↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/200

150 朝倉良太は演劇に興味をもつ

俺は朝倉良太(あさくらりょうた)。


中学3年生だ。


9月、文化祭の後、俺にはちょっとした事件があった。

半年ほど付き合った女子、木口美亜(きぐちみあ)と別れたんだ。


学校一の美少女で、付き合い始めた時はウキウキしてたけど、性格が俺とは全然合わなかった。

俺は、誰とでも分け隔てなく付き合う男だけど、美亜は人に色を付けるタイプだった。

「あの人は気に食わない、あの人はダメな人間、あの人は付き合わない方がいい。」ということを

露骨に言うんだ。

また、自分の顔の良さがわかってるせいか、自分より容姿が劣ってると思う他の女子に対し、上から目線がすごい。

男子も、地味目なヤツについては、明らかにバカにする。


俺は、当初は我慢していたが、だんだん我慢できなくなっていった。

学力が同じくらいだったから、一時は同じ県立高校を目指そうと約束したけど、もうやめることにした。


俺は、美亜に

「俺と美亜は性格的に合わないと思う、別れよう。」と話しを切り出したんだが、美亜の抵抗は予想以上に大きかった。

俺が切り出したことで、彼女のプライドはかなり傷ついたようだ。


それにしても、学校一の美少女と付き合って、俺は女性に対する考え方が変わった。

やっぱり、女子は性格が一番だ。

そして、同じ価値観を持っていることが大切。

どんなに顔やスタイルが素晴らしくても、一緒の時間を過ごすならば、気が休まる相手じゃなきゃダメだ。

顔で相手を選んじゃいけない。

クラスメイトや、部活の仲間に羨ましがられたけど、美亜との交際は間違ってたんだ。


何とか文化祭のあとに別れることができたけど、おかげで志望校を変えることになってしまった。

彼女に、「同じ高校に進学しないで!」と言われてしまったからだ。

彼女はすごい剣幕で、そこだけは譲れないと言い張った。

俺は約束するしかなかった。


どうしよう?

どこの学校にしようか?

県立高校ならレベルを一つあげるか?それとも下げるか?

それとも同じレベルの私立高校にするか?


そうそう、テニスはもうやめるって決めたんだ。

高校では違うことをやろうって思ってた。

面白い部活がある高校に行きたい!

テニス部の仲間には秘密だけど・・・


志望校の件で、俺は職員室に向かった。


担任の先生が、相談に乗ってくれると言ってくれたんだ。

担任の先生、小山朱里(こやまあかり)先生はまだ20代後半の女性教師だ。

美人で、面倒見がよく、生徒に人気がある。

女子生徒からも人気があり、情報通でもある。

今回の俺の男女交際失敗の話も知っていた。

志望高を変えるという俺の事情を知って、声をかけてくれた。


「失礼します。朝倉です、小山先生いらっしゃいますか?」


「お、来たわね。

ごめん、悪いんだけど、私、まだちょっと片付けなきゃいけない仕事があるから、

先に生徒相談室で待っててくれる?

生徒相談室はAブースとBブースに分かれてるけど、Bブースを予約してあるから、そこで待ってて。

15分くらい後から行くから。」


「はい、わかりました。」


俺は、生徒相談室に向かう。


「失礼します。」と声をかけ、Bブースに入った。


この生徒相談室、一つの部屋をつい立てで仕切ってるだけで、けっこうAブースの声が漏れる。


うーん、プライバシーのために、もうちょっと声が聞こえない工夫できないかな?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うん、太田の学力なら、間違いなく桃花高校の推薦入学は大丈夫だと思う。

ただし、面接で、大失敗しなければだな。

でも、演劇部の「姫」の採用がなければ、行かないのか?」


「はい、先生にも前にお話したように、「姫」になれなければ、桃花高校に行く意味はありません。」


「そうか。その辺は学校からも高校側に話をしておく。そこがポイントなんだな?

太田の複雑な事情は、あの学校なら理解してもらえると思う。

何せ進んだ考えを持ってるからなあ。

しかし、演劇部で超有名校だから、ほかにも「姫」を目指す生徒がいるかもしれないぞ。

学校側の考え一つだな。

もし、ダメだったら、すぐ他の高校目指さないとな。

太田の希望どおりの制服を認める高校となると、ちょっと遠い学校になるかもしれない。」


「それは承知しています。覚悟は決めてます。」


「わかった。

それから、これは、俺が考えた面接での想定問答集だ。

これを参考に面接の練習を家でやったほうがいいぞ。」


「わかりました。助かります。」


「よし、きょうはこれまで。頑張れよ。」


「はい。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


Aブースの生徒と教師が生徒相談室を出ていったあと、俺は二人の会話を分析してみた。


太田?って聞こえた。


あの太田和音か?


1年の時一緒だった小柄で華奢で、男子なのに可愛らしい感じのヤツ。

笑顔が女の子みたいで、ちょっと癒されるヤツだったなー。

うん、性格のいいヤツだった。


あいつ、桃花高校を推薦受験するんだ。


それにしても演劇部の「ひめ」って何だろう?

うーん、よくわからない。


とにかく演劇部に入れなければ意味がないって言ってたな。

そんなに演劇部に魅力あるのかな?

演劇部が有名なんだろうな?


桃花高校か?


そういえば、個性的な教育と、個性的な部活でけっこう有名な学校だよな。


有名大学にもけっこう合格している。


今まで私立なんか考えてなかったけど、私立を狙うのも面白いかも。

男子校もいい。

何せ、女子にはちょっと懲りてるからなあ。

高校3年間は女子のいない世界もいいかもしれない。

別にホモじゃないけどね。


そんなことを考えていると、小山先生がやってきた。


「ごめんごめん、待たせちゃってごめん。

志望高の変更は重大なことだから、しっかり相談に乗るね。

で、とりあえず、行きたい高校ってあるの?

もし、希望があるなら遠慮せずに行ってね。

その高校が朝倉君にふさわしいかどうかは、ちゃんと考えるから。」


「先生・・・桃花高校ってどうでしょうか?

そういえば、先生、うちの中学の演劇部の顧問でしたね?

桃花高校の演劇部ってすごいんですか?」


俺は、先ほど耳にした高校の名前を口にしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。