気になってきた。」
「そうねー。ラッキーだった。
そのあと、一緒にお酒を飲んで、一挙に距離近づいたしね。」
「そうなんですか?
羨ましい!
こうなったら、雅さん、私にも幸せ分けてください!
機会があったら、誰か紹介して!」
「うん、心がける。やっぱり人間関係は大事だよ。
あ、そうそう、教え子といえば、朱里の勤務先の南中学から、桃花と桃花女子の演劇部に来そうな子いる?」
「あ、そうですね。その話もしたかったんだ。
まずは、秋葉さん、私のクラスじゃないんだけど、太田和音君のこと、よろしくお願いします。
可愛い子で、『姫』にはぴったりですから。」
「うん、面接のとき、会って、この子ならイケるって思った。
まだ演劇は素人だけど、素直だから、伸びしろがいっぱいありそう。
期待してるから、ビシバシ、鍛えるよ。
それから、この間連絡もらった朝倉良太君もいいじゃない。けっこう長身で、イケメンで、気に入ったよ。」
「よかった。気に入ってくれましたか?
学力的には心配ありません。
太田君と違って、一般受験だけど、楽々合格できると思います。
彼は、中学3年間、テニスに夢中だったんですけど、なぜか、演劇部に興味を持ったんです。
やっぱり全国大会優勝の看板は大きいですね。
彼も演劇は素人ですけど、存在感があるから、主役級行けますよ。」
「うん、私はスマホにもらった写真しか見てないけど、それは思った。
同じ中学から、『姫』と主役級男子か?
朱里、いい人材をありがとうね。」
「いいえ、偶然です。本人たちが希望したんですから。
あ、雅先輩、女子校の演劇部に入りたいっていう女子もいますよ。
けっこう、美形です。
偶然にも、男子校を受験する朝倉君と同じテニス部の藤田風歌って子です。
女優になりたいって言ってるくらいで、顔もスタイルもいいんですよ。」
「ええっ?偶然ね。
まさか、朝倉君っていう子の彼女だったりする?」
「それはありません。
彼女は腐女子で、朝倉君には男の子の恋人ができてほしいって言ってます。
その子、朝倉君と違って、担任しているクラスの子じゃないんだけど、すごく社交的で教師とも友達みたいにおしゃべりする子だから、私ともよくしゃべるんです。
だいたい朝倉君は友達の元カレだから、手は出せないって事情もあるし・・・」
「ふーん。何か、来年は南中旋風が演劇部で起きそうね。」
「ほんと、何かすごい。今年の1年生もすごくパワーがあったけど、来年も続きそう。」
「それより、秋葉さん、雅さん、私の彼氏候補考えてくださいね。
頼りにしてますよ。
まずは、雅さんの結婚式の披露宴が楽しみです。」
「はいはい、ラーメン好きの男性いないか、将司君に聴いてみるね。」
「私も旦那に聴いておく。」
「ありがとうございます。」
私、大学生の時、秋葉先輩、雅先輩といっしょに、演劇部の三大美人って呼ばれてたんだよね。
私も早く相手見つけたい!




