145 ついに合宿が始まった
葵です。
ついに合宿がはじまりました。
男子校、女子校のメンバーが一同に会し、ぎこちない自己紹介から始まります。
1年生はみんな緊張しています。
高校入学後、同世代の異性と話す機会が少なかった部員は多かったはずです。
1年前の私たちも、そうだったなー。
全員の自己紹介が終わると、男子校部長の私がみんなに声をかけます。
「今年はスタートが遅くなっちゃったけど、この合宿で、地区大会を勝ちぬくための基本を築きあげるつもりです。基本の演技の勉強をしつつ、すでに決まっている役、役割について頭と体に覚え込ませるきっかけにしてください。緊張感を持って取り組んでくださいね。
男子校は全国大会で優勝したけど、それはもう過去の話。メンバーも変わるし、ゼロからのスタートと思ってくださいね。
それから、これを機会に女子校のメンバーと仲良くなってください。
男子と女子の違いはあっても、演劇の仲間なんです。いっしょに、ステップアップするために切磋琢磨してくださいね。」
女子校部長の祐希も続きます。
「演技って、男子だけ、女子だけだと、やはり偏ったところが出てくるかもしれない。
それから、大道具や小道具・衣装なんかも独自のカラーが出てしまうかな?
せっかく、一緒に過ごす時間があるんだから、いろいろと情報交換しましょう。
お互いのいいところを吸収して、一緒に成長していこう。
今年は男女で、県大会突破しようよ。」
そのあと、お互いに
「よろしく!」「よろしくね!」と声が飛び交い、いい感じでのスタートになります。
やっぱり、男女がほぼ同数いると、場が華やかになります。
しかも、1年生は何となくやる気に満ちている。
これは楽しみ。
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男子校1年の児玉勝利です。
今日は合宿1日目。
午前中は女子と一緒に、ランニングや発生練習、即興演劇の練習をやった。
すごく新鮮だ。
同世代の女子と話すことが、こんなに楽しいとは思わなかった。
男女共学の中学のときは、女子が近くにいて当たり前だったけど、高校に入ってからは話す機会がほぼなくなってたからなー。
午後はプロの役者さんによる演技指導を受けた。
いやー、自分がいかに素人なのかと思い知らされる時間だった。
基本の滑舌をもっと磨かないとだめだなー。
役になりきるだけじゃなく、それを人に見せて、その役が本物であるように演じるってかなり高度だ。
俺は、アクション俳優みたいなものを目指してたけど、基本の演技やセリフのしゃべりが出来てないとダメだ。反省反省だ。
いろいろ刺激を受けて、夕方になると、女子校の連中との懇親会が始まった。
うわー、自由に女子と話せる。
どうしようかな?
そうだ、まずは友利をダシにしてきっかけと作ろう。
「落合、友利に新川さんを紹介してもらおうぜ。」
「おお、そうだな。新川さんと話をさせてもらおうか?」
「ええっ?俺は仲良くないって言ってるじゃないか。まあ、紹介するのはいいけど。
女子と話すきっかけになるか?」
ぶつぶついいながら、友利は新川さんのいるところに、俺と落合を連れて行く。
友利はこういうところは真面目だ。
自分は抵抗あっても、仲間の気持ちを考えてくれる。
新川さんは噂通り美人だ。細身で黒髪ロングヘアで、プロの女優さんみたいだ。
でも、目つきがちょっと厳しい。そして、胸は噂どおりささやかな感じだ。
「新川さん、俺と仲がいい児玉と落合だ。落合は中学の時日の出中の部長だったから、覚えてるだろ?」
「児玉勝利です。中学の時は少林寺拳法やっていて、演劇はまだ素人です。いろいろ教えてください。よろしくお願いします。」
「落合友樹です。中学の時に大会で会ったよね?あの時の新川さんの演技には負けたって気がしたよ。
でも、高校では負けないように頑張るつもりだ。よろしくお願いします。」
「あ、新川梨亜です。よろしくお願いします。落合君、うん、覚えてる。中学の時、貫禄のある部長だと思ったもん。
それから、児玉君?少林寺拳法やってたの?すごいねー。
私の同期にも格闘家いるよ。ちょっと待ってて、呼んでくる。
あいくー!ちょっとこっちに来て!」
新川さんは、食べ物に夢中になっていた、ギャル風の女の子を呼んできた。
そして、一緒に夢中になっていたももう一人のおっとりとした大人っぽい女の子もついてくる。
二人とも可愛くて巨乳だ。おっぱいでかい!
ラッキー!
「あいく、こちらにいる児玉君、少林寺拳法やってたんだって。そして演劇部は高校デビュー。
あいくと同じだよ。話してみたら。」
あいくと呼ばれたギャル風の女の子の目が突然光った。
うわっ、同じ格闘家としての血が騒いだのか?
それにしても、チャラチャラしてそうな雰囲気があるけど、何の武道やってたんだろう?
「初めまして。佐々木あいくです。中学の時まで空手一筋でした。今でもちょっとやってます。
腕には自信ありますよ。
同じ拳法をやってるとなると気になります。
児玉君、懇親会終わったら、ちょっとお手合わせをお願いしてもいいですか?」
うわっ、可愛い女の子だと思ったら、勝負?を挑まれちゃった。
どうしよう?
「えっ、強いの?俺負けたらやだな?」
俺はわざと自信なさげな声を出した。
女子相手に、組手をするなんて、ちょっと嫌だなと思ったからだ。
でも、彼女は目を光らせ、
「そんなことないでしょ?なんかスキがないもん。
弱くはないはず。
強さを見せてください。」
うわっ、殺気を悟られちゃった。まいったなー。
どうしようかなと思ってた時に救いの神がいた。
佐々木さんについてきたおっとりした女の子だ。
「まあまあ、あいく、男の子と武道勝負なんて物騒だよ。
ここは演劇部の懇親会。楽しく話そうよ。ギャルっぽくて、人懐っこいのがあいくでしょ?
初対面の男の子と格闘の技を見せあうなんて、やめとこうよ。
あいくは男子校の男の子といっぱい話したかったんでしょ?
あ、初めまして。私同じ1年生の篠原友理奈です。演劇は高校からです。よろしくお願いします。」
俺の横にいた落合も助けてくれる。
「あ、落合友樹です。篠原さんって、確か中学の時、生徒会長でしょ?
俺、中学の時に、篠原さんがいた中学と合同で演劇の発表会をやったことがあって、生徒会に挨拶に行った記憶がある。その時に会ってる。よろしく。」
「え、そうだったけ?そんなことあったかも。だとすると奇遇だよ。久々の再会ってことね。
仲良くしてください。」
「あらー。再会なんだ、友理奈。
ふふふ、偶然ね。
児玉君、ごめんなさい。私、同じ拳法をやってる人をみちゃうと、どうしてもその腕を見たくなっちゃうの。格闘家の性ね。
まずは、おしゃべりしましょ。」
「う、うん。」
何か、男子3人、女子3人で、話が盛り上がりそうな雰囲気だ。
でも、新川さんは、友利の顔を見ないようにしてるし、友利も新川さんと話をしようとしていない。
これはけっこうこじれてるなー。




