142 合宿前
コロナの影響で、高校生の部活動、合宿って当面無理そうですね。
早く、収束して、高校生が充実した青春を送れますように。
梨亜です。
8月下旬になりました。
明日から、3泊4日での男子校、女子校の演劇部の合同合宿が始まります。
郊外・・・というか山奥に作られた県の学生のための施設で合宿をやります。
その施設を利用できるのは県内の高校生と大学生のみ。
こんな施設があるなんて、中学の時は知りませんでした。
大きな体育館、グラウンド、プール、小規模なホール、武道場、食堂に宿泊設備など、運動部、文化部が集中して部活動をやるための施設は素晴らしいと先輩が言ってました。
何と演劇部や合唱部、音楽系の部活動のための練習部屋もいっぱいあります。
かなり集中できそう。
他校の生徒や大学生もいたりして、意外な出会いもあるかもしれません。
毎年、この合宿は8月の上旬に実施されるんですが、今年は男子校が全国大会に出場するため、下旬になってしまいました。
まあ、私の場合、特に予定はなかったので、どちらでもいいんですけど・・・。
合宿ができるというだけでちょっとうれしいかな?
中学の時はそんなものなかったから。
やることは、プロの指導者を招いての演技のレッスン、そして、秋の文化祭から始まって地区大会でやる劇の本格的な練習を開始し、ミーティングや台本の手直し・修正をすること。
うーん、気合がはいります。
そして、ある意味目玉になっているのが初日の男女合同の練習!
プロのレッスンを一緒に受けるし、演技の基礎練習も合同で行います。
そして、夜はちょっとした親睦会も実施予定。
2日目と3日目も夜に一緒に食事を取るから男女の接触がかなりあります。
日頃、男子だけ、女子だけで活動している部員にとってはちょっとした非日常的なイベントになりそう。
部員にとって、恋愛のきっかけになることもあるみたい。
けっこう楽しみにしている部員、多いんです。
男の子が苦手な私は、ちょっと困るんですが、社会性を身に着けるために、わがままは言ってられません。恋愛には興味ないけど、男子校の部員から刺激を受けたいと思います。
さて、今は、合宿の準備で学校に来た帰りです。
仲良しの同学年部員、佐々木あいくと篠原友理奈といっしょにコーヒーショップに入っておしゃべりをしています。
二人とも、明日、男子校部員に会えるので興奮しています。
「男子校の演劇部ってかっこいい人いるのかなあ?ちょっと楽しみ。
運動部とちがって、オタクっぽいのばかりいる印象もあるけど、実際、どうなんだろう?」
そう言って目を輝かせているのは佐々木あいく。
ちょっとギャルっぽく見える女の子で、地味な女子が多い演劇部では異彩を放っている子です。
制服をちょっと気崩していて、同じ制服を着ているのにちょっとおしゃれ。
ロングヘアも微妙にカールを加えていて、華やかです。
男の子にモテそう。
実際モテた結果、中学生のときは彼氏ができて、ラブラブだったって言ってます。
卒業したあと別れたようですが・・・。
で、そこまで話すと、軽いノリの女の子と思われそうですが、実は空手が得意な武道少女だったりします。
春の入学シーズンに逃げる痴漢を飛び蹴りで倒したという武勇伝があるくらいです。
中学まではかなり町道場で空手に打ち込んでいたみたい。
実は気の強い、激しさをもった女の子なんですね。
チャラチャラしているだけの女の子だったら、私は仲良くなれません。
強さを秘めているところを私は好きになっちゃいました。
あいくは演劇については高校デビューです。
うれしいことに、偶然観た新歓公演での小出葵さんの演技にびっくりしたのが直接的な入部理由とか。
「すっごく演技が素敵。私もあんな演技したい!」って思ったそうです。
私はこの子なら仲良くなれるってすぐ思ったんですねー。
「私、高校になったら彼氏が欲しいと思ってたから、気が合う男の子がいるといいなー。」
あいくと対照的に、すごく真面目そうなおっとりした雰囲気の美少女が篠原友理奈。
彼女ががつぶやきました。
中学の時は生徒会長をやってたという変わり種です。
すごくしっかりしていて、1年生なのにすでに風格があります。
あいくと同様、演劇部は高校デビューなんですが、何でも器用に吸収するタイプで、演技力では絶対の自信をもっている私があせるくらい成長しています。
真面目そうに見えるのに、彼氏がほしいとつぶやくのにはちょっと驚きました。
そういえば、けっこう、あいくに影響されています。
いかにも真面目そうなキャラから脱却したいなんて言ってました。
「梨亜はいいよねー。男子校の友利君と噂になってるよ。
すごくお似合いだって。」
「うん、私も聴いた。友利君ってかっこいいんでしょ?
中学の時の演劇のライバルが高校でもライバルを続けながら恋も開始?なんて誰か言ってたよ。」
「ああ、それって、柏原先輩が言ってたんじゃない?
友利君とは別にそういう関係じゃないよ。
確かに演劇のライバルではあるけど、別に恋愛感情はないよ。
それに、あいつ、女の子にモテて、チャラチャラしてるし!」
「ええっ?そうなの?
でも、柏原先輩の話じゃ、毎朝一緒に電車で登校してるんでしょ?」
「いや、何でそういう話になるの?先輩たちと一緒だよ。
柏原先輩とその彼氏の菅原先輩、男子校の葵先輩が仲よくて電車でいつも一緒にいるの・・・それで、その3人に合流すると・・・葵先輩と仲のいい板谷先輩が乗ってきて、板谷先輩と同じ駅から友利君が乗ってくる・・・それだけだから。」
「ふーん。
確か柏原先輩って、男子校の菅原さんっていう生徒会の彼氏がいるんだよね。
そして、葵先輩って、板谷先輩とできてるって噂があって、そうすると、2対2のカップルがいるわけだから、余った二人は当然仲良くなるんじゃない?」
「いや、私たち話すと喧嘩しちゃいそうだから、なるべく話さないようにしている。」
「なんで?もったいないじゃない。
友利君かっこいんでしょ?何が嫌なの?」
友理奈が突っ込みを入れてきます。うーん、困った。
「かっこいいなら、私が狙っちゃおうかな?梨亜が仲良くしたくないのなら。」
今度は、ニコニコ笑いながら、あいくがからかうように突っ込んできます。
「ダメダメ!そんなの絶対ダメ!
女の子にだらしがなさそうだから、あいつはダメ。」
「うーん、怪しいっ。本当は好きなんでしょ?」
「うん、怪しい。意識し過ぎて、素直になれないってやつ?」
「ええっ?そんなことないよ。あいつ、モテるから嫌なヤツなんだ。」
「その論理おかしい。梨亜だって、モテるじゃない。梨亜って、男の子に対して近寄るなオーラをだしているからあんまり言い寄る男の子いないけど、モテてるよ!」
「うん、おかしいよ。女の子にもてるからって、嫌なヤツとは限らないよ。
むしろ、顔やスタイルだけじゃなくて、性格もいい可能性あるよ。」
「うっ、でも、今更私、そんなの認められない。だって・・・」
「これは何か、裏がありそうね。」
「よしよし、私たちがいろいろ聴いてあげよう。」
何と、お節介な二人は私と友利君の今までの関係について、そして、私が男の子を苦手としている理由について分析を始めました。
女子の仲良し3人組ってありそうですね。可愛い子が3人仲良しだったりすると、目を引きますよね。




